カテゴリ:未来の石板2
夜。 パルフェ:「ふう…満足…ってか疲れたぁ…」 りずむ :「ごちそうさま」 パルフェ:「いえいえ、ってかりずむホントよく食べたわよね」 りずむ :「おいしかったし。楽しかったー」 パルフェ:「私もよ」 りずむ :「ふふ…んじゃ遅くなったらアレだし、私帰るね」 パルフェ:「えー?もう帰る? お茶飲んでからにしなさいよ」 りずむ :「だってもう九時まわってるし」 パルフェ:「んじゃ泊まっていきなさいよぉ」 りずむ :「だめよ、MAHO堂に帰らないと」 パルフェ:「今は留学生いないんでしょ? じゃあいいじゃない」 りずむ :「それはそうだけど」 パルフェ:「開店までに帰ればいいじゃん、ね?」 りずむ :「んー…」 パルフェ:「ねー」 りずむ :「…そうね」 パルフェ:「えへへ」 りずむ :「何よその笑いは」 パルフェ:「んー? いや。なんかさ、この年になっても“お泊まり”って ワクワクするなーって」 りずむ :「その言葉、言葉通りに受けとっていいのかな…?」 パルフェ:「どういう意味よそれは」 りずむ :「いや…まあいいわ」 パルフェ:「じゃあ、まずお風呂入りましょう」 りずむ :「…一人ずつね」 パルフェ:「一緒に入りたい?」 りずむ :「んなわけないでしょ」 パルフェ:「んじゃ魔法でえいっ(ぱちん) …お風呂沸いたから、どうする?先入る?」 りずむ :「後でいいわ」 パルフェ:「そ、じゃ私入ってくる」 ・ ・ ・ りずむ :「ふぅ…お待たせ」 パルフェ:「ちょうどお茶入ったわよ」 りずむ :「あ、いい香りー」 パルフェ:「入れときましたー」 りずむ :「そうなんだ。 ジャスミンね?」 パルフェ:「ええ」 りずむ :「このクッキーは?」 パルフェ:「それも私が前に作ったの。 低カロリー仕様だから夜でも安心」 りずむ :「へぇ… ん、でもおいしい」 パルフェ:「マジョパーラー直伝だから」 りずむ :「そうなんだ… …ふーん」 パルフェ:「ん?どしたの?」 りずむ :「ああ、さっき描いてくれた絵眺めてたの」 パルフェ:「そう」 りずむ :「…決めた」 パルフェ:「ん?何を?」 りずむ :「私を描いてくれたお返しに、パルフェも描きたいな」 パルフェ:「え?」 りずむ :「だってパルフェの誕生日も、もうじきでしょ?」 パルフェ:「うん」 りずむ :「だから、ちょっと早いけど」 パルフェ:「りずむ…」 りずむ :「いい?」 パルフェ:「ありがと、すごく嬉しい。 …んじゃ(ぱちん)」 りずむ :「え!?」 パルフェ:「さあ描いて」 りずむ :「あ…あ…え? なんで脱ぐ!?」 パルフェ:「え?だって絵描くっていうから。 お花なんか持っちゃたりして」 りずむ :「あー…誰が裸描くって言ったのよ。 早く服着て。っていうか隠して。 目のやり場に困るから」 パルフェ:「えー?魔女同士なんだし、いいじゃないのよ」 りずむ :「良くないわよ」 パルフェ:「しゃーないなぁ…」 りずむ :「あ!!」 パルフェ:「どしたの?」 りずむ :「今くるって振り向いたときのパルフェ、 なんかすごくよかったから、それ描くわ」 パルフェ:「え?よく分からないんだけど」 りずむ :「ちょっとそのまま…後向いたまま、右手で髪の毛持ってみて」 パルフェ:「こんな感じ?」 りずむ :「そう」 パルフェ:「? へんなの」 ・ ・ ・ 一時間後。 りずむ :「こんなもんかな?」 パルフェ:「どれどれ? …おー…髪の毛メインか」 りずむ :「パルフェの髪、すごくきれいだったから」 パルフェ:「…私の本体は髪の毛なのか」 りずむ :「あはは、そうじゃないわよ。 でも…きれいだったから。 さらさらきらきらして」 パルフェ:「りずむ、ありがと」 りずむ :「ちょっと触ってみていい?」 パルフェ:「ん?いいよ」 りずむ :「やっぱり絹みたい。憧れるわ~…」 パルフェ:「いやははは…照れるな。 って何してるのよ!」 りずむ :「すっごいいい香り…爽やかなのにねちっこい甘さ… それがさらさらの黒髪に…あぁ~ん」 パルフェ:「あー… …りずむってもしかして髪の毛フェチ?」 りずむ :「そうじゃない…と思うけど、落ちつくなぁ、なんか」 パルフェ:「いやそれをフェチと言う」 りずむ :「でも髪の毛って魔力とか呪術的ななんたらかんたら…」 パルフェ:「ああもう戻ってきなさい。 っていうか、この香りはね… こないだ見つけた香木で香水作ったの。 それつけてみたのよ」 りずむ :「え? 作ったって、パルフェが作ったの?」 パルフェ:「そうよ」 りずむ :「すごいなぁ…」 パルフェ:「…っていうかまだ嗅いでるし」 りずむ :「だって…」 パルフェ:「ああもう目ぇとろ~んてさせちゃって。 それよりさ」 りずむ :「何?」 パルフェ:「…服着させてよ」 りずむ :「え?」 パルフェ:「私素っ裸なのよ」 りずむ :「あ!!!!」 パルフェ:「全く…今誰かに見られたら変な噂立っちゃうわよ…」 りずむ :「あ…あ、そうだね。早く着て」 パルフェ:「…(ぱちん) これでよし」 りずむ :「じゃあもう一度嗅がせてね」 パルフェ:「あんたねぇ…。 ん?」 りずむ :「どうかした?」 パルフェ:「あー…っていうかりずむの髪もいい香り」 りずむ :「あ、これ? 先代女王様ご用達のお店のシャンプーよ」 パルフェ:「へぇ、ふわっと甘酸っぱい」 りずむ :「でしょ?私のお気に入り」 パルフェ:「ってわざわざ持ち歩いてるの?」 りずむ :「えへへ…こだわりよ」 パルフェ:「…それをこだわりというかなんというか… りずむって枕変わると眠れないタイプ?」 りずむ :「なんでー!? なんでわかったの!?」 パルフェ:「やっぱりか… でもこの香り好きー。 もうちょっと嗅いでたいわぁ…」 ・ ・ ・ パルフェ:「…あのさ」 りずむ :「んー…?」 パルフェ:「私たち、ちょっと変だよね」 りずむ :「あー…あはは、変だね」 パルフェ:「ははは… …はぁ」 りずむ :「冷静に考えたら危ないわね、この状態は」 パルフェ:「いい歳こいた魔女が二人、 互いの髪を十分以上匂いあってるってね。 黙々と」 りずむ :「…」 パルフェ:「… …そろそろ寝ようか、りずむ明日早起きだし、私も眠いし」 りずむ :「そうね…」 パルフェ:「あ、うちベッドこれ一つしかないから」 りずむ :「ああ、いいわよ。パルフェだし。 っていうかすごく眠いからおやすみー…」 パルフェ:「んふ」 りずむ :「…なんかヤな気配したからやっぱり帰る…」 パルフェ:「冗談よ…じょー… りずむ :「zzz」 パルフェ:「って早っ! もう寝たの? さっき枕変わったら眠れないって言ってたのはどこの誰よ…」 りずむ :「zzz」 パルフェ:「ふぅ…全く… おやすみ、りずむ。 そうそう。 …言いわすれてたけど、絵、ありがとね…」 ***** りずむ:(あの絵…、どうなってるかなぁ… っていうかあの香りはほんと) みなみ:「りずむさーん」 りずむ:「えへへ…」 ふぁみ:「おーいりずむさーんってばー」 みゅう:「帰ってきてー現代にー」 りずむ:「ん? あ、ああ…」 みゅう:「あ、帰ってきた」 ふぁみ:「お帰りなさい」 みなみ:「で、パルフェさんって? りずむ:「あ…そうね。 『大親友』かな」 ふぁみ:「あ、おばあちゃんその言葉よく言ってた」 りずむ:「うふふ」 みゅう:「どんな魔女さんだったんですか?」 りずむ:「ん? あー…優しくて、賢くて…きれいで。 私より年下なんだけどしっかりしてて」 みゅう:「りずむさん、その人のこと好きだったんだー」 りずむ:「うん、すっごく大切なお友だちだった。 でも、今はちょっとね…」 ふぁみ:「喧嘩したんですか?」 りずむ:「ううん、遠くへ…ね」 ふぁみ:「死… みなみ:「アホか!!」 りずむ:「いや、そうじゃなくて。 会えなくなっちゃったのよ、ちょっとした事情でね」 みゅう:「…寂しい?」 りずむ:「まぁね。 でも私が忘れなければ、諦めなければ、 いつかまた会えるから」 ふぁみ:「そう…ですよね」 りずむ:「…会えるから」 みなみ:「…」 みゅう:「…あ みなみ:「でもそういやさ」 みゅう:「ん?」 みなみ:「魔女も人間と同じなんだぁね」 りずむ:「え?何が?」 みなみ:「体」 りずむ:「な!?」 みなみ:「こことか」 みゅう:「みなみちゃんったら」 ふぁみ:「おねーちゃんのバカ!」 みなみ:「えへへ」 ふぁみ:「そこ笑う所と違う! でも…ねぇ」 りずむ:「な…何見てんのよ…」 ふぁみ:「いいなぁ」 みなみ:「あやかりたい」 みゅう:「ねえ?」 ふぁみ:「でも2040年ってことは50さ… みゅう:「しっ!!」 りずむ:「…はぁ…もういいわ。 50歳の誕生日に描いてもらったのよ。 プレゼントにね」 みなみ:「さすが魔女」 りずむ:「…何がさすがなのか三時間ほど問い質したいけど… っていうかおしまいおしまい。 店番、クレアちゃんたちと交替の時間よ」 三 人:「はぁい」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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Sep 9, 2006 09:09:37 PM
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