まいかのあーだこーだ

2020/10/14(水)23:28

「歴史秘話ヒストリア」小津安二郎と山中貞雄と野田高梧

映画・アニメ・音楽(156)

歴史秘話ヒストリア。 小津安二郎を取り上げていましたが、 ほとんど知らない話ばかり。 わたしは、いままで、 小津安二郎のことを、 東京や鎌倉で育った粋人だと思ってたのですが、 じつは三重県育ちなのですね。 調べてみたら、 先祖は伊勢商人だそうで、 意外に関西人の血が流れている。 ◇ もともと気性が荒かったというのも意外。 中国戦線を生き抜いた事実も知らなかったし、 シンガポールで、厚田雄春とともに、 国策映画に関わったことも知りませんでした。 小津のカメラのローアングルというのは、 わたしは「子供の視線」だと思っていたのですが、 もしかすると、 地面に這って銃を構えるときの視線だったかもしれない。 そんなことさえ考えてしまいました。 戦地から帰還した監督といえば、 わたしは真っ先に本多猪四郎を思い浮かべますが、 小津の場合も、本多の場合も、 戦争の描き方は、けっして一筋縄ではありません。 小津は、戦争映画そのものは作りませんでしたが、 作中には戦争未亡人も出てくるし、 かつての戦友たちが酒を飲んで一緒に歌ったりします。 きわめて複雑な形で戦争の影響が映り込んでいる。 ◇ 山中貞雄との関わり。 山中が戦病死したのは知っていますが、 その直前に戦地で小津と会っていたとは驚きです。 調べてみたら、戦前からかなりの交流があったのですね。 今回の番組を見ると、 山中貞雄が与えた影響は、かなり大きいと思えてくる。 山中は、小津の6才年下ですが、 すくなくとも戦前の作品で比較する限り、 山中のほうが映画作家として成熟していたと思います。 ちなみに『河内山宗俊』には原節子が出てますけど、 戦後の小津が彼女を重用したのも、 案外、山中との交流が影響してるかもしれません。 ◇ 野田高梧との関わり。 小津の映画において、 野田の脚本が重要だというのは、 なんとなく感じてたことだけど、 今回の番組を見ると、 世界的に高く評価されている戦後の小津作品は、 すべて野田との共同脚本以降のものだし、 その意味では、 むしろ「野田作品」と言うべきものだと思えてくる。 小津と寝食を共にした野田の妻と娘は、 そのまま小津映画に登場するキャラクターのようです。 オヤジ2人が、野田の娘に翻弄される姿を想像すると、 そのまま映画のワンシーンのようで笑えてきます。

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