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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
昨年末にギャラリー島田で開催された大竹茂夫展は、この20年余りの彼の回顧展の趣きのある作品展となった。大竹さんとは元町にあった海文堂ギャラリーではじめて出会って以来25年の長きにわたり親交を深めてきたきのこ世界の盟友だが、今回の新作で特に印象に残った作品は、いずれも、パネルに漆喰・ミクストメディアの冒頭0号の「湿地」と以下の4Mの「ネムリプカに会いにいく」の2作品だ。この漆喰には震災にまつわるいわくのあるものだが、それはさておき、彼の心象風景はこの25年の間に随分と深化して、きのこの前で足踏みしている大方のきのこ愛好家からはるかに遠く旅立ち、すでにスーパーきのこ時代に突入した感すらある。 冬虫夏草の世界でも、研究者としてもめきめき頭角を現し、極東のガラパゴス・日本の枠を超えた活動を展開している。
とりわけ「ネムリプカに会いに行く」は、古生代の生物群を作品世界に取り入れることから特異なスタートを切った彼のいきもの世界観を見事に定着させた作品で、この四半世紀の彼の意識の来し方・行く末がみてとれるものだ。 以下は比較的初期の1995年の「廃墟の肺魚」(キャンパスにテンペラ・50F)と、2001年の「ピレネー越え」(パネルにテンペラ油彩・4M)。特に「ピレネー越え」は僕の記憶が正しければ、漆喰利用の作品としても最初の頃のものだ。
彼の生真面目で真摯な人生に相渉る態度は、どの作品からも立ち上ってくるもので、好感がもてるが、この個展のために新たに制作した作品は冒頭2作品のほかには以下の通り。 「アマニタ倶楽部」(パネルにテンペラ 油彩・2014年6P) 「木乃伊取り」(パネルにテンペラ 油彩・2014年8P) 「きのこ狩り」(パネルにテンペラ 油彩・2014年10P) 「アカイカタケ採集の思い出」(パネルにテンペラ 油彩・2014年3P) 「お辞儀する人々」(パネルにテンペラ 油彩・2014年3P) などなど。 さて、ここ数年来、彼の作品世界はNEXT STAGEへ向けて開かれ、陣痛も始まっている感すらあるが、きのこにまつわる自己意識に足をとられ、いまだ踏み出せずにいる。 そのもどかしさが、これらの新作からは聞こえてくる。 いよいよ、「飛ぶときがきたな」と画廊を後にしながらに思ったことである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年01月30日 18時24分16秒
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