カテゴリ:小さなバスケット
一年一片 集めた花びら 数え切れない 重ねた年月 手のひらいっぱい 集めた花びら 初めて拾った 遠い昔に 時の流れを見るように ゆるり 流れる風を見る 口付けるように息を吐く 白い花びら舞い踊る 舞い飛ぶ花の間から 笑うあなたの姿が見える 一瞬だけの邂逅は わたしの中に ずっとある 眠るあなたの 重ねられた手の上に 届け 春の風に乗り 静かに眠る あなたに届け ***** ある春の日、人間界の時間で言えば午後3時ちょっと過ぎ。 女王陛下のお花畑で… 遠い昔、ハナは人間界から桜の苗木を持ち帰り、ここに植えました。 それからは毎年桜の頃になると、地面に散り咲く花びらを一枚拾い、 宝箱にしまいこむのです。 時間の流れの外に置いた宝箱に。 誰も知らない秘密の儀式。 毎年毎年繰り返される… *** 渦巻く時の流れの中から 宝箱を取り出して そっと優しく開けてみる 時の香りがいまここにある …なぜか優しい気持ちになった 伝えたいって強く思った 今は会えないあの人たちに 時間と空間 その向こう側 遠くで生きてる人たちに ひみつの魔法 かけてみる 薄桃色のエーテルが わたしの気持ちを包みこむ きらめく春の優しい風が あなたのところへ運んでく 苦しみ 少し和らいだかな? 喜び 大きくふくらんだかな? それを知ること できないけれど 祈ることは できるから … *** 久しぶりに唱える呪文。 「…ポロリン、ピュアリン、ハナハナピ…」 少し恥ずかしそうに微笑むハナ。 「桜の花びらたち、私の大切な人たちに…届いて」 そしてふっと息を吹きかけました。 すると花びらは虹色の光を発し、霧が晴れていくように消えていきました。 「届いて…」 ハナは、もう一度祈るように呟きました。 …ある春の日、人間界の時間で言えば午後3時ちょっと過ぎ。 女王陛下のお花畑で。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 12, 2006 08:38:13 PM
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