今回のテーマは「愛する人の死」ってことでしょうか?
老女ジョセフィンとの年齢をこえた友情も描かれました。 正直にいうと、ちょっと分かりにくい内容でした。 ◇ いくつかの死のエピソードが絡まり合っています。 1つめは、ギルバートの父の死。 彼は、かつてマリラと恋仲だったようです。 2つめは、ジョセフィンの同居人の死。 ジョセフィン・バリーは、ダイアナの大叔母にあたる老女であり、 彼女の愛した同居人というのは、ガートルードという女性。 つまりは同性愛者だったようです。 この2つの死を、 アンがどう受け止めていくかという話になっています。 ◇ ダイアナの母がシャーロットタウンまで首相演説を聞きに行ったので、 代わりに、シャーロットタウン在住のジョセフィンがやってきて、 バリー家の留守を預かっていたのかもしれません。 彼女は、同居人を失くした寂しさもあり、そのまま居ついてしまいます。 ダイアナは、 妹のミニー・メイが病気になったとき、 ジョセフィンでもなければ、使用人のメアリー・ジョーでもなく、 (ちなみにメアリー・ジョーも、ジェリーと同じフランス人の使用人です) わざわざマリラのところまで助けを求めて走ってきます。 しかし、マリラも首相演説を聞きに行って留守だったため、 結局は、アンがミニー・メイへの治療を施したのでした。 ちなみに、マリラは、 「わたしにはアンのような医学の知識はなかった」と言っていたので、 なぜダイアナがわざわざカスバート家まで来たのか不思議です。 ◇ ギルバートは、 父を失って町を去らねばならなくなった境遇を、 誰とも共有できずにイライラを募らせ、 とつぜん級友に殴りかかったりします。 唯一、彼の悲しみを分かち合ったのは、 かつて彼の父の恋人だったマリラだったようです。 一方のアンは、 意図せずしてギルバートに配慮に欠けたことを言って、 ますます彼との距離をつくってしまいます。 その後、 ダイアナの家でパイを作りながら女子トークをしていたとき、 ジョセフィンに『ジェーン・エア』の話をしたと思ったら、 とつぜん「愛する人を失くす悲しみ」について語り、泣き出すのです。 これは、よく分からないシーンでした。 ロチェスター夫人のことを思い出したのでしょうか? 『ジェーン・エア』に出てくるロチェスター夫人とは、 横暴な精神病者で、みずから自宅を放火して死んでしまう女性。 追記: おそらくアンは、 『ジェーン・エア』に登場するヘレン・バーンズのエピソードを、 ジョセフィンの同居人と重ねあわせたのですね。 とにかく、アンはこれをきっかけに、 父を亡くしたギルバートの悲しみや、 同居人を亡くしたジョセフィンの悲しみに共鳴したようです。 そしてギルバートに手紙を書こうとするのですが、 自分の思いをうまく言葉にできず、 ふたたびジョセフィンのもとを訪ね、 彼女から「後悔のない人生を送りなさい」と助言され、 ようやく自分の思いを伝えようとギルバートの家へ向かうのですが、 もうそこには誰もいないのです…。 ◇ このドラマでは、 シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』の話がたびたび出てきますが、 NHKのサイトによると、 各話の副題がすべて『ジェーン・エア』の台詞から取られているそうです。 もともとモンゴメリは、 英国人作家であるブロンテ姉妹から強い影響を受けており、 「赤毛のアン」にもオマージュが散りばめられているのですね。 今回のドラマ制作者は、そのことを踏まえて、 ふたつの小説を重ね合わせているのだろうと思います。 アンが『ジェーン・エア』を愛読していたと設定することで、 彼女が、同じ孤児であるジェーンの人生に勇気づけられたのだろう、 ということが想像できます。 ちなみにブロンテ三姉妹の末妹であるアンは、 まさしく「Anne with an “E”」(Eのつくアン)なのですよね。 ついでにいえば、 地方農民の家系から英国王妃にのぼりつめたアン・ブーリンも、 やはり「Anne with an “E”」なのですが。 モンゴメリにとっても、アンにとっても、ジョセフィンにとっても、 英国は憧れの国だったのかもしれません。 ◇ 最後は、マシューの荷物を積んだ船が、 シャーロットタウンから本土へ向かう途中で沈んだという話で終わり。 シャーロットタウンという町の名がなんども出てきますが、 これはアボンリー村の反対側にあるプリンスエドワード島の州都です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.09 20:31:27
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