テレ朝「捜査一課長」最終回のメタバース犯罪。
警視庁・捜査一課長《season6》が最終回でした。◇シリーズ全体の最終回ということで、なかなか凝った作りになっていましたが、ほとんどSFみたいな設定に、かなりの自己言及(というか自虐)ネタを散りばめた内容。やはり賛否両論だったようです(笑)。このシリーズは、しばらく前から「ネタドラマ化」していたけど、今シーズンは、ほとんどギャグ路線に振り切っていて、よくもわるくも話題を呼んでいました。…わたし自身は、そもそもこの手のサスペンスに期待感が薄いので、シリアスだろうが、ギャグだろうが、べつにどっちでもいいのですが (^^;まあ、いつもよりは、だいぶ興味をもって見ることができました。◇テレ朝のサスペンスドラマは、気軽なルーティンで見てる高齢者が多いらしいけど、内容をまともに理解しようとすると、犯罪動機やトリックがあまりにも意味不明なので、かえって頭が疲れて、徒労感に襲われることが多い (^^;そういう意味では、いっそ「ネタドラマ」として楽しむほうがマシ!今回も、犯罪動機やトリックはやはり意味不明だったけど、《メタバース》を《メタフィクション》に掛け合わせた設定は、それなりに興味深かったです。映像もいつもとは少し違って、なにやら黒沢清の映画っぽい不気味な曇り空が広がってたりして、現実感の乏しい架空世界の雰囲気を醸していました。◇メタバースについては、以前も、細田守のアニメがらみで書きましたが、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202109040000/https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202112080000/今回のドラマでも、アバターとしての人生をとおして、身体的な呪縛から解放されることの自由とか…実体のないモブキャラの悲哀とか…そんなような話だった感じ。◇自己言及ネタとしては、すっかりルーティンに自足したあげく、マンネリと化してしまったこのドラマ自体への、身も蓋もない自己批判を暗に繰り返していました。最終回 自虐ネタ その1。#捜査一課長 pic.twitter.com/N5p7FiLXSI— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 18, 2022 ひと月ほど前の文春の記事には、このドラマが「致命的に面白くない」と書かれていたのですが、それに対する自虐アンサーみたいな脚本です。まあ、文春の記事は、かならずしも否定的な内容ではなかったので、あの記事こそが一種の「ネタフリ」だった気もしますが…(^^;https://bunshun.jp/articles/-/54219最終回 自虐ネタ その2。#捜査一課長 pic.twitter.com/MCmYswDpaS— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 18, 2022 それに加えて、テレ朝・東映の他作品へのパロディも散りばめられており、これがなかなか複雑怪奇な状況を呈していました。以前から、「刑事ゼロ」の沢村一樹が「科捜研の女」に出演したり、「捜査一課」の内藤剛志が「未解決の女」に出演したり、さながら《テレ朝・警察サーガ》みたいになってたのだけど、今回は、ついに、「捜査一課」と「科捜研の女」のパラレルワールドが、メタバース空間のなかで遭遇してしまうという不思議な事態に。もともと双方のドラマには、複数の同じ俳優が違う役で出演しているのですが、それらのキャラが同一世界に存在するかのような演出でした。※2つのドラマでは序列が逆転している~東京 警視庁(捜査一課)~~京都府警(科捜研の女)~ 石井一彰:理事官 内藤剛志:警視正 金田明夫:警視 西田健 :巡査部長 西田健 :警察本部長 金田明夫:刑事部長 内藤剛志:警部補 石井一彰:組織犯罪対策係 第1回東宝シンデレラで大阪出身の沢口靖子が京都府警におり、それと同期で神奈川出身の斉藤由貴が東京の捜査一課にいる。沢口靖子ネタ。#捜査一課長 #科捜研の女 #東映警察サーガ pic.twitter.com/tvdfT23PLT— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 18, 2022ちなみに、2つの世界を遭遇させるメタバースを開発していたのは、本田博太郎が演じる笹川刑事部長だったんじゃないかしら?◇さらには、スケバン刑事(フジテレビ)のヨーヨーが画面に映っていたり、ルパンレンジャー(テレ朝)の工藤遥が捜査一課に加わったり、局の枠を超えた《東映・警察サーガ》みたいになってました。ヨーヨー&卒業ネタ。工藤遥ネタ。#捜査一課長 #スケバン刑事 #ルパパト #東映警察サーガ pic.twitter.com/E9ortXrdtM— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 18, 2022 ラストシーンでは、東映のスタジオセットを、一種の「メタバース的空間」ととらえたっぽい演出もあり、実体のないアバターにすぎなかった工藤遥も、パトレンジャーみたいに捜査一課へ加わってしまったので、かりに続編があるなら、もはや完全なSFになりそうです。(^^;