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2009.03.31
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西鹿児島駅前を歩いていたら恵美が横断歩道の正面にいた。

もう過去に消えた恋。

信号が青になってぼくは歩き出したが彼女はこちらを凝視したまま立ち止まっている。

 

「やあ・・・・          鹿児島の街を案内してくれない?」

「・・・・・ 無料でいいわ、   しかしお礼は何かしら?」

「後ろを歩く」

 

彼女はクスッと笑みを浮かべて歩き出した。

桜島が一望できる城山観光ホテルは仕事で何回も訪れていた。

園内から見下ろす錦江湾に遊覧船が浮かぶ。

 

「なぜ、鹿児島に来なくなったの?」

「会った後に離れるのがつらい」

 

にぎやかな天文館通りを彼女はいつもだったように、ぼくの少し前を歩く。

護られている感じがするから、とエレベータでもぼくの前に立つ。

家来になったような気分が蘇る。

 

「おかげで、まっぽーし吹く風がさえぎられていいもんだ」

「そりゃよかったたい」

鹿児島弁のぼくに博多弁で返す恵美。

 

コミュニケーションというのはこころのやりとりだ。

日本語がしゃべれてもこころがかみ合わないことがある。

外国人と片言しかしゃべれなくてもこころがかみ合うことがある。

言葉の量とこころの深まりが比例するとは限らない。

こころがかみ合って言葉の量が多いことがいちばんいい。

言葉は芸術でもある。

芸術は美しさを秘めている。

言葉の根源はこころである。

こころの根源は思いやりと知恵だ。

 

西鹿児島駅のプラットホームで彼女が見送ってくれて最後に言った。

 

「振り向かないでね、それは再会のしるしだから」

 






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最終更新日  2009.04.20 07:05:54
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