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まいかのあーだこーだ

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2025.06.06
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カテゴリ:NHK朝ドラ
NHK朝ドラ「あんぱん」。

第10週はスゴかったですね…。
神週だったのではないでしょうか。

脚本家の中園ミホが、
「やなせたかしを描くことは戦争を描くことだ」
と言っただけのことはあって、

この週こそ今作の最高潮だったかもしれない。



なぜ主人公の軍国主義はブレブレだったのか?
その意味が今週の内容に集約されてました。

ブレブレなのは、
のぶだけでなく、嵩も同じです。
「兵隊にいちばん向いてない」
と息子を愚弄した実母に文句を垂れ、
「武運長久をお祈りします」
と言うのぶや女中にも不満を口にする。

一方、のぶも、
「戦争が終わったら世界旅行がしたい」と言いつつ、
敗戦を予言して軍用船へ乗り込んでいく夫に向かって、
「日本はかならず勝ちます!」と勇ましく言い放ち、

そうかと思うと、
悪役だったはずの嵩の実母と一緒になって、
憲兵隊に連行されるのも厭わずに、
嵩に「かならず生きて戻ってき!!」と叫びます…(T_T)



さながら新興宗教に洗脳された女性が、
棄教の過程で価値観を揺さぶられて葛藤してるみたい…。

のぶは、女子師範時代に、
黒井先生から「あなたは弱い!」と罵倒されつづけ、
そのたびに軍国教育に疑念をもつ自分を奮い立たせ、
弱さを克服して強くなろうとしてきたわけですが、

それでもやはり、
妹や、嵩や、ヤムおんちゃんや、夫の次郎に、
その軍国主義的な信念をグラグラと揺さぶられ、
アイデンティティが崩壊していく危機を強いられてる。



軍国主義思想に染まってるのは、
おもに女性と子供と老人たちなのよね。

黒井先生の薫陶を受けた、
ウサ子ちゃんやのぶを筆頭にして、
のぶの教育を受けた子供たちや、
世界情勢の現実から遠い田舎で暮らす、
国防婦人会の専業主婦たちや、
釜爺や団子屋のような年寄りこそが、

まるで軍隊にいる軍人と同じように、
ある種のフィルターバブルのなかで、
国の戦争の正しさを素直に受け入れて、
日本が勝つという非現実的な虚妄を信じてる。



それとは反対に、
都市部で生活する人たちや、
企業社会を生きてる男性たちは、
もうすこし広い視野で世界情勢の現実を見てる。

これは従来の戦争ドラマとは真逆であり、
男性は戦争を推進した「加害者」、
女性や子供や老人はその「被害者」、
そういう従来的なパターンを完全に覆してる。

でも、こっちのほうが実態に近いかもしれません。
そして、これはけっして過去の話ともいえない。

実社会とのかかわりをもたないまま、
SNSのようなフィルターバブルのなかで、
非現実的な妄想に偏っていく集団に似てるから。



主題歌を書いた野田洋次郎は、
かつて「HINOMARU」という曲で物議を醸しましたが、
今回の歌詞もかなりキワドくて挑戦的な内容ですね。

タイトルの「賜物」は、
《立派に戦った先人たちの賜物である国家に万歳!》

のような解釈が十分に出来るし、
さらに「いざ」とは戦いへ向かう者たちの言葉です。

しかし、NHKは、
あえてこの歌詞にOKを出し、
とくに第10週では後奏部分をカットして、
最後の「万歳!」の意味を逆説的に際立たせる演出をしました。

涙に用なんてないっていうのに、やたらと縁がある人生
かさばっていく過去と、視界ゼロの未来
狭間で揺られ立ち眩んでいる

これはまさに、
戦前と戦後の狭間、
軍国主義と反戦主義との狭間で、
ぐらぐら揺れるヒロインの姿そのものです。

この主題歌のメロディは、
過去の日本の歌謡曲のパロディをぶち込みながら、
「Aメロ/Bメロ/サビ」という定型を逸脱して、
無限に展開していくような過激なものだけど、

やはり強烈なのは、その歌詞の内容で、
今後もさまざまな解釈を呼び込んでいくと思う。


いつか来たる命の終わりへと
近づいてくはずの明日が
輝いてさえ見えるこの摩訶不思議で
愛しき魔法の鍵を君が握ってて…
君に託した神様とやらの采配に万歳!

これははたして、
「君」の采配に万歳!という意味なのか、
「神様」の采配に万歳!という意味なのか。

もしも「君」と「神様とやら」が天皇であるならば、
それは「国家」の采配に万歳!…という意味なのか。
そういう逆説的な解釈の可能性をはらんでるってこと。




ヤムおんちゃんが、
カナダから欧州戦争に加わった話も興味深かった。

まだ英国領だった時代のカナダで、
日系人への差別を回避するために、
やむをえず義勇兵になった日本人が約200人いて、
そのうち54人が戦死したとのことです。

戦時中の在日韓国朝鮮人の問題にもかかわるけど、
それははたして「自主志願」なのか「強制連行」なのか、
そんな2分法では片付けられない話です。


なお、
パンの本場といえばフランスですが、

カナダは世界屈指の小麦の生産国であるだけでなく、

ケベックを中心とするフランス系の社会と、
その周辺のイギリス系社会が混交することで、
独自のパン文化を発展させた国なのですね。


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最終更新日  2025.06.22 02:24:02


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