455328 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

hoshroのブログ

hoshroのブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

hoshro

hoshro

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Rakuten Card

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

コメントに書き込みはありません。

Headline News

2020.01.18
XML
カテゴリ:俳句バイキング

宮本百合子といえば、ミヤケン(宮本顕治・元日本共産党委員長)の妻、プロレタリア文学の女闘士のイメージだが、最近ふと読んだ「伸子」が衝撃的だった。
商社マンらしい父親(実父は建築家・中条精一郎、現存する作品は慶應義塾大学図書館等)の長期出張に伴って渡米しC(コロンビア)大学の聴講生になって、そこで滞米10余年、15歳ほど年上の日本人苦学生(古代イラン語研究!)と恋に落ち、周囲の反対を蹴とばして結婚。帰国してから実母と冷戦状態に入るがその心理(言葉)のかけ引きがすさまじく、これがほぼ実生活をなぞっている。その経過を小説(ほぼ実録)にして母親の激怒であやうく勘当・・・といった生々しさが凡百の自然主義文学(『布団』しか読んでないが、これと比べると能天気もいいとこ)をブッ飛ばす勢いだった。
ことのついでに、男たちがなんとも頼りない。気前のいい平和主義者の父さんにしろ、プロポーズされる!まで結婚を諦めていた夫(最後に捨てられる)にしろ、娘・妻に対する言葉づかいの半分がですます体なのが不思議。
次いで17歳の処女作『貧しき人々の群』を読んだら、これがまたスゴかった。坪内逍遥が絶賛、天才閨秀作家誕生と騒がれ、本人は日本女子大を1学期で中退して作家活動に入った。
東北の貧農の村に地主の娘として短期滞在するうちに、貧乏人たちへの人道的義務感に駆られる娘の心理が全編に躍っている。クライマックスは町の上層婦人たちの村に繰り出し手の施し活動のシーン。
・・・狒々婆は軋むような声を張り上げた。「お情深え奥さま方!どうぞこの気違え息子と、口も利んねえばかな餓鬼をご覧くださりやせ」・・・お嬢様育ちの女高師付属(トップエリート)の女学生が、なぜ夏季休暇の滞在だけで貧民たちの下卑た会話を生き生きと描けたんだろう?
裾にすがり付かれた上層夫人はパニックに陥る。これが東北貧農の現実だったろう(同輩の宮沢賢治の童話からは絶対分からない世界だ)。同時に作者は、貧民たちの獣性、狡猾さにも容赦ない(忖度とは真逆の世界!)。
異なる階級の裸の人間と人間がガチンコでぶつかり合う世界を、未熟ながら渾身の力で描ききった17歳! (一人称と全知視点がチャンポンなのが多少気になるが)観念的な理想主義の逃げ場もなく、たぶんフィクションの余裕もない書きっぷりは東北貧農の実情に近いんだろう(賢治童話がなんと観念的なことか! ま、そのせいで地方性・現実性をまとわずにケガの功名の普遍性・大衆性を獲得できたわけだが。)
宮本百合子(1899~1951)、宮澤賢治(1897~1933)人妻落としに血道を上げる悪ガキの話『肉体の悪魔』のレーモン・ラディゲ(1903~1923)と同世代作家を並べると・・・芸術家の人生もいろいろだ。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.01.21 16:15:38
コメント(0) | コメントを書く
[俳句バイキング] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。



© Rakuten Group, Inc.