テーマ:政治について(19782)
カテゴリ:スポーツも見てる!
ソフトボールは、
ようやく3大会ぶりにオリンピック競技となりました。 いまや日本人にとっては女子種目の花です。 しかし、次回のパリ五輪では、 ふたたび野球とともに正式種目からは外れます。 その最大の理由は「球場建設」の問題だと思われます。 ◇ 巨大な都市開発をともなうオリンピックでは、 さまざまな競技施設がつくられます。 それらは「レガシー」として残されるのですが、 オリンピック後に使い道のない施設は、 維持費がかさむだけの「負のレガシー」になってしまう。 もともと野球やソフトボールは、 おもに環太平洋地域で普及したスポーツ文化です。 しかし、 そうした文化のないヨーロッパなどで野球場を建設しても、 五輪後に「負のレガシー」になるのは目に見えている。 だから、大会種目から除外されがちなのです。 ◇ ここで考えるべきなのは、 オリンピックの開催方式そのものの問題です。 じつのところ、 現在のような「一国開催 / 一都市開催」の方式ではなく、 世界中に競技会場を分散する方式を採れば、 ソフトボールのような種目でも排除する必要はないからです。 つまり、考えるべきは、 個々の競技の性質上の問題ではなく、 オリンピックそれ自体の問題だと言ったほうがいい。 近代オリンピックは、 古代ギリシャの「オリンピアに集う」という格式に則って、 一都市開催の方式を採ってきました。 しかし、 これが20世紀の悪しきナショナリズムを助長し、 巨大開発にともなう巨大利権などの弊害をもたらしました。 そして、これが競技種目の制約にも繋がっています。 今後のオリンピックは、 地域開催(もしくは多国間開催)の方式へと移行すべきです。 ◇ すでにTOKYO2020でも、 東京に一極集中させることの限界が露呈し、 北海道や東北をふくむ分散開催を余儀なくされています。 次回のパリ五輪でも、 「アジェンダ2020」にもとづいて、 タヒチなどを含む競技会場の分散が予定されています。 交通網や情報ネットワークの発達した現代では、 都市や国家をまたぐ開催地の分散が十分に可能です。 そもそも、 すべての施設をひとつの都市に揃える必要はないのだし、 スポーツ文化の多様化した時代に、そんなことは不可能とも言える。 サッカーのW杯では、 すでに日韓共同開催という例もあります。 今回のTOKYO2020でも、 じつは日・英・加などの遠距離分散開催や、 東京・パリでの共同開催などの案が挙がっていました。 ◇ 開発や自然破壊が分散するのでは本末転倒ですが、 各都市の既存の施設を使って分担するのなら、 あらたな開発を伴わないコンパクトな大会が実現できます。 山のある場所で山の競技をし、 川のある場所で川の競技をし、 海のある場所で海の競技をすればいい。 涼しい場所で屋外の競技をし、 水の豊富な場所で水や氷の競技をし、 球場のある場所で野球やソフトボールをすればいい。 野球とソフトボールにかんしては、 たんにWBCやWBSCをオリンピックへ統合するだけのことでしょう。 そうすれば、 競技の大小やスポーツ文化の有無にかかわらず、 さまざまな競技を満遍なく取り入れることが出来ます。 さらに交通網さえ整備すれば、 中東やアフリカや東南アジアでの開催にも道が開けます。 都市開発や国威発揚にばかり執着する現状のオリンピックは、 時代に見合ったスポーツ文化の発展をかえって阻害しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.08.01 21:00:38
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