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第1話 トマトジュース

第1話 トマトジュース



目が覚めた。

今日は朝っぱらからテスト。
学校があると言えどもやっぱりなんだかんだで土曜なわけで、体の感覚が平日どおりの時間に起きるのを拒否している。
ボーッとしながら自転車をこいでいたわけだが、小中学生が道中に居ないのは気楽。
いつものように、道全体に小学生がいたら一人轢いてもおかしくない状態だった―――

―――いや、気付いて後ろを見たら3人くらいもう既に轢いていたらしい。
がしかし、遅刻しそうだったのでそんなことは気にも留めず、
血をどくどくと流してる小学生を後ろに僕は必死に学校へ向かっている。
学校に着き、僕は何事も無かったかのように教室に入った。
現時点では、いつも通りの教室。いつも通りの活気。
あくまで"現時点では"―――。

1時間目の古典のテストを半分寝ながらも適当に解答を埋める。
2時間目の物理のテストを半分寝ながらも適当に解答を埋め…

ん?

僕はある音に気付いた。
遠くからかすかに聞こえるサイレンの音。
これだけなら大して珍しいことではないが、その音はだんだん学校へ近づいてくる。
そして窓際の席に座っている僕は遂に、3,4台のパトカーが学校の前に止まり、警察官がゾロゾロと出てくるのを目にしてしまった。
と共に

「おい・・・・俺はまだ死んじゃいねぇ・・・・・・」

どうやらさきほど轢いた小学生が僕の後にゆっくりとついてきたらしい。
しかし小学生の姿は一つしかない。
教室が静まり返った。

「2人は・・・お前のせいでっ・・・!」

小学生は凍るような目つきで僕を睨んだ。
なんだろう。異常に胸の辺りが苦しくなってきた。
気づいたら僕の胸にはナイフが刺さっていた。そこから止めなく流れる赤い液。
同じ部屋でテストを受けていた者達は恐怖に怯え、一目散に教室を去った。
僕はただ一人、胸から赤い液を流しながら、呆然と座っていた。
僕の目からは一筋の涙が流れ落ちた。

今朝学校へ行く途中に買い、大切に懐にしまっておいたトマトジュースが……僕の全財産が……!!

小学生は不吉な笑みを浮かべ、消えた。
僕は、あまりのショックに、教室を飛び出した。
他のクラスの者達は廊下に出てザワザワとしており、恐怖の目で僕を見ている。
僕は学校から逃げ出そうとした。がしかし、既にそこは包囲されていた。
警察官の一人が、メガホンで僕に警告を出す。
「大人しくしていなさい 君を道路交通法違反、殺人罪、殺人未遂の容疑で連行する」
僕は穴が開いたトマトジュースの缶を投げつけた。ここから逃げなければ…!
…そう思ったのも束の間、僕は急に激しいめまいに襲われた。
目の前が真っ暗になる。さっきの声がまた僕に話かける。

「逃げてごらんよ、早くしないと捕まっちゃうよ」

真っ暗闇の中に少年が立っている。僕はそこへ向かって歩き続ける。
幻覚か?―――いや、違う。僕の目には何も見えない筈だが、ただ一人、血まみれの少年が立っているのが見える。
僕は走り出した。すると少年は笑みを浮かべ、消えた。と同時に、目の前が明るくなった。

ここは…


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