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小説 こにゃん日記

小説 こにゃん日記

星を統べるもの9

がやがやと逃げ出していたクラスメイトたちが戻ってきた。
『お前ら何やってるんだよ?。集団エスケープか?』
『校長や先生たちも・・・それに警察まで・・・何かあったのか?』
『それがその・・・多分、避難訓練。』
狐につままれたような顔で、お互いに顔を見合す。
そこに、ピンポンと軽快な音の後、校長のだみ声が教室に響いた。
『あ~そのォ。今日の避難訓練は無事終了しました。各クラスの生徒たちは教室で静かに・・・ア?警察署長が質問したいことがあるって?そんなこと…私にわかるわけがないでしょ・・・ちみィ。教頭にあいてさせなさい・・・えぇ?砂場で失神してたって?何でそんなところで・・・だいたいなんで、呼んでもいない警察が来るの?校内暴力?そんなこと私の学校で起こりませんよ!起こってたまるものですか!』
俺はこそっとミーアに耳打ちした。
『おい・・・どういうことだよ。』
『私たちの存在が、ごく普通の事だって思わせたの。』
つまり皆、何故『普通』の事で大騒ぎしたのか、解らなくなってしまったのだ。

『みんな~ちゃんと自習してるぅ?騒いでるとおしおきしちゃうわよ。』
担任の桃井がひょっこり顔を出した。
見事にへこんだ黒板を見て、あららと口に手をやる。
『『ごめんなさいっ!』』
ミーアとケロヨンが、そろってぺこんと頭を下げた。
『天使ちゃんたちの仕業ね~。オイタは駄目よ。』
オイタ・・・なんていうかわいいレベルじゃないと思うが。
しょんぼりしたケロヨンを、桃井は推定65のGカップの胸に抱きしめた。
『ううん可愛い~~~。大丈夫よ。校長に頼んで、新しい黒板に変えてもらうから。うふふ。』
だいたいこの地味な黒板、前から気にいらなかったのよね~。特注でピンクの黒板にできないかしら。と続ける。
ショッキングピンクの黒板に、眩しく映える白いチョークの跡。
一瞬浮かんだ幻に、俺は目がちかちかとした。
『私たち、ちゃんと直せます!』
ミーアが、桃井からケロヨンをはがし取ると、両手を合わす。
『やめろっ!!』
俺の叫びもむなしく、再びバーーーンという激しい衝撃音の後、俺たちの教室は見事に崩壊した。



『星を統べるもの』10に続く




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