2023/10/12(木)12:51
宝塚歌劇団:内部告発者への攻撃。
一般的にいって、
内部告発がつねに正しいとはかぎりません。
たんなる誤解の場合もあるし、
そこに主観や価値観の相違があれば、
客観的事実を認定しがたい場合もあります。
とくにハラスメントやいじめの場合は、
加害者側と被害者側の認識が食いちがう場合も多い。
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しかしながら、
そもそも「内部告発」がなぜ発生するのかといえば、
組織の意思疎通がうまくいっておらず、
問題を内部で処理しきれなくなっているからであり、
不信感がくすぶっているからです。
だから、告発者は外部に頼るほかなくなるのです。
したがって、
告発者が現れた時点で、
組織としては恥ずべきことだと考えねばならない。
これは宝塚にかぎった話ではありません。
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かりに告発の内容に誤認があったり、
客観的事実とは認めがたい場合であっても、
告発者を「悪者」とみなして攻撃したりしてはならない。
そのようなことをするのは、
きわめて幼稚で問題のある組織だというべきです。
さらに、悪質な企業では、
あろうことか「正しい告発」をおこなった者をさえ、
排除したり攻撃したりするケースも見られます。
これは明らかな人権侵害であって、
そのような企業には何らかの制裁を加えねばなりません。
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宝塚から自殺者が生まれるのは初めてのことですが、
国内の企業などでは毎年大量の自殺者が発生しています。
どんな理由であれ、自殺のような事例があった場合、
その組織は重大な問題と認識して調査に当たる責務がある。
また、
遺族が訴えを起こすか否かにかかわらず、
厚労省や組合などの団体は、
まず最初に人権侵害の有無を調べなければなりません。
労働者の自殺や鬱病発症などの事例が繰り返されている場合、
企業名を公表するなどの制裁も必要でしょう。
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現状、日本において、
ビジネスと人権に対する問題意識は、
きわめて低いのだと言わざるをえない。
国内の就労人口が減っているのは、
たんに少子化だけが原因なのではなく、
学校や企業などの組織において、
大量の自殺者やうつ病患者や引きこもりを生んでいるからです。