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まいかのあーだこーだ

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2022.03.07
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NHK「アンという名の少女」シーズン3。
第9話から最終回までの感想です。

第9話は、内容が重すぎて気持ちが追いつきませんでした。

本来なら、
アンとギルバートのすれ違いの恋にハラハラドキドキするところだけど、
寄宿学校に連れ戻されたカクウェットのエピソードや、
白人にリンチされたというバッシュの父親のエピソードがハードすぎて、
そちらにまで気持ちが回らない。



そして、最終回。

アンのすべてを知っている親友のダイアナや、
ギルバートに捨てられた不幸なウィニフレッドを介して、
ようやくアンとギルバートのすれ違いが解消され、
二人の恋が成就しました。

また、
マシューとマリラの機転によって、
アンの両親の謎も解き明かされました。
亡き母は、形見となった花言葉事典に、
アンのことを、Eのつく「Anne」と記していました。
赤毛も母譲りであることが分かりました。

さらに
ギルバートはトロント大学へ、
ダイアナは両親の許しを得てクイーン学院へ進学。
バッシュも母や義子イライジャと和解する大団円を迎えました。



ただし、
シーズン3で制作が止まってしまったので、

ダイアナとジェリーの恋の行方や、
寄宿学校へ連れ戻されたカクウェットのその後については、
宙ぶらりんのままに終わる結果となっています。

正直にいうと、
ウィニフレッドとの破談の話も、
バッシュの母やイライジャとの和解の話も、
ダイアナの進学の話も、
かなり強引な展開で最終回にまとめあげた感があります。



本来、先週からの流れで考えれば、

アンとマシューは、
カクウェットの両親が神父と話し合ったのかどうか、
それを確かめに行かなければなりませんし、
新聞社へも告発の手紙を送らねばならないのですが、
それについてのエピソードはいっさい出てきません。
カクウェットを寄宿学校に送ったリンド夫人も、
なぜか最終回には姿を現しませんでした。

この問題にかんしては、意図的に放置したように見えます。



ちなみに、今年の7月にNHK出版で、
上白石萌音の『翻訳書簡 赤毛のアンをめぐる旅』が書籍化されます。

わたしは、
こんどの萌音の翻訳本が、
今回のドラマの内容にもリンクするのかどうかが気になっています。

上白石姉妹は、
過去に「赤毛のアン」の舞台に出ていましたし、
とくに姉の萌音は、
NHKの「100分de名著」で原作を朗読したり、
ラジオ英会話の連載で原作の翻訳に取り組んだり、
もともと関わりが深かったのです。

また、
彼女はこんど「ジェーンエア」の舞台にも立つのですが、
原作の「赤毛のアン」も、ドラマの「アンという名の少女」も、
もともと「ジェーンエア」とは深い繋がりがありました。


今のところ、
萌音も、萌歌も、ドラマについては言及していませんが、
おそらく「アンという名の少女」は見ているだろうと思うし、
ましてNHK出版のスタッフが、
今回のドラマのこと意識していないはずがないからです。



ドラマが放送された当初、
その衝撃的な内容に対して、
従来の原作ファンや過去の映画などを見たファンからは、
「内容の改悪」「原作への冒涜」だとの批判が上がりました。
わたしも、その主張が間違いだとは思いません。

実際、このドラマは、
原作の内容と大きく違っています。

しかし、そこには時代の必然性もありました。

つまり、現在の歴史観が、
原作の古い価値観を容認しきれなくなったのです。
今回のドラマの制作者は、
原作の価値観を意図的に否定したと言ってもいい。



日本の原作ファンや、
世界名作劇場などのアニメを見てきたファンは、
このドラマの放送が終わった後も、
相変わらずモンゴメリの描いた牧歌的な世界を愛し続けるでしょうし、
萌音のファンのなかには、こんどの翻訳本を通して、
はじめてモンゴメリの原作に触れる人もいるのだろうと思います。

日本人にとっては、
しょせん遠い外国の物語なのだし、
それがかりに歴史の現実を美化したファンタジーだとしても、
それはそれで、べつに構わないだろうと思う。

ちなみに、GYAOでは、
現在、2016年版の映画が無料配信中ですね。
こちらのほうが、
原作ファンやアニメファンには受け入れやすいはずです。




ただし、カナダ本国では、
そういうわけにもいかないのだろうな、と思います。

周知のとおり、このドラマが放送された後、
先住民へのジェノサイドの歴史が明らかになりました。

もはや「赤毛のアン」の世界を、
モンゴメリの描いたような牧歌的な物語として味わうことは、
すくなくともカナダ人にとっては困難になってしまったように思う。

今のところ、
プリンスエドワード島やノバスコシアが、
先住民に対するジェノサイドの現場になったという証拠はないけれど、
そこに先住民のコミュニティがあったことは間違いないし、
英語話者を中心とした「赤毛のアン」の物語の背後に、
先住民やアカディア人や黒人に対する差別の歴史があった事実を、
もはや無視することはできないと思います。

カナダの歴史そのものが書き換えられようとしている今、
「原作が正しい」「ドラマによる改変は間違っている」という理屈は、
すくなくともカナダ本国では通用しなくなったように見える。



ドラマが中断された理由はよく分かりませんし、
シーズン4の制作がありうるかどうかも分からないけれど、

もしかしたら、今回のドラマの制作中止は、
最初から既定の方針だったんじゃないか?という気もしています。

つまり、
終わらせてはいけない現在進行形の歴史があるからこそ、
この物語を、
あえて宙ぶらりんのまま完結させなかったのでは?…とも思えるのです。


カクウェットと、
彼女の両親が、その後どうなったのか??
ダイアナがアカディア人の少年と結ばれ、
ステイシー先生が黒人男性と結ばれることは可能なのか??

それは、ドラマの外側の現実世界で明らかにすべき事柄なのだと思います。





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最終更新日  2022.03.16 00:15:30
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