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カテゴリ:島なみクラブ
ようやく日の目を見た『氷雪の門』上映会と、主演の二木てるみさんとシネ・ヌーポゥ代表の景山理さんのトークショウがまず第一の目的。 1974年5億数千万円をかけて制作された日本映画だが、封切り直前に当時のソビエト政権(現ロシア)から圧力がかかり、上映が中止されたいわくつきの映画だ。 しかし、樺太(サハリン)を扱った映画はこれ一本のみで、戦後のわが国では、なぜか過去を忘れたがる風潮があるとしてもこれはおかしい。すでに65年を経て戦争をリアルタイムに体験した人たちのほとんどが鬼籍に入ってしまった今、やはり事実はきちんと伝える必要があり、それが永久平和を標榜してきたわが国のあるべき姿だと思うのだが。臭いものに蓋をしても、解決にはならない。ましてや、停戦条約を破棄して進攻してきたスターリン体制のソビエト権力の非をみとめさせ、現メドベージェフ・プーチンのタンデム政権に謝罪を求めることは理不尽なことでもなんでもない。その上でロシアはわが国にもっとも近いヨーロッパの友好国として新たな未来像を築いていくべきであろう。シベリア、極東の人たちもそれをのぞんでいるのだから。 しかし、日露の領土問題を視野に入れた真の友好関係を樹立しようと尽力した鈴木宗男さんも国策裁判で実刑が決まり、日本は沖縄基地の問題すらあやふやのままにアジアの安全保障の進路をなし崩し的にアメリカ一辺倒の既成の枠組みにはめ込ませようとしている。何か、保身政治家たちがよってたかって、微弱であった不安の種をいたずらにふくらませるだけという感じがいなめない。 そんな日本の外交上の無策に業を煮やし、ロシアはアメリカをけん制する意味で、北方4島のこれまでの領土問題を反古にしてロシアの対アジア、太平洋方面の抑えに飛行場建設をはじめるとプーチンが公言するまでになってきた。非武装中立の立場をあやうくしかねない昨今のアジア情勢に憲法9条を堅持するわが国の真価がいよいよ問われる時代に突入した。 再軍備の声が高まるなかで、平和を維持するための非武装を貫くためには菌類以上にしたたかな戦略が必須である。決して愚かな挑発に乗らず、冷静に我が国の行く末を見定めて行動する政治家の登場が待たれる。 それはさておき、二木てるみさんのトークショウは、期待通りの素晴らしいもので、映画人としての彼女は誠実そのもの。景山さんの巧みな話術も相まってこの映画製作の裏話がふんだんに聞くことができた。おそらく私と同年代だと思える彼女は、劇場映画の終焉を新たな切り口ではじまりにしたい映画人の一人だということは、彼女の情熱あふれる言葉の端々に伺うことができとてもうれしいひとときだった。 昼からは、ギャラリーきのこに戻らなければならないと思いきや、現アート展の展示は今月いっぱい延長することとなり撤収作業にかけつける必要はなくなったので、急きょシネマディ 第二部として以前から封切りが待ち遠しかった『アイガー北壁』を観ることに。 写真は「氷雪の門」制作裏話を語る二木てるみさん。 映画スタッフの方に、私たちの継承し伝えてきた「大戦殉難北方異民族慰霊碑」の関連記事と樺太・敷香(シスカ)特務機関長時代の亡き親父(陸軍中野学校特別一期生)の回想記『ツンドラの鬼』と追悼集『事天の一途』を二木さんご本人に手渡していただくようお願いしてきた。 こうした史実を、政治的にではなく、理不尽な戦争というものに翻弄され続ける同じ非力なものたちのいのちの記録として伝えることの困難さと、それがゆえの大切さをあらためて考えさせられた一日であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年12月09日 22時08分47秒
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