夢みるきのこ

　話は変わるが、ついこの間のキリシタン地蔵を巡る旅で、たえず思い出してひとりほくそ笑んでしまう地蔵像がある。写真の地蔵だが、えも言えぬけなげさをたたえていて愛くるしくてならない。最近はまぶたを閉じると彼らの像が次から次へと浮かんでくる。地蔵を示す表徴は錫杖だけでこれがなければ現代アートとして美術館に並んでいても何の不思議も感じられないほどの表現の新しさを孕んでいる。キリシタン地蔵という歴史的な枠組みも大切だが、ときにはそんなフレーミングをとっぱらってまっ白な心をこれらのイコンたちと対面してみる必要がありそうだ。