2007/07/09(月)22:28
緑衣の鬼
江戸川乱歩の『緑衣の鬼
』を読みました。この作品は、ある海外のミステリに基づいて作られた、いわば翻案作品だそうです。私は何の作品の翻案かを知って読みましたが、楽しむに悪影響はほとんどありませんでした。もとの作品について記憶があいまいだったから、というのも理由のひとつでしょう。ただそれ以上に、乱歩が持ち味を生かしてスリル満点の作品に仕上げたから、という点が大きいように思えます。原作はがっしりした構成の良作ですが、スリルの作品とはいえないように思いますので。『緑衣の鬼』では、水族館廃墟での捕り物や、悪魔の?影の出現などがあります。密室からの消失も。
なんかこの作品の探偵は、少し嫌な感じの人物だという印象を受けました。ぽ和露なんかだと、人々に名前を知られていないことが発覚するシーンがあったり、外見が奇妙だったりと、まだ許容範囲なのですが。
ちなみに、スリルと並んで、最後のほうで見られる推理合戦もなかなかの見ものでした。犯人はいったい・・・。