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まいかのあーだこーだ

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2025.04.29
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カテゴリ:ドラマレビュー!
村上春樹を取り上げたNHKの2つの関連番組。
土曜ドラマ「地震のあとで」と、
100分de名著「ねじまき鳥クロニクル」を見終わりました。

どちらも、
《欺瞞に満ちた上部構造/実存を規定する下部構造》
みたいな図式が共通してるよね…。

地下深くに降りれば、
震源になるミミズがうごめいてるし、
ミミズみたいなな地下鉄に乗った先には、
隠蔽された劣情や自分の出生の秘密がある。

暗い井戸のなかに降りれば、
妻とのコミュニケーションの謎があり、
さらには歴史のトラウマや暴力の記憶があり、
自分のなかの「悪」もうごめいてる。



そして、

ドラマ第4話「続・かえるくん」と、
長編「ねじまき鳥クロニクル」第3部は、
《想像のなかで自分の内側の「悪」と戦う》

…みたいな展開もまったく同じでした。

主人公たちは、
現実に戦うわけじゃないけれど、
想像や夢のなかで「悪」と戦うわけですね。

これは沼野充義の解説によれば、
「夢のなかで責任がはじまる」
…という発想の表れじゃないか、とのこと。




ドラマの第4話は、
原作の「続編」という体裁でしたが、
かえるくんと片桐が、
みみずくんを相手に共闘して地震を防ぐ内容は同じ。

そこに、
第3話までのモチーフをぶちこんで再構成した形です。



片桐はゴミ拾いをする善良な人間ですが…

そんな善良な人間でも、
資本社会のなかで銀行員をしてれば、
他人の憎悪を招き寄せることになるし、
みみずくんがそれを飲み込めば地震が発生する。

したがって、片桐は、
善良な人間ではあるけれど、
地震を引き起こしてる元凶でもあるのよね。

なので、その罪滅ぼしのために、
ひたすら街中のゴミを拾ったり、
かえるくんと共闘したりするわけです。



村上春樹は、
ゴミ拾いとか、雪かきとか、
そういう小さな善行のなかに、
ささやかな希望を見てるのかもしれませんが、

その倫理観は、
せいぜい「罪滅ぼし」以上の意味をもってない。

望みもしない原罪を背負わされたうえに、
罪滅ぼしのために人生を捧げるしかない。
そんな現代日本人の悲劇的な無力を描いてる、
…ともいえます。



この物語は、
寓話の形をとってはいるものの、

なんらの希望を見出せるものでも、
なんらの教訓を見出せるものでもなく、
迷宮入りした日本人の無力感を描いてるだけ、

…ってのが、わたしの率直な印象ですね。




余談ですが…

かりにプーチンが「悪」だとしても、
西側諸国の側にも欺瞞と悪があるわけで、

ロシア文学専門の沼野充義が、
ドストエフスキーとかを引き合いにしながら、
村上春樹を積極的に推しはじめるのを見ると、

なんとなく、
《ロシア側から村上春樹を読む》
…みたいな動きの表れかなって気もします。





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最終更新日  2025.04.29 22:43:29


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