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夢みるきのこ

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2018年11月07日
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カテゴリ:川西きのこクラブ
   
  写真左より Kさん、吉田正さん、S画伯​​

  きのこ鍋の会でもうひとつうれしかったのは、20数年前に神戸サンパルでの私の初の写真展『きのこ夢幻』で現像から設定までお手伝いいただいたというKさんと猪名川美術協会の吉田正さんとお出会いしたことです。Kさんはそれ以来きのこに魅せられ写真を撮り続けてこられ数年前、明石できのこを巡るKワールドともいうべき写真展を開かれたとききます。「きのこのアーティストの朋、遠方より来たる。また愉しからずや。」ですね。
 
それともうひとかたは、針金アーティストの吉田正さん。奥村彪生さんと同年配の矍鑠たる人物で、まもなく日生中央でいなび展がはじまるというのでS画伯と連れ立って行ってきました。


​六牙の白象​
仏陀の母・マヤ夫人は、六牙の白象の夢を見て懐妊し、仏陀が誕生したとつたえられます。
六牙とは菩薩になるために必要な修行法である六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)を意味しています。
その伝承から吉田さんは普賢菩薩が六牙の白象に乗り、六波羅蜜によって仏教を広めることを仏陀に誓う場面を表現した作品を手掛けられました。

 このいなび展は川西美術協会展とは一味ちがう、作家と鑑賞者の間の敷居が低く現代アートへの志向が強いものでとても楽しめました。今年は私の関係者の美展が方々で開かれており、記事が追いつかなくてハクハクしていますが、いずれ「かわび」と「いなび」の作家作品も比較してここでお伝えしたいと思っています。

        
講談社 2004年12月刊行『神々の闘争 折口信夫論』安藤礼二 著
さらにおまけのはなし。
 この猪名美展訪問の際にS画伯は川西図書館が閉架棚の空きを確保するために、無料放出する図書を三冊私のためにとってくれていました。
 『穎原退蔵著作集』の蕪村関連の巻。単行本でもっている私の蕪村の周辺人物に関する書物の隙間をきっちり埋める著書でとても重宝するものです。
 原色図鑑『夜蛾百種』果実を吸いに来る吸蛾類を中心とする図鑑で、ヤガという名称がその多くが矢じりの形をしていることからと思ってきましたが、それが夜行性の蛾という意味のヤガ(夜蛾)であることをはじめて知りました。調べてみるとヤガ科のラテン名もNoctuidaeでやはり「矢」ではなく「夜」のようです。1989年の全国農村教育協会の刊行ですが、写真の見事なこと、また果実吸蛾類のきわめて緻密な報告であること。
これら嫌われ者のモスラに対する森介計(愛媛)・川村満(高知)・川沢哲夫(高知)らの著者の熱情に感動を覚えました。

 そして極めつけは安藤礼二の『神々の闘争』。彼が群像新人賞の評論部門で優秀賞を受賞したことはリアルタイムで知っていましたが、文学論としての「折口信夫論」と早合点して内容まで精査することなく今日まで来てしまいました。
本書は、2001年9月11日の事件で急速に確定したテーマだったと安藤氏は述懐していますが、受賞作からあとの論理展開も含めてこうした合本の形でまとめていただいた論文集は、安藤氏の思想形成をしっかりと跡付けることのできるとても貴重なもので、震えながら読みました。

 S画伯は大学図書館で司書の仕事を長年勤められてきたこともあって、抜群に本に対する嗅覚がするどく、本書の1ページを見開いただけで、当面の私の問題意識に激しく抵触する内容と察知して取り置いてくれたのです。
 この手の本は<ながら族>の僕にはつらいものがありますが、その日よりテレビもラジオも音楽も一切遮断して缶詰状態で2度精読し、昨晩遅くようやく読了いたしました。神々の闘争は僕には睡魔との闘いでした。2度目もはじめて読むような新鮮な思いでした。まだノートをとる作業が残っていますが、3度目も同じ思いで読むことでしょう。
 本書ではじめて、当初私には唐突に思われた満州国の民族研と西北研のイスラム研究が、明治維新につぐ昭和維新の思想的根拠をもったものであり、「大東亜共栄圏」の宗主としての天皇の問題に深くかかわってきたことも実に明快に解きほぐしてくれていました。そして折口のそれは、台湾の蕃族報告書からの示唆で体系化されたと書かれています。そこで早速TSUTAYAへ行って霧社事件に取材した4時間余りの大作映画『セデック・バレ』を予約してきました。
 本書は、私の終生のテーマであるアジア型一神教としての天皇制の問題に深くかかわっているのですが、そのテーマは広大無辺で、「月のしずく」にどうまとめるかで目下頭を悩ましています。
 ただ、本書を読了した今、世界を見舞っている今日的な課題を止揚することの困難度がさらに増したと考えざるを得なくちょっと疲れています。「みこともちのシャーマン世界の王たる天皇も頼りにならないとなると、さて僕たち、どうしたらよいのかな」というのが正直な読後感です。

 しかし、画伯の指摘がなければ本書の内容を永遠に知らないままであっただろうことを考えるといくら感謝しても、し足りない思いがしています。  おかげで私の20年以上かけて問い続けてきたこれまでの探求の限界点がはっきりしました。
本当にありがとう。





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最終更新日  2018年11月07日 11時20分02秒
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