|
カテゴリ:ギャラリーきのこ
ロシアの宗教教育のテキストやカリキュラムのテキストを示し、優しく語る有宗昌子さん 昨年よりはじまったギャラリーきのこのロシア学ことはじめはアカデミズムの枠を超えた新しい知のありかたを示すものとして成果をあげ、この第14回を以って満了した。これから拾遺の企画はあるものの、ギャラリー活動の集大成として関係各位にとっては忘れがたいものとなった。 在野、あるいは目線を最底辺に据えて世界を捉えなおす企画こそが、きのこにとっての新しい地平を切り拓くものであり、この試みはギャラリー活動そのものの明日を感じさせてくれるものとして貴重である。 ロシア正教という、ロシアの宗教文化遺産を認め、国民の心のよりどころとする基準づくりは、70年以上にわたりそれを否定しつづけてきた社会主義国ロシアから脱した新生ロシアにとっても、日本の戦後以上の混乱がある。民間レベルでは問題なくとも国家として、あるいは学校教育の現場で、ロシアの未来を担う若者たちに世界諸宗教をしっかりと把握させ、その中でのロシア正教の位置づけを果たさねばならず、カリキュラムには組み入れられてもその具体的な内容を教育できる教師が圧倒的にいない現状はかなり深刻とのことである。この日は、神戸のロシア正教会の司祭ご夫妻も出席いただき、午後2時より約2時間、その具体的な問題をつぶさに紹介、若者たちのインタビューの結果も交えながら平易に語っていただき、ひと味違う文化論序説となった。 引き続き開かれた講師を囲んでの懇親会には僕は別件があり、参加できなかったが、7時前まで活発な質疑応答があったと聞く。文化というものはじっしりと熟成させなければ根付かない。きのこをメジャーにする活動もいよいよ新しい局面を迎える。明日に向かって一歩でも先に歩を進める心構えで全力を尽くしたいと思った。 さてギャラリーきのこも今年の冬には開廊10年を閲し、これまでの流れを整え新たなステージへと転換する時節が巡ってきたように思える。 「固定は死」きのこは常々そう私に語ってきた。ますます流動的、開放的になるための試みをこの10年さまざまに展開してきたが、次春はどんなスリリングな局面に遭遇するのか今から楽しみである。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年06月09日 17時40分07秒
コメント(0) | コメントを書く
[ギャラリーきのこ] カテゴリの最新記事
|