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raskiのマジックとミステリの部屋

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クロースアップマジックの本その4

"Secrets of Mental Math: The Mathemagician's Guide to Lightning Calculation and Amazing Ma...
" Arthur Benjamin ,Michael Shermer
数学に基づいたトリックと、速算術のやり方を段階的に解説したテキストです。段階的、というのはこういうことです。つまり、最初は二桁の数同士の足し算(暗算、以下すべてそう)からですが、進むにつれて3桁の足し算、引き算、そして二桁と一桁の掛け算、三桁と一桁の掛け算、二桁の二乗、二桁同士の掛け算、そしてなんと3桁の二乗まで扱っています。すべてマスターするのはなかなか大変ですが、二桁の二乗ぐらいまでは、スムーズに暗算できるようになると思います。そこから後はじっくり行けばいいでしょう。

 トリックの章では、フィボナッチ数列を利用した早い足し算と予言、魔方陣の作り方と不思議な法則、予言などがあります。「フィボナッチ数列を利用した早い足し算』はジョージ・シンドラーも解説していますが、それに付随する予言はシンドラーの解説にはありません。魔方陣の作り方はしばしば見ますが、秘密の法則は初耳でした。さらに、ある数は何の二乗かをすぐに言い当てると言う超人的計算に見えるトリックをありました。

 このようによく読むと新しい発見があるのですが、この本の最大の功績は、速攻計算の正統的な方法(数学の計算に基づいた方法)と遊びの世界を合体させたことだと私は考えています。たしかに速攻計算の本はほかにもありますが、「頭をよくする」や「生活に役立てる」ということを重視していたように思います。それは悪いことではありませんが、やや功利的です。最後の章は少し除きましょうか。オカルト批判みたいな内容ですので。オカルト批判は多くの人にとっては遊びではないでしょうから。

 オカルト批判の章を割り引いても、遊びと速算術の融合はしっかりと見ることができます。トリックを扱っていることからしてその証拠です。また、トリックを扱っている本で、速算術の数学的方法を扱っているものも少ないという印象があります。(統計を取ったわけではないので、あくまで印象なのです)

 "Secrets of mental math" は、内容はもちろん意義があります。しかしそれだけでなく、少し言い換えて、トリックの世界と速算術の世界を、遊びの世界というところで統合したという意義を持っていると思います。

"Advanced magic" Magical Ovette

 Magical Ovetteという、おそらくはプロのマジシャンによって書かれた本です。出版年代は、本文から考えておそらく1920年前後でしょう。(詳しいことは2月28日の日記を参照)。他に、"Tricky-Tricks"や"The Magicians New Field"を記したということはここでも言及しておきます。その2冊の内容は不明ですが、幾人かのマジシャンに絶賛されたと本文にはあります。

 第一部では、ステージマジック用のテーブルの作り方を紹介。第二部は、カードマジックを紹介。ここに限って言えばかなり実用的です。いくつかご紹介。

Easy picking・・・・観客は4枚カードを選び、それをデックに戻します。演者はそれを2組に分けて左右のポケットに入れます。そして選ばれたカードを取り出します。

Unique card location・・・・観客はカードを1枚選び、それをデックに戻します。演者はデックを背中に回し、4枚のカードを示し、その中に選んだものがあるかどうか聞きます。観客があるというまで繰り返し、あるといったときに、他には質問なしで4枚の中から選ばれたカードを抜き出します。

simple force・・・・観客と演者はデックを1回ずつリフル・シャフルによって混ぜます。トップから一枚ずつ配っていき、最初に出た赤色のカードを覚えます。そのカードを演者は当てます。これは、チャールズ・ジョーダンの、「ワンダー・フォース」と同じものです。

 次はステージ向きのマジックです。花束がランプに変わるトリック、山のような花が現れるトリックなど。

 その次はマジシャンへのアドバイスです。オベットが指摘していることは次の4点です。
1、いつも同じマジックばかりやるのはいかがなものか。
2、日常の品物を使おう。
3、失敗をカバーできるようになろう。
4、マジックの本は実演可能なものを扱うべきだ。(自己言及は無しか?)

 最後に特筆すべき点として、マジックの種を推測してみようというコーナーがあります。答えは載っていません。女性の出現マジックです。

 古典的なステージマジックの演目を知りたいときや、道具について知りたいときは参考になります。文字のかすれ具合やイラストなど、非常に雰囲気のあるテキストです。


"Smart Science tricks" Martin Gardner
 マーチン・ガードナー氏による科学マジックの本です。『自然の原理を知る手品』と同じく、マジックらしい科学トリックが多く解説されています。

 この分野の常としては、材料が準備しにくいということがあります。何とかナトリウムを・・・なんていわれても困ってしまいます。”Smart Science tricks”においても、家においてなさそうなものを使ったマジックがあるのは事実です。レモンやゴムチューブなどです。しかし、大部分はコップや紙など、家にあるもので演じることができます。家にないものだとしても、たいていは100円ショップなどで購入できるものです。

 前もってちょっとした準備が必要なマジックもありますが、即席で演じられるものもいくつか載っています。ジャンルは、パズルトリック、バーベット、超能力風マジックなど多岐に渡ります。(科学手品なのに超能力風というのは皮肉でしょうか?)

 面白そうなものをいくつか取り上げてみましょう。

A water mark code・・・・白紙を水にぬらすと、メッセージが浮かび上がってきます。特殊なインク、薬品、紙など不要というのですから驚きです。私は、「水にぬらすと現れる予言」という感じで実際にやってみました。

The rising coin・・・・マッチ箱をたたいていると箱からコインが勝手にせり上がってきます。 見ていると、なんだかユーモラスな現象だなと思います。
 
The walking hairpin・・・・ナイフの上に載せたヘアピンが勝手に移動します。超能力風です。

Stop your pulse・・・・脈拍をとめます。あるミステリ小説で使われていました。

The ball that rolls uphill・・・・低いところから高いところへとボールが転がります。演者も不思議がることができます。

 実験として、マジックとして、お楽しみください。




 

 


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