カテゴリ:ドラマレビュー!
この朝ドラは、
当初、脚本家の降板騒ぎがあり、 バラエティ系の演出家が脚本を兼ねるということで、 ややイロモノ的な作品になるのかと思っていました。 実際、前半はそういう面もありました。 でも、戦中のパートになったら、 いままでの作品にはないほど硬派な表現を見せて、 それは戦後のパートになっても続いています。 このような展開は、とても予想外だったので驚きです。 ◇ 戦後になって大きく変わったことは、 人々の姿が、とても下品になったということです。 これは、かなりリアルな戦後の表現なのだと思います。 戦前は、 とても上品で優雅な人々の生活が描かれていました。 しかし、戦後になると、 汚い建物、汚い服装、 人々の粗暴な行動、品のない言葉遣い、 そういったものが目立つようになりました。 実際、戦後というのは、 けっして明るい時代ではなかったと思います。 「明るい時代にしよう」という希望をもった人はいたけれど、 けっして誰もが明るく生きられる時代ではなかった。 市街には戦傷者や孤児があふれていたし、 物資や食料は不足していたし、 家族が死んだ記憶や、人を殺した記憶が、 多くの人々のなかに生々しく残っていたし、 なりふりかまわずに、 他人を押しのけるような人間でなければ、 生きていけなかった時代だと思います。 そういう人間ばかりが生き残ったともいえます。 日本人は、 戦前のような端正な美しさを失って、醜くなったと思います。 本来の礼儀正しさや品のよさは、失われてしまった。 バブル期にも、 悪徳業者やヤンキーが増えたのですが、 戦後にも、 詐欺師やチンピラが町にあふれかえって、 社会は荒廃したと思います。 ◇ お金持ちのお坊ちゃんだった久志が、 酒や博打に溺れるようになったのも、 けっして例外的なことではなかったのだと思います。
最終更新日
2020.10.28 10:20:04
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