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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
大阪市内を実際に走るようになると、点でしかなかった様々なトポスが、実に緊密な関連を以ってつながってくる。 今回は諦めていた浮田要三展、仕事着のままで申し訳なかったが、何とか会期中にすべりこむことができた。 「夜の顔」や「シープシップ」で大活躍の猿沢恵子さんの先生だ。 撮影禁止のため、「具体」に拠った作家を具体的に紹介できないのがいささか残念だが、この作家の個々の作品は、僕達世代にはなつかしいドンゴロス、鉛が素材として頻繁に用いられており、時代を彷彿させてくれる。 しかし、この作家の真価は、戦後まもなくの1948年創刊し1962年まで発行しづけた「きりん」誌がすべてだ。あとは強烈な自己意識の残滓、いわば余禄であったような気がしている。 「人間とは、悲しみの塊である」この認識に徹して、作品を制作しつづけることを人間の業と心得たひとりの無骨ともいえる男のその折々の生のかけらが干からびた洗濯物のように並んでいた。 引続き、福島区福島のLADS Gallery(T&F・06-6453-5706)で浮田要三 遺作展として、9月22日(火)~29日(火)12時から19時まで開催される。今回を見逃した方は是非作品と対話してくると良い。 この江之子島文化芸術創造センターは安治川沿いにあるのだが、この泥の川を隔てた向かい側に浅井淳介くんのステンドグラス作品が飾られている日本聖公会・川口教会があることをSさんから教えられ、ついでに覗いてきた。
運河のような流れの側の古き良き大阪の忘れられた一角。そんな界隈の煤けた煉瓦造りの教会。 ここにも人間の業としての制作を続けてきた淳介くんのささやかな悲しみの塊が日を返していた。
昼休みの1時間余りのごく短い時間ではあったが、泥の川を隔てた二人の「悲しみの塊」を辿り、初秋の昧爽を思わせる気色に胸ふくらませて仕事に戻った。
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最終更新日
2015年08月22日 23時49分22秒
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