2023/01/24(火)18:06
プレバト俳句。1/19放送分に異議あり?!
バクダンと叫ぶ屋台の年男 湯気越しに父の面影冬の蝶 日向ぼこ面取り眺めるシロの鼻 おでん取り浮かぶ顔見て肩揺らす ガード下シメのおでんはクミンの香 おでん屋の一皿は先ず神棚へ 練り物の蓋持ち上げておでん鍋
プレバト俳句。
お題は「おでん」。
◇
津田寛治。
バクダンと叫ぶ屋台の年男
わたしは、
玉子巻のことを「バクダン」と呼ぶとは知らず、
てっきり祭り屋台のポン菓子売りなのかと思いました。
そう解釈する人もけっこういるのでは?
また、最近は、
茨城発の屋台で「ばくだん焼」ってのもあるらしい。
たこ焼きみたいなお好み焼きのことだそうです。
なお、
先生の解説にもありましたが、
季語の「年男」には二通りの由来があるのですね。
1.新年の飾付けをし若水をくむ役の男。
(家長を原則として、長男や奉公人があたるが、西日本には女性が主役となる地域もある)
2.節分の豆まきをする役の男。
(その年の干支の生まれの名士などから選ぶ)
…だそうです。
一般的な「年男・年女」の用法は、
後者の意味から派生したのかもしれません。
◇
安藤美姫。
湯気越しに父の面影 冬の蝶
面影の父よ 冬蝶くる家よ(添削後)
この先生の添削はすばらしいけど、
作者が意図した「おでん」の要素は取り除かれてしまった。
原句の上五「湯気越し」は、
やはり風呂や温泉などと誤読されるので、
季語の「おでん」をはっきり詠み込むとすれば、
本人の語った「黒揚羽」を使う選択もあったかも。
ためしに、
おでん煮て父を偲べば黒揚羽
としてみました。
追記:
スミマセン。
そもそも「揚羽」が夏の季語なので季重なりですね。
やっぱり「おでん」を諦めるしかないのかな。
リベンジで、
卓の湯気 父を偲べば冬揚羽
としてみます。
◇
大久保佳代子。
日向ぼこ 面取り眺めるシロの鼻
大根の面取り シロの来て眺む(添削後)
季語は「日向ぼこ」です。
何の「面取り」なのか分からない。
半分の読者は「大工」と解釈するのでは?
かたや、
添削のほうは「来て眺む」が気に入らない。
原句に沿って、
大根の面取り見上ぐシロの鼻
としてみました。
◇
コットン西村。
おでん取り浮かぶ顔見て肩揺らす
皿に取るおでん誰かの顔に似て(添削後)
原句は、
動詞を4つも並べたあげく、
ほとんど何も描写できていません。
ためしに、
練りものを皿にならべて福笑い
としてみました。
追記:
「食事の準備の後に福笑いで遊んでる」と解釈されてしまうかも。
こちらもリベンジで、
練りものをならべ皿なる福笑い
としてみます。
◇
キスマイ横尾。
ガード下 シメのおでんはクミンの香
最近は、
若い女性でもガード下を呑み歩くし、
シメのおでんだって食べるでしょうね。
しかも、そのおでんは、
洋風だったり、エスニック風だったり、
ずいぶんバラエティに富んでいる。
そういう今時の世相を詠み込んだ句ですね。
◇
千原ジュニア。
おでん屋の一皿は先ず神棚へ
わたしも助詞の問題だと思ったし、
実際、
おでん屋台 まず一皿を神棚に
のようにも出来ます。
先生の言ったとおり、
「を」なら本人としか読めませんが、
「は」なら本人とも第三者とも読めます。
◇
梅沢富美男。
練り物の蓋持ち上げておでん鍋
蓋持ち上げおでんの練り物は膨る(添削後)
助詞の問題ともいえるし、
語順の問題ともいえるし、
上五「練り物」の擬人化や他動詞の問題ともいえる。
ジュニアが、
「蓋がちくわで出来てるの?」
と言ったように、
「練り物の蓋」は読みを迷わせるので、
練りものが蓋もちあげるおでん鍋
と書くほうが明快ですね。
もしくは、
季語の「おでん」をあえて使わずに、
練りものが膨れて蓋をもちあげる
とも出来るかもしれない。
かりに、
擬人化をやめて自動詞を使うなら、
練りものに蓋もちあがるおでん鍋
となります。
(わたしは、これがいちばん良いと思う)
フルポン村上のように、
半径50㎝の光景を写生した内容だけど、
うまく詩情を出さないと、
淡々としすぎてつまらなくなるし、
かといって安易に比喩や擬人化を使うべきでもない。
そこが難しいですね。