カテゴリ:ドラマレビュー!
SWITCHインタビュー「坂元裕二×新海誠」EP1&2を見ました。
驚いたのは、 坂元裕二の脚本には、 ごく大雑把なプロットしかないってこと。 ◇ 新海誠のほうは、 はじめに明確なプロットがあり、 脚本もちゃんと書いて、絵コンテも作って、 そこから具体的な作画をはじめてます。 これは一般的な映画制作の手順と同じ。 全体の設計図を決めてから細部を描くスタイル。 ◇ でも、 坂元裕二のほうは対照的で、 むしろ細部から全体を作っていくわけですね。 プロットよりも先にあるのは、 キャスティングと、その登場人物の履歴書。 あとは大雑把なプロットに沿って、 撮影と同時進行で即興的に書いてくらしい。 だから、 撮影がはじまった時点では、 結末がどうなるのかも見えてないっぽい。 俳優はもちろん、演出家にも脚本家自身にも。 映画の脚本を書く場合も、 テレビと同様のスタイルを取ってるようです。 ◇ …ってことは、 坂元裕二のドラマでは、 結末は偶然の産物なのかしら? もしかしたら、作品のテーマも、 さほど明確には自覚されてないのかも。 坂元裕二にとって重要なのは、 人間のコミュニケーションで起こる《出来事》について、 その機序を解明し、 ドラマのなかで簡潔に再現することらしい。 さしずめ文学でいったら、 新海誠がロマン主義、 坂元裕二が自然主義ってことになりますね。
◇ 坂元裕二のようなやり方は、 テレビドラマでは一般的なのかしら? でも、たぶん、 NHKの朝ドラや大河だったら、 そういう作り方はしませんよね。 NHKの場合は、 脚本制作の初期段階から、 明確なテーマやプロットがあるはず。 そういえば、 坂元裕二はNHKでの仕事が少ない。 これほどの大御所でありながら、 いまだに朝ドラも大河も書いてません。 作劇のスタイルが、 朝ドラや大河に向いてないと自覚してるから? ◇ …とはいえ、 今回の対談をきっかけに、 両者の作劇手法が変わる可能性もある。 実際、 坂元裕二の直近の作品では、 (まるで新海誠のアニメみたいに) タイムリープとか、幽霊とか、 SF的な仕掛けを取り入れてるようです。 かりに、 新海誠が《細部から全体を作る》ようになり、 坂元裕二が《全体から細部を作る》ようになったら、 2人の作風は大きく変わるでしょうね。 うまくいくかどうかは別として。 ◇ ちなみに、目下、 広瀬すずの映画も公開中ですが、 わたしは日テレの「anone」が好きだったので、 (世間的には不評でしたが…) こんどは坂元が彼女にどんな役を与えたのか。 そこもちょっと興味があります。
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最終更新日
2025.04.16 13:20:20
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