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カガワちゃんの毎日。

カガワちゃんの毎日。

春をまつ。



毎日毎日、こう寒い日ばかし続くと、身も心も
縮こまってしまいそうになる。
今日、買い物のついでに、お花屋さんに寄ってみた。
あまり高い花は買えないけれど、ピンクと薄紫のきれいな
スイトピ-を少しだけ買った。
自分のために花を買う。
ささやかな贅沢。
でも、これだけでも、なんとなく心が浮き足立つのがわかる。
鼻歌まじりで帰路につき、そっと生けてやると
少女のスカ-トのフリルのような、その花びらは
凛とした居住まいで、まだまだ遠き春を告げているかのようだった。

まだ22か3だった頃、
私は、あることで悩み苦しんでいた。
しかし、今にして思えば、そんなもんは屁くらいの悩みで、
その後の人生の方が、はるかにいろんなことがあったのだから
若さゆえの盲目のための、おしりの青い、とるにたらんような
悩みであった。
しかし、そうは言っても当時の私にそんな達観があったわけでもなかったので、
重く深い悩みだと思っていた。そして、そんな自分にちょっと酔っていたかもしれん。
ある時、会社の先輩のお見舞いに行く機会があり
花屋で目にとまった花束を買ってバスに一人乗った。
たしか今時分の季節であった。
花はピンクと薄紫のスイトピ-だった。
ちょうど夕暮れ時で、私はバスに揺られながら、心細いような気持ちで
手元の花を見た。
花びらは凛としていて、
そのときの私の気持ちをどう言ったらいいのだろう。
こんなにきれいな色の花びらに
負けないように、強く強くありたい、と思った。

花を見て、あれほど激しい気持ちになったのは
あとにも先にも、その時だけだ。
スイトピ-を見ると
不安そうにしながらバスに一人乗っている自分を
思い出す。
そして
大丈夫。そのまま進んでいっても大丈夫だから。と
肩をたたきに行ってやりたい衝動にかられる。




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