念風鬼4翌朝、晴明と光栄は、式神を通して遠い土地から話していた。話す様子は電話みたいな感じで、自分が喋ったことを、そのまま式神がその人物の声で言葉をとおす。 晴明がことの次第を光栄に詳しく説明した。 「そう言うことだからよろしく頼むぞ」 「はい分かりました。葛葉一人で本体の方をやらせて、平気でしょうか?」 「それは大丈夫だ。頼光殿も手伝ってくれるよ」 「なお、心配なのですが…」 光栄は声を低くして心配そうに言った。 「まあ…いつでも、式神を通して連絡できるから…助けてやってくれ…ってそろそろ出仕しないと遅刻をしてしまう…ではな…光栄」 「あ、ちょっと!晴明様まだお聞きしたいことが!」 一方的に晴明は連絡を途絶えた。 「切られちゃったよ…まだ聞きたいことがあったのに…」 「なんか…その台詞平安じゃないぞ…」 自分の意識に戻った氷がいった。 「そうか?」 「うん」 と氷に言われて、光栄は顔をかきながら、照れた。 光栄は顎に指を当てて困ったことを口にした。 「連絡だけじゃ…葛葉を助けられないよな…いくら何でも…」 晴明は言葉が足りない時がおおい。 だが、氷がその言葉の足りなさをフォローした。 「それは、大丈夫だ。オレ達を通して魂を乗り移らせればいいことだ。そうすれば、炎になって光栄は葛葉たちを助けられる。」 その言葉に光栄は驚きと感嘆の息をもらした。 「へぇ~さすがは安倍晴明様の式神だ…」 「だけど、あんまり術とか使われるとオレ達疲れてしまうから…って、光栄!」 光栄はその言葉は聞かずにテキパキと祭壇の用意をした。 鼻歌まじりで…その鼻歌は…かずかに、葛葉の名前の音が含まれていた… 「こいつって………」 氷は白い目で光栄眺めていた… 「あれ~父様は~」 葛葉は寝坊けまなこで、父を呼ぶ。 興奮して眠れなかったため、寝るのおくれ、起きるのもおくれた。 そのため、父はいなく、光栄と連絡を取るところにも立ち会えなかった。 単衣の姿をした葛葉は炎に着替えを頼みながら、今日の仕事内容を炎から聞く。 それは宮家の邸にいき、鬼を払うこと。 昨日父が、結界を張ってあるので、後は鬼を引き出し、退治をする。 だけど、昨日父のいった言葉。 『やっつけちゃえばいいとか、退治してしまうのは簡単だけど、その鬼の立場に立ってみると、あまりのも無念すぎると思わないかい?』 その言葉を理解はするがどう、その無念を思ってあげればいいんだろう?と思う。 思うだけいいのだろうか?その無念をはらすには望みのまま動かさせればいいことだ。 だけど…それは、人々が困ること。 それを止めるのが父や葛葉がやろうとしていることなのに… 「本当に私できるのかなぁ…ふあんになってきた…」 やっぱ父様がやった方がいいんじゃないかな…と自信がなくなってきた。 そんな葛葉を見て炎は慰める。 「葛葉ちゃんの手に負えないものなら晴明様がとっくに仕事を終えているよ。 だから大丈夫だよ。光栄さまも手伝ってくれるしそれに…」 「俺様もいる!」 少年の声がどこからか叫んだ。 「う、わああぁ!」 中庭の木から少年が落ちた。 「頼光!」 左頬に紅葉のように赤い平手の後をつけた少年が葛葉のもとにかけよる。 「どうして、邸にいるのよ!」 「君の父上さまに頼まれたからさっ!俺って信頼されているな~はっはっは!」 自信たっぷりで胸を張り言う。 「光栄様もたのまれてるんだけど…」 うっと頼光は言葉につまった。だけど気を取り直す。 「播磨にいるんじゃ何もできないじゃないか!」 「頼光だって何もできないじゃないの」 冷たいめで頼光を見下ろす。 だが、頼光はめげなかった。それ所が自嘲の笑みをした。 腰につけていた自分の背よりは頭一つ半くらいの低い刀剣を葛葉に見せた。 「なにそれ、飾り刀?キラキラした者が多いのねそんなんんで何ができるというのよ」 刀には北斗七星の形をした紋章に宝石が星の位置にうめてある、豪奢な刀だった。 星の色は、赤、青、黄、緑、紫、黒、白の小さな宝石だった。 「これは、退魔の太刀で『鬼切丸』っていうんだ。」 「へ~…すごーい…」 葛葉は頼光の剣術の凄さをしっている。この刀は見た目よりとても重かった。それを、あつかえるなんて…素直に凄いとおもった。 先程木から落ちたのはこの刀の重さゆえバランスを崩したせいだった。 そんな、葛葉を頼光はここぞとばかりに格好の良い台詞を考えいう。 「この刀で葛葉…お前を守ってやる…命にかえても…」 「ねぇ炎、車の用意はできてる?札は?」 「はい全て整えてあるよ」 「じゃ、行こう、炎」 頼光をまるっきり無視して牛車の方へ向かうため渡殿を通っていた。 「ちょっと、まてよ~、まってくれよぉ~!」 頼光は急いで葛葉を追った。 ジャンル別一覧
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