2007/04/11(水)14:38
マナのちから
今までの人生の中で、マウイが私に与えてくれた大切な「縁」がふたつある。
ひとつはやはりB.D
彼が私の人生の中にいることを自然なことだと思えるようになった今でも、あの空港での出会いは何かに取り持たれたというような不思議さを感じずにはいられません。
そしてもうひとつは60代のカップル、バーバラとロバートとの出会い。
その当時、私は問題を抱えていて入院するほど体調を悪くしていました。
私を思ってくれる愛情と自分の思いの板ばさみになっていたのだと思う。
とにかく逃げるようにして一人でマウイへ行ってしまった。
いつもひとりでぼんやりと座っていた。 ビーチでも、ラナイでも、カフェでも。
マウイの空気の中で過すうちに、不健康にぎすぎすと痩せた体がなんとなく調子を戻し始めるのを感じた。
その日も、コンドミニアム前のビーチでぼんやりしていると 「コンニチハ!」 と声をかけられてハッとした。
とっさに 「こんにちは」 と返したものの、この何日間か自分から声をあまり発していなかったことにも気が付いた。
たっぷりとふくよかな体にぱーっと笑顔が広がっていて、自然にこちらも笑顔になる。
それがバーバラとの出会い。
私たちはビーチでしばらく話し、そのうちにロバートが加わった。
彼らはリタイヤした後、私が滞在していたコンドミニアムのひとつを買い、アメリカ本土のお家と行き来をしているという。
かなりの日本びいきで日本が大好きだ。
時間を忘れるほど話しているうちに3人で泳ぐ事に。
泳げない私とバーバラに巨大な浮き輪をロバートが持って来てくれる。
波にただ浮いて話す。
「マウイは一人で来る場所じゃないのよ」 というバーバラの言葉に不意に涙が出てしまった。
一緒についてくる(?)ロバートを遠くに追っ払ってからバーバラは
「ひとつドアが閉まってもかならず次が開くようになってるの。 私の経験でこれは絶対確か!」 と笑って言ってくれた。
その後、私たちはプールサイドに場所を移し再び話し込んだ。
陽射しが痛いほど熱いのを感じながらも夢中になって。
旅先でよくある楽しい現地の人との出会いだとも思ったけれどとにかく気持ちの向くままにしておいた。
そしてその夜鏡に映った自分は真っ黒に日焼けしてとっても元気そうな顔つきになっていたと思う。
次の日マウイを発つことになっていた私を最後まで見送ってくれた彼ら。
その後、一度も会っていないけれど手紙のやり取りや電話などでお付き合いは続いています。
もう一度、ラハイナのコンドミニアムに泊まった時は部屋にレイを届けてくれたことも。
これには感激しました。
去年はめずらしくお互いの手紙のやり取りが止まってしまった時期がありました。
お互いにおかしいと思いやっと連絡を取り合ったとき、バーバラたちは息子さんを、私は父を亡くしていたことがわかりました。
すぐに私もお悔やみの手紙を書いて送ったところ、小包とともに手紙が届きました。
今はオレゴンのお家にいる彼ら。
雪がとけたら息子のために木を一本植えるつもりであること、その横にはもう一本あなたのお父さんの分も植えるわね。
ここからはMt.Jeffersonがよく見えるから。
そんな言葉に涙が止まらなくなった。
あのビッグスマイルが悲しみに曇っている事を思うと私も胸が痛む。
いつかマウイで再会したい。
私達の合言葉 「Cook our brain by Maui's sunshine! (太陽で頭がイカレル)」 で大声で笑いあいたい。
マウイは大切な出会いをもたらしてくれる・・・
いつも私の中にその思いがあったのですが、結局のところマウイがその「出会い」自体を与えてくれるのではなく、その出会いを引き寄せるために私の心を開かせる力がマウイにはある、とこの頃は思うのです。
これこそが「マナ」の最大のパワーでしょう。