奸風発迷(趣味様々・日々の雑記)

2015/06/08(月)21:06

皆伐で荒れるにまかせた和名倉山。(二瀬尾根ルート往復)その2。

アウトドア・キャンプ・登山(620)

いや行った甲斐はあると云えるでしょう。けれども体力的にも結構本格的な山行になります。 出発時刻/高度: 05:05 / 550m 到着時刻/高度: 14:36 / 563m 合計時間: 9時間31分 合計距離: 17.88km 最高点の標高: 2030m 最低点の標高: 532m 累積標高(上り): 1996m 累積標高(下り): 1983m 一般的な目線でいえば富士山(富士宮)より全然きつい。 ---- で、感想・記録です。 この山はかつては”奥武蔵の秘境”とされ、身丈を超えるスズタケの藪が行く手を阻み、ルートファインディングと地形読みで進み抜く。至る処、林業の作業道との間違い・路迷いが発生。 足を踏み外せば(岸が無い為に)秩父湖にそのまま真直ぐ湖へドボン。といった”強いイメージをもった山”で実際に行ってみました。 ---- 私の持っているガイドマップでは、一般道は山梨県側の仙波尾根よりのルートで今回行く二瀬尾根は全線破線ルート。その他のヒルメシ尾根と仁田小屋尾根はルートの表記すらない状況です。 で、行ってみて、感じた事・思った事。 元々は雄大な古木が覆い茂る膨大な森の山であったと思われます。特に「北ノタル」付近の凄いコケ蒸した切り株を見ればその規模が伺えます。 和名倉山は県境を除けば埼玉県内最高峰。お隣の雲取山に比べ山容がっちり膨大な姿で背丈も雲取山より高い。 時の田島勝太郎氏の著『奥多摩』では、「私は奥多摩の流域その附近で、他にこんな立派な森林を見出せない。 山ノ神ドから白石山までの森林は実に国宝と云ってよかろうと思う。」と和名倉山の原生林に感嘆しています。 にもかかわらず、この山は戦前まで米栂・シラビソ等の鬱蒼とした原生林。戦後昭和20年代から高度成長期復興の木材需要のその殆どの部分を”皆伐”と呼ばれる伐採で丸裸になったと言う事です。 その後、2度にわたる大規模な山火事の難事にも遭い荒廃は進む一方。荒れた丸坊主な平地にスズタケが覆い茂り、鬱蒼とした原生林から明らかにヒトの手が入りすぎて山全体が踏み荒らされ、今日まで足元に花・山菜などの類は一切ない寒々しい地面しかありません。 一方で残っているのは”荒んだ営林生活物語る酒の沢山の一升瓶。薬缶やドラム缶。数知れない程のワイヤーロープ。”そういったヒトの業をそのまま残して現在に至っている。 そのうちに登山者達の足も遠のきルートも消える。スズタケは威勢を増し、そのうちに身の丈を超える大きな藪になり、遭難者が多数発生する。といったダークなイメージが定着してしまう。 さすがに数百年という歳月の原生林が元の通りに再現するにはそれなりに時間がかかるのでしょうが、ここ30年位の植林と営林のお陰で原始の姿とは全く異なるとはいえ、自然らしい姿が戻ってきています。 自然ってやっぱ素晴らしい。時には荒々しくもしっかり地道にその姿を再生しようとしています。やっぱり、自然が必要なのは人間の側であって、自然の側には人間なんて必要ないのでは??? と思わず感じてしまった。ある意味考えさせられた山行になりました。

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