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ひみつの裏庭

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Aug 8, 2006
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カテゴリ:未来の石板2

夜。

パルフェ:「ふう…満足…ってか疲れたぁ…」
りずむ :「ごちそうさま」
パルフェ:「いえいえ、ってかりずむホントよく食べたわよね」
りずむ :「おいしかったし。楽しかったー」
パルフェ:「私もよ」
りずむ :「ふふ…んじゃ遅くなったらアレだし、私帰るね」
パルフェ:「えー?もう帰る?
      お茶飲んでからにしなさいよ」
りずむ :「だってもう九時まわってるし」
パルフェ:「んじゃ泊まっていきなさいよぉ」
りずむ :「だめよ、MAHO堂に帰らないと」
パルフェ:「今は留学生いないんでしょ?
      じゃあいいじゃない」
りずむ :「それはそうだけど」
パルフェ:「開店までに帰ればいいじゃん、ね?」
りずむ :「んー…」
パルフェ:「ねー」
りずむ :「…そうね」
パルフェ:「えへへ」
りずむ :「何よその笑いは」
パルフェ:「んー?
      いや。なんかさ、この年になっても“お泊まり”って
      ワクワクするなーって」
りずむ :「その言葉、言葉通りに受けとっていいのかな…?」
パルフェ:「どういう意味よそれは」
りずむ :「いや…まあいいわ」
パルフェ:「じゃあ、まずお風呂入りましょう」
りずむ :「…一人ずつね」
パルフェ:「一緒に入りたい?」
りずむ :「んなわけないでしょ」
パルフェ:「んじゃ魔法でえいっ(ぱちん)
      …お風呂沸いたから、どうする?先入る?」
りずむ :「後でいいわ」
パルフェ:「そ、じゃ私入ってくる」







りずむ :「ふぅ…お待たせ」
パルフェ:「ちょうどお茶入ったわよ」
りずむ :「あ、いい香りー」
パルフェ:「入れときましたー」
りずむ :「そうなんだ。
      ジャスミンね?」
パルフェ:「ええ」
りずむ :「このクッキーは?」
パルフェ:「それも私が前に作ったの。
      低カロリー仕様だから夜でも安心」
りずむ :「へぇ…
      ん、でもおいしい」
パルフェ:「マジョパーラー直伝だから」
りずむ :「そうなんだ…
      …ふーん」
パルフェ:「ん?どしたの?」
りずむ :「ああ、さっき描いてくれた絵眺めてたの」
パルフェ:「そう」

りずむ :「…決めた」      
パルフェ:「ん?何を?」
りずむ :「私を描いてくれたお返しに、パルフェも描きたいな」
パルフェ:「え?」
りずむ :「だってパルフェの誕生日も、もうじきでしょ?」
パルフェ:「うん」
りずむ :「だから、ちょっと早いけど」
パルフェ:「りずむ…」
りずむ :「いい?」
パルフェ:「ありがと、すごく嬉しい。
      …んじゃ(ぱちん)」
りずむ :「え!?」
パルフェ:「さあ描いて」
りずむ :「あ…あ…え?
      なんで脱ぐ!?」
パルフェ:「え?だって絵描くっていうから。
      お花なんか持っちゃたりして」
りずむ :「あー…誰が裸描くって言ったのよ。
      早く服着て。っていうか隠して。
      目のやり場に困るから」
パルフェ:「えー?魔女同士なんだし、いいじゃないのよ」
りずむ :「良くないわよ」
パルフェ:「しゃーないなぁ…」
りずむ :「あ!!」
パルフェ:「どしたの?」
りずむ :「今くるって振り向いたときのパルフェ、
      なんかすごくよかったから、それ描くわ」
パルフェ:「え?よく分からないんだけど」
りずむ :「ちょっとそのまま…後向いたまま、右手で髪の毛持ってみて」
パルフェ:「こんな感じ?」
りずむ :「そう」
パルフェ:「?
      へんなの」





一時間後。

りずむ :「こんなもんかな?」
パルフェ:「どれどれ?
髪と桃花
      …おー…髪の毛メインか」
りずむ :「パルフェの髪、すごくきれいだったから」
パルフェ:「…私の本体は髪の毛なのか」
りずむ :「あはは、そうじゃないわよ。
      でも…きれいだったから。
      さらさらきらきらして」
パルフェ:「りずむ、ありがと」
りずむ :「ちょっと触ってみていい?」
パルフェ:「ん?いいよ」
りずむ :「やっぱり絹みたい。憧れるわ~…」
パルフェ:「いやははは…照れるな。
      って何してるのよ!」
りずむ :「すっごいいい香り…爽やかなのにねちっこい甘さ…
      それがさらさらの黒髪に…あぁ~ん」
パルフェ:「あー…
      …りずむってもしかして髪の毛フェチ?」
りずむ :「そうじゃない…と思うけど、落ちつくなぁ、なんか」
パルフェ:「いやそれをフェチと言う」
りずむ :「でも髪の毛って魔力とか呪術的ななんたらかんたら…」
パルフェ:「ああもう戻ってきなさい。
      っていうか、この香りはね…
      こないだ見つけた香木で香水作ったの。
      それつけてみたのよ」
りずむ :「え?
      作ったって、パルフェが作ったの?」
パルフェ:「そうよ」
りずむ :「すごいなぁ…」
パルフェ:「…っていうかまだ嗅いでるし」
りずむ :「だって…」
パルフェ:「ああもう目ぇとろ~んてさせちゃって。
      それよりさ」
りずむ :「何?」
パルフェ:「…服着させてよ」
りずむ :「え?」

パルフェ:「私素っ裸なのよ」
りずむ :「あ!!!!」
パルフェ:「全く…今誰かに見られたら変な噂立っちゃうわよ…」
りずむ :「あ…あ、そうだね。早く着て」
パルフェ:「…(ぱちん)
      これでよし」
りずむ :「じゃあもう一度嗅がせてね」
パルフェ:「あんたねぇ…。
      ん?」
りずむ :「どうかした?」
パルフェ:「あー…っていうかりずむの髪もいい香り」
りずむ :「あ、これ?
      先代女王様ご用達のお店のシャンプーよ」
パルフェ:「へぇ、ふわっと甘酸っぱい」
りずむ :「でしょ?私のお気に入り」
パルフェ:「ってわざわざ持ち歩いてるの?」
りずむ :「えへへ…こだわりよ」
パルフェ:「…それをこだわりというかなんというか…
      りずむって枕変わると眠れないタイプ?」
りずむ :「なんでー!?
      なんでわかったの!?」
パルフェ:「やっぱりか…
      でもこの香り好きー。
      もうちょっと嗅いでたいわぁ…」






パルフェ:「…あのさ」
りずむ :「んー…?」
パルフェ:「私たち、ちょっと変だよね」
りずむ :「あー…あはは、変だね」
パルフェ:「ははは…
      …はぁ」
りずむ :「冷静に考えたら危ないわね、この状態は」
パルフェ:「いい歳こいた魔女が二人、
      互いの髪を十分以上匂いあってるってね。
      黙々と」

りずむ :「…」
パルフェ:「…

      …そろそろ寝ようか、りずむ明日早起きだし、私も眠いし」
りずむ :「そうね…」
パルフェ:「あ、うちベッドこれ一つしかないから」
りずむ :「ああ、いいわよ。パルフェだし。
      っていうかすごく眠いからおやすみー…」
パルフェ:「んふ」
りずむ :「…なんかヤな気配したからやっぱり帰る…」
パルフェ:「冗談よ…じょー…
りずむ :「zzz」
パルフェ:「って早っ!
      もう寝たの?
      さっき枕変わったら眠れないって言ってたのはどこの誰よ…」
りずむ :「zzz」
パルフェ:「ふぅ…全く…
      おやすみ、りずむ。

      そうそう。
      …言いわすれてたけど、絵、ありがとね…」




*****
りずむ:(あの絵…、どうなってるかなぁ…
     っていうかあの香りはほんと)

みなみ:「りずむさーん」

りずむ:「えへへ…」

ふぁみ:「おーいりずむさーんってばー」
みゅう:「帰ってきてー現代にー」

りずむ:「ん?
     あ、ああ…」

みゅう:「あ、帰ってきた」
ふぁみ:「お帰りなさい」
みなみ:「で、パルフェさんって?
りずむ:「あ…そうね。
     『大親友』かな」
ふぁみ:「あ、おばあちゃんその言葉よく言ってた」
りずむ:「うふふ」
みゅう:「どんな魔女さんだったんですか?」
りずむ:「ん?
     あー…優しくて、賢くて…きれいで。
     私より年下なんだけどしっかりしてて」
みゅう:「りずむさん、その人のこと好きだったんだー」
りずむ:「うん、すっごく大切なお友だちだった。
     でも、今はちょっとね…」
ふぁみ:「喧嘩したんですか?」
りずむ:「ううん、遠くへ…ね」
ふぁみ:「死…
みなみ:「アホか!!」
りずむ:「いや、そうじゃなくて。
     会えなくなっちゃったのよ、ちょっとした事情でね」
みゅう:「…寂しい?」
りずむ:「まぁね。
     でも私が忘れなければ、諦めなければ、
     いつかまた会えるから」
ふぁみ:「そう…ですよね」
りずむ:「…会えるから」

みなみ:「…」
みゅう:「…あ
みなみ:「でもそういやさ」
みゅう:「ん?」
みなみ:「魔女も人間と同じなんだぁね」
りずむ:「え?何が?」
みなみ:「体」
りずむ:「な!?」
みなみ:「こことか」
みゅう:「みなみちゃんったら」
ふぁみ:「おねーちゃんのバカ!」
みなみ:「えへへ」
ふぁみ:「そこ笑う所と違う!
     でも…ねぇ」

りずむ:「な…何見てんのよ…」

ふぁみ:「いいなぁ」
みなみ:「あやかりたい」
みゅう:「ねえ?」
ふぁみ:「でも2040年ってことは50さ…
みゅう:「しっ!!」

りずむ:「…はぁ…もういいわ。
     50歳の誕生日に描いてもらったのよ。
     プレゼントにね」

みなみ:「さすが魔女」

りずむ:「…何がさすがなのか三時間ほど問い質したいけど…

     っていうかおしまいおしまい。
     店番、クレアちゃんたちと交替の時間よ」
三 人:「はぁい」





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Last updated  Sep 9, 2006 09:09:37 PM
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