「シロクロパンダ」大満足の最終回。
シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。終わりました。いやー、すごかった…。最高にカッコいいドラマでした。日テレ史上5本指に入る作品です。わたし的に全ドラマ史上でも5本指に入るかなあ。(見終わった直後で興奮してるせいもあるけど)正直な話、この結末で納得できたかといえば、けっしてそうではないし、まったく不備のない脚本だったとも思いません。たとえば警察が何を隠蔽したのかは分からないまま終わってる。川田麻衣子がなぜ心変わりしたのかもよく分からないし、ウサギのぬいぐるみの意味もよく分からないし、なぜ囲碁夫婦がずっと姉妹を助けてきたのかも分からない。リコがみずからミスパンダになろうとしたことは分かったけど、リコが消えてレンが残るのは間違ってる気もするし、結局のところ、リコの人生は非常に不幸だったなあとも思う。そもそも、このドラマの登場人物のなかで、結果的に幸せになった人は誰ひとりとして存在しません。佐島家も、川田家も、森島家も、ほぼ破滅したと言っていい。唯一、直輝とレンだけが、かろうじて記憶をリセットして生き延びたにすぎません。だから、これはけっしてハッピーエンドではない。直輝の命を懸けた復讐はひたすら仇となって、物事のすべてはグレーのまま、ただ記憶だけを消し去って終わってしまう結末です。ドラマ自体に、まったくシロクロがついていない。しかし、それでもなお、この終わり方に不思議な充足感をおぼえています。直樹とレンの記憶が失われたことで、リコの存在は永久に消え去ってしまいました。これは、ありえないくらいに悲しい。でも、夢のなかのシーンとはいえ、レンとリコが一瞬向かい合ったときは涙が止まらなかったし、それだけで何かが報われる気がしてしまった。そして、レンとリコとミスパンダの記憶を消し去る瞬間に、直輝の目から流れた一筋の涙は、悲しくて美しかった。最後に、記憶を失くした直輝とレンが、ふたり並んでパンケーキにシロップをかける瞬間、また何かが起きるのではないかとドキドキしてしまった。何も知らない二人のあいだで、また新しい物語が始まっていく予感がありました。きっと、これは、永遠にシロクロつけられぬまま、なんども繰りかえし続いていく物語なのだろうと思います。なんど生まれ変わっても直輝はモテるわけですが(笑)。…それに、よくよく考えれば、檻のなかに戻っていったリコだって、いつまた何かの拍子に復活するかもしれませんよね。川田麻衣子も、囲碁夫婦も、リコの存在を忘れてないのだし、そもそも死んだのはレンであって、リコは生きているのだから。◇独創的で奇想天外な脚本。スタイリッシュな演出と音楽。清野菜名と横浜流星、そして佐藤二郎のすばらしい演技。すべてに大きな満足をもらえました。