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まいかのあーだこーだ

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2021.05.03
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NHK『青天を衝け』第一部が終了。

とくに第11~12話、
「横濱焼き討ち計画」からの展開が、
とてつもなくスリリングで面白かった。

渋沢栄一って、こんなに過激でヤバい人だったの?
という驚きもあります。

もし、
彼らが本当に横浜を焼き討ちにしていたら、
その後の日本史は一体どうなっていたのでしょう?



武士の真似事をして、
「攘夷」などという理念を口にし、
政治にのめりこんでいく農家の若者たち。

まるで全共闘時代の大学生さながらです。

しかし、
攘夷決行を目論んだ主人公が、
「俺を勘当して追い出してくれ」と父に頼むと、
妻もそれに同調し、父もまた、
「お前はお前の道を行け」と言って送り出します。

大河ドラマなのですから、
「百姓の生活」よりも「天下の大事」が優先されるのは、
当然といえば当然の展開かもしれないけれど、

攘夷の決行なんてのは、
ほとんど死にに行くようなものだし、
まして妻や赤子を置き去りにしていくなんて、
とんでもないことですよね。

すくなくとも、
従来の大森美香脚本のドラマだったら、
けっしてありえないような場面だったと思う。



百姓としての「生活」を守ろうとした父や女たち。
妻子を捨てて「政治」にのめりこむ血気盛んな若者。

いまのところ、大森美香は、
そのどちらに肩入れするのでもなく、
それぞれの立場を相対化しています。

さらには、
過激な「攘夷派」の志士たちと、
冷静な「開国派」の幕臣の立場も相対化される。



大森美香が過去に書いた、
『不機嫌なジーン』にも『里見八犬伝』にも、
『エジソンの母』にも『あさが来た』にも、
あくまで物語の後景としてならば、
なんらかの「政治」の要素はあったかもしれません。

しかし、
彼女がこれまで書いてきたのは、
(たとえ広岡浅子のような人物が主人公だとしても)
基本的には「女性」や「家族」の物語だったので、
前面にまで「政治」の要素が出てくることはなかった。

どちらかといえば、
彼女は「政治」や「男性」の物語を避けてきたともいえる。

しかし、今回は大河です。
さすがに「政治」や「男性」の問題を避けられない。

そもそも、
大森美香が大河を書くなんて想像もしなかったけれど…。



かりに、
朝ドラが「庶民の物語」であるとするならば、
大河というのは「天下国家の物語」にほかなりません。

つまり、
前者は「生活者」の話であり、後者は「政治家」の話です。

でも、
今回の大河ドラマでは、
「生活者」の視点と「政治家」の視点がぶつかりあい、
そのこと自体が、
物語にとっての最大のダイナミズムの源泉になっている。

これは、過去の大河にはなかったことです。

大森美香が大河を書く、ということの意味は、
まさにこの点にあるのだと思う。

それはとりもなおさず、渋沢栄一という人物が、
「生活者」でありながらも「政治家」であった、
「百姓」でありながらも「武士」であった、ということでもある。

そのような人物を描くうえで、
大森美香ほどふさわしい脚本家はいなかったのだと思います。




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最終更新日  2021.10.05 22:19:31
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