ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
ポール・トーマス・アンダーソン監督の2007年の作品。今年のアカデミー賞を「ノーカントリー」と争ったと言われる。1900年ごろのカリフォルニアで、ダニエル・デイ=ルイスは油田を探しに、息子のディロン・フレイジャーを連れて渡り歩くという物語。犯罪ドラマではないのに、暗い雰囲が全編に漂う。主人公は恋もユーモアもなく、機械のように仕事一筋に働く。この人間描写は「ノーカントリー」と似ていて、最近の作品の流行なのであろう。ストーリーは起伏があまりないのだが、2時間30分退屈することはない。しかし、感動や笑いがないのは何か寂しい映画である。ポール・ダノが熱狂的な牧師を演じており、「風の遺産」と同様、当時のアメリカ社会にキリスト教が大きな力を与えていたことを表している。★★★