ひみつの裏庭

バンド結成から程無いある日。

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りずむ：「それじゃ曲作りましょうか」
みゅう：「え？」
ふぁみ：「曲作るって？初めてなのに！？」
りずむ：「はい」
みなみ：「そんなごく当たり前のように」
こえだ：「作曲できる人なんて…」
ふぁみ：「いないよね？
　　　　　っていうかあたしまだ楽器もうまく弾けない」
みゅう：「曲作りからするなんて…やっぱ無理よぉ」
クレア：「え？くれあできるよ？」

ふぁみ：「うそ！？」
クレア：「ほんと。
　　　　　魔女界でちょっとお勉強した」
みゅう：「…あ、そっか。
　　　　　魔法と音楽ってつながりが深いから」
りずむ：「そうね、みゅうちゃんの言うとおり」
こえだ：「ただ者ではないと思っていましたが」
クレア：「くれあ魔女だもん。でもね」
ふぁみ：「ん？」
クレア：「歌詞のほうは作ったことない」
ふぁみ：「ああ、それならなんとかなるなる」
みなみ：「幼稚園とかでも作らされたしね」
ふぁみ：「作文みたいなもんでしょ？」
みゅう：「少し違うと思うけど…
　　　　でもわたしはちょっと作ったりしたことあるわ」
こえだ：「みなみさんも詩人でいらっしゃるし」
みなみ：「だから違うって」
りずむ：「そう、それじゃやってみましょ」
みゅう：「やるって、どういうふうに？」

りずむ：「じゃあ、最初だから…私もちょっと手伝うわ」
くれあ：「おねがいしまぁす」
りずむ：「じゃ、まず歌詞を作りましょう。
　　　　テーマは何がいいかな？」
みゅう：「今は春ですね」
みなみ：「…いきなりだけどさ、それでいいんじゃない？」
ふぁみ：「うん、春ってタイトルでいいと思う」
こえだ：「ええ」
クレア：「春かぁ…桜とお花見と…」
ふぁみ：「おだんごと桜餅と…いろいろあるね」
クレア：「うん」
こえだ：「っていうか食べ物ばっかり」
ふぁみ：「うるさいなぁ」
みゅう：「すぐ眠くなるし」
みなみ：「そうそう、春眠暁を覚えずってね」
ふぁみ：「そだ。
　　　　　ねぇ、あのさ」
みなみ：「ん？」
ふぁみ：「春っていえば出会いと別れだよね」
みなみ：「うん」
こえだ：「出会いっていえば新たな恋！
　　　　　歌詞でもラブソングがやっぱり王道ですしね」
みゅう：「恋かぁ」
みなみ：「あたしにはよくわからんが、定番だね」
ふぁみ：「卒業式とかもね」
みなみ：「おお、そうだね」
りずむ：「じゃあ会議開始！」

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・
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ふぁみ：「できた」
みなみ：「長かったな」
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「春」
作詞：Sandwitch
作曲：クレア
編曲：Sandwitch

小さく顔出す
かわいい花の芽
今はちょっとかたいけど
春の風の口付けで
少しずつ開いていくの

優しく照らす
お日さまに抱かれ
うつらうつらと夢の中
春の風の子守歌
夢の中まで届いてきたよ

桜吹雪が舞い散る頃に
薄紅色の花びらが
静かに　静かに開き出す
ほんの少し遅れて咲いた
甘い香りの小さな花が

きれいな花を咲かせたその時
誰か気付いてくれるかな？
それから手に取り笑顔と一緒に
きれいと言ってくれるかな…
それは誰にもわからないけど
そうだったらうれしいな

春の風にそよそよ踊る
とろんとした瞳の奥に
うつる誰かのぼやけた姿
なんかとっても幸せな
感じで眠る
静かな春の昼下がり



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みなみ：「まあ…こんなもん？」
ふぁみ：「けっこーいいんじゃない、ねえ？」
みゅう：「春って眠くなるからね」
りずむ：「そうねぇ、眠いわね」
クレア：「ってりずむさんよく居眠りしてますよね」
りずむ：「う」
みなみ：「みゅうもな」
みゅう：「…」
ふぁみ：「春眠あか…赤…あｓｌｄｇ…とかって言うしね」
こえだ：「ふぁみさん、ごまかさないように」
りずむ：「…こほん。
　　　　　歌詞もできたところで」
クレア：「はぁい、じゃあ曲ね。
　　　　　どんな感じのがいい？」
みなみ：「そうさなぁ…」
みゅう：「ぽわーんとしたかんじ？」
クレア：「ぽわーん…と。
　　　　　ほかには？
ふぁみ：「んー…ふわふわかな？」
みなみ：「ぽかぽか」
こえだ：「なんかこう…
　　　　　お花の香りがふわっと」

クレア：「…ふわふわぽかぽかふわっとぽわーん…
　　　　
　　　　　…
　　　　　わかったようなわかんないような」
りずむ：「だからね、クレアちゃん。
　　　　　えっと…分かりやすくまとめると」
クレア：「うん」
りずむ：「…あたたかいところでなんかねむたい、みたいな」
クレア：「やっぱわかんない。
　　　　　…まあいいや。んじゃ適当に作ってくるからー」
みゅう：「てきとーって、適当にできるもんなの？」
こえだ：「いや、無理だと思いますわ」
みなみ：「テキトーと適当は違う。
　　　　　江戸と東京ぐらいは違う」
ふぁみ：「微妙なたとえだね」
みなみ：「その微妙さがまたテキトーと適当の
ふぁみ：「おねーちゃん、わけわからんこと言うな」
クレア：「っていうか簡単だよ？
　　　　　てきとーに鼻歌歌って、それちょちょいってやれば
　　　　　だいたいのメロディーはできるよ」
みゅう：「理論とかは？」
クレア：「だからそれをお勉強するの。でも基本は鼻歌～♪」
ふぁみ：「マジかいな…」