NHK「アンという名の少女」シーズン3 第8話。
いろいろと盛りだくさんでしたが…いまひとつ話の流れが分かりにくい。とくにダイアナの心の動きがよくつかめませんでした。まず手はじめに、ジェリーに対する一方的な決別宣告!ジェリーが可哀想!その後、ジョセフィンおばさんに背中を押されると、パリへの花嫁修行ではなく、進学を志すという賭けに出る。そして、妹のミニーメイから「いい子ぶった嘘つき」だと指摘されるや、なぜかアンの家に駆けつけて仲直りをする。…うーん。どういうこと??◇わたしが思うに…進学を諦めてパリでの花嫁修行を受け入れる。↓やむなく身分違いのジェリーとは別れる。↓しかし、ジョセフィンおばさんに翻意を促される。↓妹のミニーからも「いい子ぶった嘘つき」と指摘される。↓一転して、進学を目指すという賭けに出る。↓その勢いでジェリーとも仲直りをする。↓ついでにアンとも仲直りをする。…みたいな流れだったら、もっと分かりやすかったのですけどね。たんなる編集ミスなのでは?いずれにしても、ダイアナとジェリーの仲直りは、来週以降に持ち越しのようです。◇アンとギルバートの心の動きも、なんだか唐突。どうやら2人は、前回のダンスパーティーの夜あたりに、おたがいのことを急に意識しはじめたっぽいのだけど、その気持ちに従うべきかどうかを迷っている。頼みのジョセフィンおばさんも、かろうじて「真実は隠れている」などとと言うばかり。とくにギルバートにとって、アンを選ぶということは、医者としての成功を諦めることにもなりかねないし、のみならず、それはウィニフレッドと彼女の両親を裏切ることにもなる。そもそも、ギルバートにとって、ウィニフレッドへの恋心とは何だったのでしょう?はなから恋ですらなかったってこと??ウィニフレッドも、彼女の両親も、ギルバートのことを受け入れてくれてる善良な人だし、それをギルバートのほうから一方的に反故にするってのは、それはそれで、視聴者的には釈然としないかも…◇他方で、リンド夫人はすっかり人が変わったみたい!もともとは、アンの天敵であり、バッシュの天敵であり、ステイシー先生の天敵でもあったけれど、いまや最大の味方になっています。以前なら、「結婚して子供を産むのが女の幸せ!」みたいな考えだったのに、今じゃあ、「女はずっと抑圧されてきた!」みたいなことまで口にしている。どんだけ?(笑)アンに感化されたのか…それとも、評議会のオヤジどもから受けた屈辱が、よっぽど癇に障ったのか…そんなリンド夫人が、なかなかの策士っぷりを発揮して、評議会のオヤジどもを見事に黙らせました。そしてなんと、マリラが評議会の女性メンバーに!すごい社会進出!!アンの人生が動き出すのはまだまだこれからだけど、それより先に、ダイアナや、リンド夫人や、マリラの人生が変わろうとしている。◇それはそうと、バッシュとステイシー先生の2人。なにやら水辺でイイ感じ?!2人とも「人を殺したい」と思うほど世間に立腹したらしい。古臭い社会のしきたりに苦しめられてきたのですね。まったく予想してなかったけれど、これって、もしや恋愛フラグなの??だとしたら、バッシュは、ギルバートと違って、ものすごい恋愛巧者だよねえ!彼にとって人種ごときは何の壁でもないのかしら?ステイシー先生に会った瞬間から、なんかニヤニヤしてたし(笑)。もし、そういう流れなら、わざわざトリニダードからお母さんを呼び寄せなくて済んだよね。◇さて、その黒人のお母さん。べつに悪い人ではないけれど、身についた「白人のご主人様」にへりくだる態度を変えようとしない。それは、ちょっと滑稽であると同時に、評議会のオヤジどもとはまた別の意味で、やっぱり「古臭い考え方にとらわれてる」ってことでもある。彼女自身が時代の犠牲者には違いないけれど、このドラマのなかでの立ち位置は、ちょっと微妙です。◇カクウェットが、寄宿学校から命からがら脱走してきた。彼女を探しに出た男たちは、銃を抱えていた。シーズン2の、詐欺師の捕物騒動のときにも、馬にのった村の自警団が銃を片手に探しに出たけれど、無防備な子供でさえ殺すことがあったのでしょうか??かりに子供を殺した場合、それは殺人事件として問われることもなく、カトリックの教会権力によって闇に葬られるってこと?◇なお、コロナ禍で延期になってるようですが、その寄宿学校の遺骨問題の件で、バチカンのローマ法王がカナダを訪問する予定になっています。最近は「法王」ではなく、歴史教科書とおなじく「教皇」と言うらしい。ローマ教皇カナダへ。寄宿学校跡地に子どもの遺体多数。#アンという名の少女#アンという名の少女3https://t.co/Q2KKiCyXEt— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 10, 2022 日本では、近世のキリシタンが「被害者」と見なされることが多いけど、海外に目を向けると、むしろバチカンは「加害者」として数々のジェノサイドに加担している。両義的ではあるけれど、どちらも歴史の真実であるのに違いありません。