2011年01月の記事一覧 | 夢みるきのこ

盆梅をもらっちゃった。

　　　　　　　　　　　　　　　　盆梅を抱きさだまらぬ空仰ぐ　ギャラリーきのこの御客さんから小鉢の梅をもらった。八重の白梅とのことだった。芥子粒ほどのつぼみが10余りついていたが、今にも消え入りそうで心配だった。しかし、ちょうど蕪村の辞世の句(白梅に明くる夜ばかりとなりにけり)について思いをめぐらせていた折りも折りだったので持ちかえって育ててみることに。　ところが夜毎帰ってみるとつぼみが膨らみ、二日前には一輪咲いた。真白の八重咲きの梅花がほっこり花開いていた。　本日はまたニ輪咲いて心なごませてくれている。　掲句は、小さな盆栽の梅だけが頼もしい存在(私にとっての宇宙樹)で、さまざまな不安で途方もなく膨らんでいく世情が希望に転ずることを非力なままに祈る図である。　私の作品であって私の作品ではない無人称の表出を目指したものだ。いただいた盆梅への感謝をこめて。

2011年01月31日

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ルーシー・リー展。

　大阪市立東洋陶磁美術館で開催中のルーシー・リー展を覗いてきた。バーナード・リーチの薫陶のせいか、その作風はきわめてジャパネスク。ウイーン、ロンドンの都市生活の中で練り上げた特殊釉薬を用いたその作品は繊細かつ日本的でヨーロッパ世界ではきわめて異色なものだった。私は、といえば陶芸作品もさりながら、微細なものに心惹かれるので、ガラス、陶磁のボタン作品に注目。　極寒の臨休の思いがけない贈り物でとても嬉しいひとときであった。　会期は2月13日(日)まで。是非訪ねていただきたい展示のひとつだ。

2011年01月29日

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夜の顔俳句会第3回速報

　昨27日は、凍結のため水を大量に扱う仕事が昼までに終ったので、午後一番に大阪市立東洋陶磁美術館で開催中の「ルーシー・リー」展を覗き、それからナンパまで徒歩で散策がてら南御堂の「芭蕉終焉の地」に立ち寄り、心斎橋のダンケでこの店でしか味わえないと評判のチーズケーキとコーヒを愉しんでからOCAT会場へ。　　さて、いよいよ面白くなってきた「夜の顔俳句会」だが、新しい世代のこだわりのない作品が、次々と話題をさらいうれしいかぎりだ。　この夕べ、互選により入選した作品を高点句のから順番に列記し、私なりの感想と当夜の参加者の感想を以下に述べたい。　8点句日脚伸ぶ音なめらかに顔剃られ　　　　　浅井惇介　床屋で顔剃りしている風景であろうか?　日脚伸ぶという春めいてきた情感が髭剃りの滑らかな音と見事に呼応して秀逸。3名の特選を得た。6点句寒紅を差しざわざわす我が尾骨　　　　　食野勢女　　　　当夜の問題作。寒紅を差すような麗人はいるかがまず問題となり、男性からは、この独特の所作に尾?骨がざわざわする感じがどういうものか直接作者から聞きたくて採った人の多かった。特選に採った人は私を含め2名。4点句大寒の大寒らしさにひと心地　　　　　　佐田俊美　　　　　季節感が失われていく昨今、このなんともない叙述が妙に納得でき、共感を覚えた人が多く私を含め4名が選句した。ただ、中7の「に」のあしらいが適当かどうか、議論のあるところだったが、私はさほど問題とは思われなかった。散文調のほうがむしろこの作家の意図するところがストレートに伝わる。鳥たちは消えて枯野の空残す　　　　　　寺西建二　　　　　特選に選んだ方から鳥たちという擬人的な扱いにいささか違和を感じたとコメント　が。私はこの句の眼目は枯野の空であることからさほどの違和を感じることはなく、むしろこういった表現のほうが若い世代には通じるかも。3点句風花や宇陀天領の村暮るる　　　　　　　寺西建二　　　　　立て句として完璧な作品だが、その完璧さゆえに採らなかった人も多い作品。見事な絵作りだが、観光ポスターとしては良いかもしれないが、個性ある作家の作品としては余りに図式的と感じた。ただ、ここまで見ていくとおわかりだろうが、この作家は今回かなり手法の異なる作品を提出しており、これはここでの議論を誘引するためのものであることが見えてくる。この会の推進役としてとても多才な作家とみた。2点句宙吊りの雲に未完の冬の虹　　　　　　　寺西建二　　　　実景ではないと作家からのちほどコメントが入ったが、言葉を尽くして、無内容な句の典型だと私は感じた。これも作家は意図的に提出したものと思われる。未完とか、宙吊りのという言葉に目くらましをくわされた方はだまされやすい性格の方なので「振り込め詐欺」にご用心。明日へは2択あるのみ寒い空　　　　　　岡本涼子　2択の意味不明瞭。それが生きるか死ぬかであればその言葉をそのまま用いた方がベターと大方の意見。風捉え捕えられつつ奴凧　　　　　　　　食野勢女　　風と駆け引きしつつ中天をあがる凧を睨んだ作品。同席の作家よりいかのぼりは春の季語だが、春の季感を感じてこの句を鑑賞しましたかとの意見が。季語としての凧は現代でも成立するかということで議論に。奴凧で寒風に乗る凧のイメージで良いのではないかとのことで落着。雪降るか仁王の脚に血筋浮く　　　　　　池田織江　　雪模様の空と仁王の脚の血管の取り合わせ。なかなか目のつけどころが面白いとみた。ブラームス一人の夜の新走り　　　　　　山中成利　ブラームスと新走りの取り合わせがしっくりくるか否かが選の分かれ目。「珈琲する?」窓に夕づく遠冬嶺　　　　マダラーノフ　炉辺の幸福におよそ縁遠い生活だが、こんなひとときもあってほしいとの願望から。臨場感を持たせるためあえて会話体を入れた。1点句地下を行く都会の冬のけもの道　　　　　浅井惇介　　地下街を会場へ急ぐ途次、自身を獣めいて感じたのであろう。今どきの髭に鬘にHericium(ヘリキウム=ヤマブシタケ)　　岡本涼子　　ヘリキウムはヤマブシタケのラテン名。人工毛髪としてアデランスやリーブ21へ提案されたし。かじかんで手は年寄りのまねをする　　　佐田俊美　この作家の取り柄は句姿が素直であること。この姿勢を貫いてほしいと願う。この平明な表出の果てに心打つ詩が生まれる。大寒の句はそのお手本である。この句はその路線での失敗作。太陽の月のきのこの下のみな平等　　　　岡本涼子　マーチン・ルーサー・キングJrのことに思いをめぐらして出来た作品とのこと。まるで私のヘテロソフィアの理念そのものでうれしくなった。ご自身のきのこライフの本の扉にぜひ書き留めてほしいテーマだ。「の」の多用に違和を感じた選者もいたが、たたみかける口調として私は違和感なし。女らに用なき道の枯芒　　　　　　　　　寺西建二　何か挑発的な上5、中7だが、昭和枯芒世代の作家の意図は好戦的な男世界の愚かさをいったものだとか。それなら尚のこと、女らに用なきは推敲の余地あり。立ち小便しやすい道のことでっかとの突っ込みも入りました。銃声や大結氷の沼を射る　　　　　　　　菊池　享　銃声、凍結の沼、素材は揃っているが、富沢赤黄男の「蝶墜ちて大音響の結氷期」を想起させるとの意見も。すこしものものしい表現が私には物足りなさを感じた。舞茸や大樹を吸って香り立つ　　　　　　高田明子　俳句初心者の自称タカ女さん。舞茸を山口県のシイ林で見つけた喜びをこんな形で届けてくれました。選者からは木の香が横溢していて心地よいとの評をいただきました。どうぞ益々ご健吟のほど。都会の背中にあたる風がユトリロの絵を吹き抜ける　　　野崎タ―ラ―　街全体が巨大な怪物然としていて、ユトリロの絵のような街区を風が突っ走るイメージ。5・7調でない短詩の形が新鮮。しかし、言葉に寄りかかっていて詩性がいささか乏しく私は感じた。朝シャンしうたた寝夢に雪舞う砂漠　　　岡本涼子　朝シャンしたのち濡れ髪のまま寝てしまった夢が月の沙漠ならぬ雪の沙漠だったとの意味か。飛躍が面白い。が、説明的にすぎる嫌いがある。寒雀そのふっくらをつつみたい　　　　　佐田俊美　そのままの表白だが、これにも実感がこもっていて好ましい。寒の月ぽつんと底に昭和秘め　　　　　　食野勢女　寒月に昭和の時代を回想する図であろうか。ややイメージが掴みがたい。耳に当て韻く寒夜の腕時計　　　　　　　浅井惇介　この手なれた作風は惇介の作品としてはいただけない。が短時間で出句を強いられたこともあり、いたしかたないか。　　当夜は出席者8名、不在出句4名が各々3～5句出句の合計52句を出席者8名が5句(うち特選1句)ずつ選び、講評し、句意の定かならないものに関しては作家から説明をしてもらう形で進めた。俳句は17音で思いのたけを詠み切らねばならず、作家の想いとはうらはらに読み手に意味が伝わらない作品も多く、選ばれた作品はご覧いただくとお判りいただけると思うが、まず一読、ただちにそのイメージが明確に読み手に伝わり、その上で詩性のあるものが高点を得ていることが見て取れる。また、平明な表現でも実感が率直に表現された作品は、読者にストレートに伝わることも・・・。　写真は御堂会館の芭蕉の辞世の句「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

2011年01月28日

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ふたたびの古都探訪

　今春よりふたたび奈良・京都の歴史スポットを訪ね、鬼の子・きのこしたいと考えています。3月から11月の毎月の第3日曜日、なによりもきのこの招きを最優先し、次いでムック会員の希望、そしておまけにマダラ個人の発作的かつ火急の内面からの要請に基づくトポスをプランニングいたします。　きのこと歌枕の旅は酔い心地満点。浮世の憂さをしばし忘れてご一緒いたしましょう。心をからっぽにして旅そのものを愉しむと、最高の出会いもあると存じます。　また今年はベニテングダケなどのアイドルきのこ探訪の1泊旅行も再開したいと考えています。デジカメと短詩をつづるメモ帳をたずさえてぜひご参加ください。　　年会費2000円、　参加希望者はe-mail: hetero8@j-fas.com　　ムックきのこクラブ　Dr.Madaranov まで。　写真は死のトランペットの異名をもつクロラッパタケです。明日香の旅空のもとでみとめた美人だったと記憶しています。

2011年01月26日

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ヴォーグニッポン

　21世紀を睨んで1999年9月ヴォーグが創刊されて、まもなく2011年3月号が出ると通巻139号となる。私はおよそファッションに縁のない人間だが、ヴォーグにはなぜか心惹かれて読み続けてきた。この雑誌の進化もめざましいものがあるが、創刊当時の記事には、愛着を感じる。また、創刊前後のコンテンツについてもここで紹介を兼ねてコメントしたいと思っている。

2011年01月25日

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時代はキノコチック

　さて2011年春、キノコチックの時代のはじまりです。この時代は、流動性、開放性、そして青春性がサブタイトルとなる予定。キノコはおそらく世人の誰もが全く誤解している典型的な異能生物。そんなキノコをメジャーにする試みの核となる考え方をさまざまな先人のヒントを切り貼りし、フフフッと生み出したいと考えています。　写真はロシアの菌類学者ブラーフ博士の家庭(ロシアのウラジオストック)を訪れたとき、いただいたきのことヨージック(ハリネズミ)を配したデコレーションケーキ。きのことハリネズミはロシアでは常にペアで出てくる。キノコチックの流れは、しばらくココログのマダラーノフブログにて展開しますのでそちらを参考に。http://palfan-japan.cocolog-nifty.com/

2011年01月24日

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道元のこと

　　　　　　　　　　去年今年(こぞことし)貫く棒のごときもの　　虚子　マンションのクリーンスタッフという塵とかかわる生活に入って、禅家、とりわけ道元と関わらざるを得なくなってきた。　比叡山で修業し、野にくだり鎌倉仏教の基礎を創った親鸞、日蓮、道元の中でも私は禅家の始祖となった道元は避けて通ってきた。彼の『正法眼蔵』は100巻を目指して死ぬ直前まで書き連ねられた著作で、とても難解、宋代の中国禅の専門用語まじりの文章はほとんど頭に入ってこない。不立文字(ふりゅうもんじ)を標榜しながらも、彼ほど多くの言説を弄した宗教家もいない。しかし、中世という時代の胚胎したものの中心に道元がいるということはこれまでも思ってきたので、これから60の手習いを始めることになりそうだ。しかし、手はある。芭蕉に弟子が著した言行録の三冊子、去来抄があるように、道元にも一番弟子の懐奘(えじょう)の著した『正法眼随聞記』という臨場感溢れるルポがあるのだ。ここらあたりから攻めたいと思っている。　道元によれば「心身脱落」とは悟りを得た瞬間のことをいうが、高崎直道氏によればそれは「心塵脱落」の誤記であろうと述べている。心の塵を落とすとはなかなか分かりやすい。　仏教の教えは生きている内に死ぬ方法の発見である。悟りとはそれに近い心身の状態であろう。ただ、頓悟したのちも生きることの中にさまざまな矛盾が生じる。結局究極の悟りは無いというのが私の考えで、そのため道元はひたすら座禅すること、只今の一刻一刻を精いっぱい意識的に生きることを勧めたと思っている。塵がうっすら積もると時間というものに連続があるように思えてくる。しかし、その感覚は間違いで時間というものは一秒一秒非連続であるということを彼は言いたかったのではないか。そんな思いを確かめるためこれから彼とも付き合ってみよう。　写真は1月16日に八坂神社奥の将軍塚より見た京都市内。中央の広大な緑が京都御苑である。日本の都に顕著な現象で、東京にも江戸城(皇居)が中央にデンと腰を据えている。

2011年01月22日

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ゆきのこ

　　　　　　　　　　　　ゆきのこを手向け山寺素通りす　迷える衆生を済度すべき寺院は仏を堂奥に安置し、手を合わせまみえたいと欲する人たちから寺銭を取りはじめたのはいつの世からのならわしであろう。仏教界は神仏習合のはじめに神社の所領地に神宮寺をつくり寺社の経営を一手に引き受けるようになったので、それ以来、そうした悪習を伝え続けてきたのかもしれない。あるいは美術品としての造形物保存のための維持費をとる習慣からか?　しかし、美術品である前に信仰の対象であるべき仏像はそれぞれの心からなる布施のみを享けるべきだと私は思っている。神社におかれた賽銭箱がもっともリーズナブルだと思わないか。門跡寺院といえど、雪できのこをつくり本尊を拝まずに素通りするのは、ささやかな抗議である。　清水寺にはアテルイとモレの慰霊の碑が建っており、将軍塚は坂上田村麻呂が蝦夷地をにらんだままに埋められたと言い伝えられている。近年その田村麻呂の埋葬地がこの近辺の山に確定されたと聞く。　京都は怨霊の渦巻く地。寺社はすべからく開放すべし。としみじみ思ったことである。

2011年01月21日

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寒鯉

　　　　　　　　気色立つ寒鯉去りし水の色　　　写真は雪激しい古刹の庭園の烏

2011年01月20日

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京洛のあさぼらけ。雪の六角堂

　雪ではじまった先週末、新年会を兼ねて清水山へ足ならしのムックきのこクラブに先がけて中京区の六角堂から前田コーヒー、寺町の蛸薬師、へと駆け足で巡ってきた。なぜかこの六角堂、聖徳太子と縁があるとのことで訪ねておくことにした。　痛いほどの寒気につつまれ、降ったり止んだりの雪の一日のはじまりはかくしてさわやかに始まった。

2011年01月18日

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阪神大震災の日

　16回目の阪神大震災の日が巡ってきた。この日は身の置き場がない。写真は将軍塚への道半ばで出会った石仏。

2011年01月17日

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唐木順三と私

　唐木順三の『中世の文学』は昭和30年10月に世に出て、同年の読売文学賞の評論部門に入った。戦後生まれの私がこの書を手にしたのは大学1年生(昭和40)の頃、10年後の新版を古書店で見つけて買い求めたものである。筑摩書房で当時の定価は620円だったから450円位で買ったのだろう。一読、友人の今は亡きA君とドキドキワクワクしながら圧っぽく語りあったものである。20世紀最大の課題「ニヒリズム」の超克を中世という激震の時代を通して「数寄」にはじまり、「侘び」「寂び」「すさび」「つれづれ」の思想をたどることによって現代へとつなげた稀有の書であった。本人も語っているごとく、素人の目で自身の危機意識から発した問題意識を実に赤裸々に語っており、私は我が国の文化の核心をわしづかみにした稀有の書だと直観したものだった。ここでとりあげられた人物も数寄をとことん追い詰めた鴨長明にはじまり、道元、親鸞などの鎌倉仏教の始祖たち、「つれづれ」の吉田兼好、そしてそれらの集大成として世阿弥、その系譜をさらに深化した一休、芭蕉、そしてそのすべてを近代との対置において実践した蕪村にいたる壮大な日本文化論であった。　ただしアカデミックな世界で活動した人ではなく大向こうの評価は決して高くはないことも手伝って、私の後半生を規定した衝撃の書であった。　とりわけ彼が中世の文学の展開でのべた近代の自然科学の方法とそこから導き出される世界観(主観客観が対立し、主観が客観を対象として観察し記述し、そこからまた実験を試みるという手続きが、近代の自然科学の方法である。近代のリアリズムはかくして科学的リアリズムといってよい)は、宗教的リアリズム(色と空、空と色を即で結び、自己と天下、自己と万法とのつらなりを自証で示す)を駆逐したとみるが、明治以降の写生、写実の系譜をたどった近代文学のリアリズムは、科学のリアリズムに直ちに包括できるものではないとみた彼の卓見はまさに現代的であると私は感じている。　「文学を科学的真に定位づけようとした近代のリアリズムのいきづまりが、反って宗教的信の問題を喚起してきたのが現状である。」と結んだ彼の地点から私の「日本的とは果たしてどういうことか」がはじまり、変転の末にきのこをつくる菌類と出会ったのである。　唐木はつづけて「宗教の問題は、自己と自己をも含む全体とのかかわりの問題である。内在と超越とのつながりの問題であって、切り離された主観と客観対象との間の認識の問題ではない。文学も単に認識の問題ではないであろう。むしろ自己をも含めた人生、社会の問題が文学の主題である」とし、文学の精神と宗教的なものとは分離出来ないものを多分にもっていると述べている。これは吉本隆明が『言語にとって美とは何か』で追求したロシアの社会主義リアリズムに決定的に欠けている言霊の問題と相通うところがある。　私はそうした自然科学の方法と文学、宗教の方法の総合化がきのこで展開できると直観し、以来25年余りの間きのことつきあい韜晦してきた次第である。　さて、いよいよこのきのことの問題にも一区切りつけなければならない時期がやってきた。ここ数年来、人それぞれに大転換を成し遂げなければ一歩も先へは進めない時代に突入している。それぞれがもてる力のすべてを出し切って人生を賭けた勝負に打って出るべき時代がやってきているのだ。　　　昨日ムックきのこクラブの新年会で雪の京都・八坂神社から将軍塚を巡り、清水山、そして清水寺へと下り河原町の宴会の席でもそのことを確認したことである。写真は八坂神社の奥の雪降りしきる小池。

2011年01月17日

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月読み神社の陰陽石

　秦氏も中臣氏もある時点から我が国の自然宗教、神道、仏教などありとあらゆる宗教文化を集成し、掌中に収めようと努めるようになった。　これは非農耕民たちのいのちに次いでたいせつにしてきたものの水源をおさえ、真実無名のものたちの心の支えとなる何かを見据え形にしたいという思いがあったのではないだろうか?。それらはやがて我が国の七道の者と呼ばれた大道芸人や歌舞音曲の徒、零落した神人、巫女などの心の支えとなっていった。そして修験のものと呼ばれる山伏などの大もとである空海の末裔たちも・・・。私は空海に渡唐を勧め、真言密教の根本となる神々の体系を整えさせたのも秦氏であると考えている。　ただ、月読社には、この陰陽石(写真)とその脇にリンガのような三角の石が据えられており、これは秦氏の目指したものとは似て非なる代物で、月依石はまだしも、蛇足もここまでくるとやり過ぎと感じてしまった。枚岡のとなりにいます石切神社の祭神ニギハヤヒが忘れられ、ふきでものの神さんとして今日に至っているのとよく似た現象で、ここには文化の陳腐化とも言うべき取り違えが存するように思われる。　秦氏も中臣氏もどういった思いから、我が国古来からの太陽信仰にはじまり、石神に到るさまざまな自然神と、のちに伝わってくる仏教の神々をも体系化しようとしたのかをもっと真剣に考えてみるべきであろう。ここには人類の文化というものの核心があるように私は思っている。生物多様性の問題にもこのことは通じている。没価値な存在を没価値のままに受け入れることがまずあらゆる思想の原点にあるべきなのだ。神社という装置はその思いにもっともふさわしい場所であるはずなのだ。　月読命や星神天津甕星(あまつみかぼし)が日本の神話に極く一瞬の間登場し、その後、杳として姿を消してしまうのはなぜなのだろうということに思いを致せば、この世界が太陽だけで成り立っていると考える輩が如何に智恵が足りないかがわかりそうなものだし、そう思い至れば、何かご利益宗教とは別に人々の心の糧として神社や仏閣がどうあるべきかが見えてくるはずだ。新しいものを付け加える必要はまったくなく、欠けているものを復元する努力こそが今もとめられている。その足りないものの存在を象徴的に指し示しているのが菌類のアート表現、すなわちキノコだと私は考えてきた。　どうも今言った私の考えからすれば、この陰陽石には春日大社の社殿の下に見え隠れする磐座(これとて私からすればすでに単なる石にしかすぎない)とは異なり、安直な発想がみえかくれするのだ。月読み神社の風格を損なうといっても過言ではない。　聖スポットに立てば何かビシバシ感じるという人たちにも私はやせ細った精神の持ち主と感じてしまうし、時には不快感さえ抱いてしまうのと同様である。　神社のなにもない空間には見えないものがみなぎっており、それはそれ以上のものでもそれ以下のものでもない。金銭的価値は全くないが、そこに立つだけで生きてきた甲斐があったと感ずる程度のものなのだ。　芭蕉はつねに高悟還俗とさとした。庶民性こそ私のもっとも愛するところだが、庶民や名もなき民という人生を徹底して貫こうとするとき、高く悟って俗に還るという彼の本意をしっかりと自覚すべきであろう。特に庶民の心をどうにでももてあそぶことのできる立場にある宗教人はなおさらのことである。　この日私は素晴らしい一日をたまわった。そんな道中のふと感じた違和はささいなことではあったが、あえてここで書いて水に流そう。

2011年01月13日

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松尾大社磐座への導入口にある天狗岩

　松尾大社は早朝のため磐座(いわくら)へ登る許可申請が出来ず、登ることは断念。しかし、松尾大社から月読社へまわり、渡月橋への道中を歩いたが、疏水めいて民家を縫う小流は水量も豊富で小雪が間断なく注ぎこんですがすがしい。ときおり背にあたたかい日差しを受けて京都の冬のエッセンスをすべて満喫でき痛快きわまりなかった。葛野秦氏の氏神は、現在酒の神様となっていて全国からこもかぶりの清酒が献じられている。神体山の松尾山への入り口には小滝が流れており、その脇の露岩に天狗の顔が。参詣者の誰からともなく言いだしたことであろうが、そう言われてみれば天狗の顔が浮き上がってみえなくもない。秦氏の事跡と全く無縁ながら余興として載せておく。　本日は、寒風にさらされながら午後中水仕事をしていたが、寒さはさほど感じなかった。なにか満ち行く月の気配に身体中が目覚めているかのようだ。　今年の僕のテーマは「キノコチック」。このテーマに沿いイメージレッスンを開始している。

2011年01月12日

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上弦まじかの月を見つつ

　　今日は、若い相棒のA君が仕事の件で会おうと言ってきたので退勤後大阪の「七福神」で待ち合わせ。今年の春からの共同事業の打ち合わせと、人生問題全般について大いに語りあって杯の形の上弦まじかの月を南の空に仰ぎつつ帰ってきた。　仕事の面でも新春早々早くも転換期の予兆が本日2件発生。面白くなりそうだ。　昨日葛野秦氏の本拠地を巡り歩いて考えたことは、中臣の藤原氏と秦氏の意外に近しい関係である。中臣神道の理論を緊急に調べ上げなければならないと感じたことだった。　蘇我氏、藤原氏、秦氏はそれぞれの志向が酷似しており、従来の教科書通りの敵対図式では矛盾が生じること甚だしい。それぞれ我が国の将来を憂い同族の利害以上に理念や信ずるところに忠実に生き抜いた集団であることも共通している。　こちらのほうもきのこ的課題として早急に自身の考えを整理していかねばならない。　写真は天竜寺でみそめた夫婦地蔵。ようやく青二才から脱した私の元服の日にふさわしい寒暖相半ばする一日、月読神社でみとめたとってつけたような陰陽石にはさほど感動はなかったが、日おもてと日うらを分かち合いながら支え合う陰陽二体の地蔵像には、僧形の地蔵石仏に余り関心のない私ではあるが心動くものがありメモっておいた。

2011年01月11日

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洛西・葛野(かどの)秦氏を訪ねる旅。

　雪がちらほら舞う成人の日の10日、松尾大社にはじまり、月読神社、大堰川の渡月橋、大酒神社、広隆寺(蜂岡寺)、双が丘(ならびがおか)、木島神社をめぐってきた。京都の冬のエッセンスを一身に浴びながら、巡るほどに心が洗われていくようなすがすがしい一日であった。双が丘は町中の赤松、スギ、コナラなどの雑木から成る小丘で磐くらもあり、登る人とてなくすがすがしい小山で以前から辿ってみたいところだったが、本日ゆくりなく実現できた。路面電車まがいの京福電鉄(嵐電)もたのしい乗り物で嵐山駅構内には足湯ももうけられなかなか粋な計らいで感心した。　広隆寺の、聖徳太子が秦河勝に贈ったとされる弥勒菩薩と、同じく通称、泣き弥勒といわれる二つの木造佛の面前ではじっくりと時間をかけて対話を重ね、古代人の太陽信仰の記憶を今に伝える木嶋坐蚕社(きじまにますこのやしろ)神社の三つ鳥居を踏破して旅の目的はすべて終了した。この日の印象はまた改めてここでも紹介するが、写真は弥勒像との対話を終えて堂の外へ出た折りにみとめた放生池の水底の枯れもみぢ。この日、ようやく成人の日を迎え、大人になった最初の日の印象としてここに掲載しておこう。

2011年01月10日

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映画『デザート・フラワー』を観てきた。

　連休の中日、私は早朝1回きり上映されるテアトロ梅田の『沙漠の花』を観に駈けつけてきた。やはり梅田ともなるとこんなマイナー系の映画でも行列ができ、小さな映画館がほぼ満席。上映映画の質と相まって劇場のロケーションもとても重要なことを示唆している。　その映画は、身体工変の文化と伝統をもつイスラム圏の沙漠の遊牧民の家庭に生まれた女性・ワリス・ディリーがアフリカの砂漠世界から抜け出してトップモデルの地位を獲得するまでの数々の辛苦の人生を現代ヨーロッパ世界での華やかなシーンに乾燥サバンナ地帯での生い立ちから脱出までの映像をからめながら進行する。しかし、その眼目は終章に到ってしめされることになるが、その伝統をもつ社会に生まれた女性はすべて不衛生きわまりない手段で生後まもなく女性的な部分をすべて切除され、その部分を縫合し貞操を強いられ、加えて結婚の暁にはその女性をめとった男性が縫合部分をナイフで切り裂き、一体化するという生涯に亘って苦痛しかない凄惨な人生を強いられる女性差別の実態を告発したものだ。映像でも充分伝わってくるが、その伝統と慣習には口減らしの意味もたしかにあるようで、事実ワリスとその2人の姉妹は施術後、感染症で高熱にうなされ、妹の一人はそれがもとで亡くなり、もう一人も出産の直前に赤子もろとも死亡したと彼女みずからが語る。しかし、リヤ・ケべデ演じるワリスの半生は強靭そのもので、さまざまな人生の岐路でかろうじて救いの手が差し伸べられるのをしっかりと掴み生き抜いていく様は爽快でもあった。　しかし、生きる勇気を与えられ鼓舞されるといった内容からはほど遠い映画で、鑑賞後強烈な余韻とともに何度もワリスとその背後にうごめく無数の性差別を受け続ける女性たちの影がちらつき深く考えされられるものをもっている。　観客の入り次第では、今月14日頃に上映は終わるというがぜひ見て欲しい映画のひとつである。梅田ではテアトロ梅田(早朝9時45分はじまりの1回)、神戸ではシネ・リーブル(夜の7時過ぎからの1回)の2館のみなので急ごう。

2011年01月09日

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塵と向き合う日々。

清掃の仕事について塵と向き合う生活をはじめて日常の何でもない動作の中に悟達があると言った道元のことがようやく理解できるようになった。　私は塵というものは時間と深い関係があると思ってきた。箒で掃き清めていくと何にもなさそうな廊下やホールから塵が湧いてくるように姿をあらわす。これはまさに、私たちの意識の外で時が流れていることを実感させてくれる。掃くというのは芥をかき集めること以上に清める意味がある。墓参のとき、墓石に水をかける行為を軽視する仏教徒がいるが、これはインドや中国ではいざしらず、神道の神々と抱きあう形で成り立ってきた我が国の宗教をになう人としては失格である。水をかけるのは清める意味が第一義であって墓石を洗うためでは決してない。　面白いことに鹿に土と書く「塵」の象形文字は、漢和中辞典で調べてみると鹿の群れが走り去ったあとに土煙りが舞いあがるさまを活写したものだという。土埃がその正体であるらしい。高階のマンションの掃除をしていると、住民たちの生活時間を第一の目とすると、わたしの目、すなわち第二の目があり、それ以外に第三の目でしかみえない時間がゆったりと流れているのを実感する。そして私は、すぐその気になるのが悪いくせなのだが、なんだか掃除をするために生まれてきたような気になっている。あぶないあぶない。　昨日の金曜日は、そんなことを考えながら一日掃き清める生活に没頭し、退勤後ダウンタウンの書店へと暮れなずむ空に繊月がつかの間現われたのをみとめつつ徘徊した。随分と日脚も伸びてきた。なんだかとてもワクワクする散策のひとときだった。　夕映えの街の向こうに右から羽束山、宰相山、そしてやや左に控えめに佇むのが大船山。

2011年01月08日

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映画ポスター展はじまる。

　　かってギャラリーきのこを応援してくれていた映画業界人の今は亡きFさんが［映画好きの人たちに」といって寄贈してくれた膨大な量のハリウッド映画を中心に各国名画ポスターの展示即売会がはじまりました。　どうぞ余暇時間がすこし余分にたまわったときなどにご来廊の上、じっくり時間をかけてご覧くださいませ。

2011年01月07日

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ギャラリーきのこ2011年1-2月のご案内

　　　　　　　　　みなさま、新年あけましておめでとうございます。[ギャラリー]11:00~6:00 　　水曜、金曜、日曜営業　　(金曜日―ロシア料理、日曜日―キノコ料理あり) 　　　　　1月5日(水)より映画ポスターの展示、販売をおこないます。[サロン]1月７日(金)臨時休業14日(金)6:00　第77回不思議なお茶の会　　会費1,500円　　　　　　　「リーザのロシア料理で新年を祝う」21日、28日(金)6:30　ロシア語会話クラス　会費2,000円23日(日)6:00　キノコ料理を楽しむ会　会費2,500円＋お酒代　定員8名(要予約) 「ポルチーニを使ってイタリア料理に挑戦!!」30日(日)4:00　第43回DVDでシネマを楽しむ会　　　会費1,000円　　　　　　　『狩場の悲劇』(1978年、ソ連)　チェーホフ作探偵小説の映画化2月4日、18日(金)6:30　ロシア語会話クラス　　　会費2,000円6日(日)5:30　北村康一グルメ亭　　　　　会費3,000円　　　定員8名(要予約) 「牛テールとチーズとワイン」牛テールの赤ワイン煮、まぐろのカルパッチョ、　　　　チーズフォンデュー、ニョッキ、ワイン11日(金)6:00　第78回不思議なお茶の会　　会費1,000円 (解説、通訳あり)　　　　　　　「中央アジア、キルギスの今」　　講師　ジュマリエフ・トクトボロト20日(日)4:00　第44回DVDでシネマを楽しむ会　　　　会費1,000円　　　　　　　『炎628』(1985年、ソ連)　エレム・クリモフ監督26日(土)5:30　第8回「映画で学ぶロシア語とロシア文化」　　お茶代500円 ?Ирония судьбы Продолжение? Тимур Бекманбетов　　　　27日(日)臨時休業　会員限定の木曜サロン(6:00～10:00)は1月6日、20日、2月3日、17日です。同日3:00からウクレレのレッスンがあります。お問い合わせください。ギャラリー　きのこ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Tel/Fax 078-802-2339 kobekinoko.exblog.jp

2011年01月06日

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宝石のような１日。

　正月早々、貴重な休みをたまわった。いつもなら、ついフラフラ出て行くのだが、今日はじっと我慢。　年末年始より、私はここ数年来キノコにからめて継続してきた秦氏・物部氏らの痕跡を求める旅を見つめなおしている。ゲニウス・ロキ(土地の精霊)としてのキノコの声に誘われながら普段気付かないささやかなこれらの氏族の遍在する痕跡を探し求める旅も続けていると段々にイメージが出来上がってくる。わたしの中で固定観念と化しつつあるそれをもう一度すべて崩しながら、ジクソーパズルの一断片として見つめなおす作業を今はじめている。　これらの氏族は5世紀雄略朝の頃から文献にあらわれるのだが、いずれも多くの枝流に分かれきのこ的宇宙を形成してきた。その本拠地が上桂に密集する。近く彼の地を訪ねるに際して、もう一度私の中でイメージの再構築を行うため今日はそれに没頭したいと思う。　写真は、白髪岳の肩のあたりから振り返った丹波の松尾山。

2011年01月06日

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大いなる転換期のはじまりに

　20年前、わたしはきのこをカギ穴として「きのこの彼方」に広がる世界をそれぞれが愉しみ形にしようと呼びかけて協会を発足させた。T・T・K(Through The Kinoko=きのこを通して)方式によるアート運動である。多くの人たちの無償の協力により私個人では到底成し得ない大きな成果を上げることができた。　そして2011年の今年、私は個人的には、ここ数年準備してきた大いなる転換点(ターニング。ポイント)を迎えんとしている。これまで培ってきたことのすべてがリンクし火花を散らしはじめる瞬間を息詰めて待つ日々のはじまりである。　もちろん、果報は寝て待てという心境ではまったくない。いや逆に、今年は時代と対峙してつぶされてしまうか、それとも自分の手で持てるアイデンティティーのすべてを粉砕し、ちょっと臭いがどこにも姿はないおならのごとき透明体になるかのいずれかでしかない。いずれにせよ、これまでの人生からは大きく逸脱した生き方を選んでいくことになる。すべては私が強運か否かにかかわっている、　願わくばきのこちゃんたち、精いっぱいの声援をお願いする。　写真は、イギリスでの研究生活を終えロシアへ移動したTさんが、英国を去る前に送ってくれた菌譜ポスター。フランス編のこれともう1種イタリヤ編があり、いずれもギャラリーきのこで販売中。

2011年01月05日

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仕事はじめ。

　本日からいよいよ仕事はじめ。今年は私にとって大いなる転換点となるはじまりの年。新月と日食の重なる本日は、新しいスタートを期するに絶好の日なので意気揚々と出かけた。　雪の少し残る大船山が初夢の余韻をひきずりおだやかに眠っていた。

2011年01月04日

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法橋先生宅の新年会

　正月2日は、老いて益々さかんな法橋先生のお宅で新年会。ここ数年、法橋先生はこれまでの人生を総括すべくロシア文学の真髄に迫る研究に没頭しており、とりわけ力の入った新年会を年末から準備し、先生の主宰する「ム―ザ」同人ほか有志をご自宅に招待したものだ。午後2時から10時まで奥様の手料理とさまざまな美酒を痛飲し、なごやかな対話の中にもピリッとした言葉をそれぞれ受け止めて帰った。　私はといえば、ネフスキー研究のHさんと柳田国男の話が出たので、彼の家系は隠れキリシタンではないかと考えているのだがと話し、資料を送るので調べてもらうようお願いし、遅れてポルトガル語のHさんがやってきたので、カエターノ・ベローゾにはじまり、ブラジル音楽の話、目下マイナー系映画館で上映中の『沙漠の花』の話、ネイ・マトグロッソを日本になんとか呼びたいねなんてことなど延々と話したことである。　写真は、今年たしか78歳を迎えられる法橋先生とその奥様。

2011年01月03日

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新春所感。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　黒き流れひとすじ雪の大旦　よべの雪とはうってかわって晴天となった元日だが、やはり午後遅くから雨が降り山際では雪に転じた。久々に雪の年末年始となってやや心はなやいだことである。　小生の年頭所感は、これまで暗流を成してきたものを小流れにしていきたいと考え、雪のそそぐ昏い川面をみとめてメモったものである。　読みはくろきながれひとすじゆきのおおあした。

2011年01月02日

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おおらかにはじまり、鬱勃と終わった元日。

　　年に一度、家族全員が集うことになっている墓参会。心配された雪もどこ吹く風、今年も穏やかな瀬戸内の気候に恵まれて93歳を迎えた母親を囲みつつがなく終了いたしました。　かろうじて健康であることを祈り、来年も同じ顔ぶれが並ぶことを祈りつつ奥津城を後に神戸市護国神社の北方異民族慰霊碑へまわり、久保田宮司、小野寺権禰宜とも挨拶をすませ、直会(なおらい)にかえて弟の家でいつもの通りおせちをいただき、サーシャ、リーザはロシア正教徒のため生誕祭を控えて肉はダメなのでブリしゃぶであたたまり、リーザさん、サーシャさんから皆にプレゼントが配られ、恒例行事はいつもの通り終了いたしました。　弟の家を辞する頃から、ようやく予報通り雨となり、それからもう一軒挨拶に立ち寄り、深夜六甲の船坂を越える頃には雪、ゆき、ユキ。　しかし、帰宅後たまたま天気予報を見ようとテレビのチャンネルをひねったのが運のつき。ハーバードの政治学のマイケル・サンデル教授の「正義」についての白熱講義のシリーズにくぎ付けになり、この夜と次の夜も深夜3時まで聴き惚れてしまった。教授もすごいが、その講義でディベートする学生のすごさといったらびっくり。やはり、考える若い人たちというのは素晴らしい。ひさしぶりに魂をゆさぶられた。

2011年01月01日

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