本日はすっかり忘れていたきのこの話をする日だったので、急遽、現下のきのこ業界の「たかがきのこ」の部分を列挙して「されどきのこ」の内実について少し触れることにし、ジョニィ・デップの「不思議の国のアリス」映画にかこつけてルイス・キャロルのこと、アリスのモデルとなった少女にまつわる小話、アリスの挿絵に登場する催幻覚性植物、月桂樹やコカの木、青虫がスパスパやっているハシシやアヘンの話、そしてジキタリスときのこのこと、麦角菌のことなどを詳しく紹介し、旧世代のきのこ人たちの関心の中心にあるサイケデリック文化とテレンス・マッケンナまで引っ張り出していつものごとく与太話に終始しましたが、結論としては妖怪や日陰者のきのこに異様にスポットが当たること自体、戦争根絶の世紀であるべき21世紀が世界全面戦争の様相を呈してきたきわめて不幸な時代の証しであること。こんな毒の噴出する時代には、毒をもって毒を制する文化を伝える流れを次々と生み出し淡い連帯の輪を作っていく必要があるよねと結論づけました。今日は皿洗いもせず、いろいろきのこの質問攻めで楽しみましたのでスタッフの皆様には申し訳なくおもっています。
しかし、愉しいことは良いことなので、毒は少ないけれど伊丹市立工芸センターの「愉快なきのこ大集合展」は一見に価しまっせと宣伝して乾杯となりました。
写真はルイスキャロルの生涯とその作品世界を彩るムラサキに通底するきのこ世界の優れた食用きのこのムラサキヤマドリタケの図像。