まいかのあーだこーだ

2022/08/16(火)09:50

「のっぽ」の語源を考察。

プレバト俳句を添削ごと査定?!(187)

できるかなの「のっぽさん」とか、 リトル・リチャードの「のっぽのサリー」とか、 ヘンリー・クレイ・ワークの「大きなのっぽの古時計」とかがありますが、 この「のっぽ」という俗語は、 もともと東京の言葉だったらしくて、 夏目漱石の『三四郎』にも出てくるんですね。 ◇ 先日のNHKの「究極の短歌・俳句100選」に、 によつぽりと秋の空なる不尽ふじの山 という江戸中期の俳句が出てきたものだから、 この「にょっぽり」は、 一方では、井上ひさしの「ひょっこり」にも似てるけど、 他方では「のっぽ」にも関係してるんじゃないかと思ったわけ。 (ただし、俳句を詠んだ上島鬼貫は江戸じゃなくて伊丹~大坂の人です) ちなみに「にょっぽり」は、 "平らな所から物がとび出る様子""抜きん出て高い様子"を意味する副詞で、 同義のものとしては「にょっこり」や「にょっきり」などもあり、 いずれも江戸時代に使われていたらしい。 俳諧・鸚鵡集(1658)「花の真によつこりと出るや玉椿」 俳諧・信徳十百韻(1675)「朝夕の嵐を送る松の坊 やぶれし甍峯にによつきり」 俳諧・大悟物狂(1690)「によつぽりと秋の空なる不尽の山」 浄瑠璃・本朝二十四孝(1766)「椽がはにまたによつほりと石燈籠」 現在の日本語にも「にょきっと」のような形で残っていますね。 ◇ 井上ひさしも使った「ひょっこり」は、 鎌倉初期に使われていた「ひょくり」からの転といわれていて、 その「ひょくり」は鴨長明の『続無名抄』に出てくるのだそうです。 これと似た意味の言葉として「ひょっと」という副詞もありますが、 こちらは江戸の初期に生まれたものだそうです。 つまり「ひょっと」よりも「ひょくりと」のほうが古いわけですね。 平安時代には使われていた「ふと」という古い副詞から、 江戸になって「ひょっと」という副詞が派生したとの説も見受けますが、 むしろ「ひょくりと」から「ひょっと」が派生したと考えるほうが分かりやすい。 もっとも、 平安時代の「ふと」という言葉が、 現在と同じように「huto」と発音されていたとはいえず、 どちらかといえば「pyutto」みたいな発音だったのかもしれませんが。 ◇ かたや「のっぽ」の語源を調べてみたところ、 なにやら韓国語由来だなんて学説もあるのだけど、 …まあ、 ふつうなら、 「とんぼ(飛ん棒)」や「あめんぼ(雨ん棒/飴ん棒)」と同じように、 あるいは、 「赤ん坊」や「暴れん坊」や「食いしん坊」などと同じように、 「伸っ棒/伸っ坊」だと考えるのが自然です。 そこから派生して、 「のっぽり」だとか「にょっぽり」のような擬態語が出てきたとしても、 それほど不自然ではない。 … ただし、 「のっぽ」が近代の東京で生まれた俗語だとすれば、 発生の順序が逆なので、この説は成り立ちません。 実際、 「のっぺり」や「のっぺらぼう」などの言葉は、 すでに江戸時代には存在したようなのですが、 「のっぽ」の用例が江戸に遡るという情報は見当たらない。 「ひょっと」より「ひょくりと」のほうが古いのと同じで、 「のっぽ」よりも「のっぺり」や「にょっぽり」のほうが古いのかも。 いずれにしろ語源俗解の域を出ませんが! ◇ ついでながら、 まったくの余談ですけど… 東京の「日暮里」(にっぽり)の語源は、 新しい開拓地を意味する「新堀」(にいぼり)だそうです (^^)

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