raskiのマジックとミステリの部屋

2007/09/13(木)22:52

皇帝たちの大きなビックリ。

マジックの本(109)

 前回はマジックの歴史について少し書いたので、今回もマジックの歴史についてちょっと書いてみようと思います。とは言っても今回は単純に、前に言及した『ハーマンの本』の内容紹介ですが。前回が東洋の奇術史だとしたら今回は西洋の奇術史です。  私が読んだところは、カール・ハーマンの伝記部分です。彼は、アレクサンダー・ハーマンの兄です。カールは、1816年に生まれ、1887年に死にました。1887年ごろというと、ちょうどプロフェッサー・ホフマンが活躍しているころですね。ホフマンに「秘密をかたくなに保持している」と批判されたマジシャンたちの中に、ハーマン兄弟も入っているのでしょうか?確かに「ハーマンの秘密を明かしている」この本の著者はハーマン自身ではありませんが・・・。  ともかく、驚くべきカール・ハーマンの技を見ていきましょう。彼に驚かされた人の中に、当時の皇帝がいます。  犠牲者の一人は、オスマン帝国(およそトルコの当たりですね。13世紀から第一次大戦終了まで、長い!)の皇帝(=スルタン:イスラーム圏の君主はスルタンと呼ばれます)の、アブドゥル・アジズという人です。カールは・スルタンに高級な時計を借ります。そしてそれを海に投げ捨てます。普通であれば皇帝の怒りを買っているはずです。しかしむしろ皇帝はカールを褒めました。皇帝のポケットから時計が現れたからです。  このマジックがすごいことは疑いありません。しかし、皇帝に対してこのような演技を行うカールのほうが恐れを知らぬものすごさを秘めているようにも思えます。(こういう話は他にもあるようですが)。このような大胆さも偉大たらしめている要因なのかもしれません。スルタンはカールに莫大な報酬を与えます。(民衆はどうした!)。  次の犠牲者はロシアの皇帝(=ツァーリ:帝政ロシアの皇帝をツァーリという)ニコライです。彼もカールに莫大な報酬を与えました。  マジシャン、恐ろしいです。国と身分の壁を破っているように見えます。歴史の教科書にはマジシャンは多分出てきませんが、面白いエピソードはたくさんたくさんたくさんあるようです。

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