第3話 選択今日は土曜なのにも関わらず朝っぱらからテスト。 僕は睡魔に襲われつつボーッとしながら自転車をこいでいた。 …そして気付けば、目の前には3人の中学生……!? 僕は思わず急ブレーキをかけた。するとその音に驚いた中学生は振り返る。 僕は、中学生は避けたと思い込んでいた。しかし後ろを振り返ると、3人の少年が血を流して倒れているのに気付いた。 よく見ると、一人の少年はまだ息があるようだ。 しかし、ふと時計を見てみると、遅刻3分前だったのでそんなことは気にも留めず、 血をどくどくと流している中学生を後ろに僕は必死に学校へ向かっている。 鈍感な僕は、学校に着いた瞬間にようやく気が付いた。 ………デジャブーだ!! 慌てて僕は懐を確かめてみた。すると… 何も無い。本来ならここで胸にはトマトジュースが入っている筈である。 しかし幾ら確かめても僕の懐にはトマトジュースは入っていない。 なにかどうしようもない不安に襲われながらも、僕は何事も無かったかのように教室に入った。 現時点では、いつも通りの教室。いつも通りの活気。 無論、"現時点では"の話である―――。 1時間目の古典のテストを半分寝ながらも適当に解答を埋める。 2時間目の物理のテストを半分寝ながらも適当に解答を埋め・・・ ん!? やはり僕はある音に気付いた。 遠くからかすかに聞こえるサイレンの音。 そしてやはりその音はだんだん学校へ近づいてくる。 そして窓際の席に座っている僕は遂に、3,4台のパトカーが学校の前に止まり、警察官がゾロゾロと出てくるのを目にしてしまった。 と共に 「おい・・・・俺はまだ死んじゃいねぇ・・・・・・」 やはりさきほど轢いた中学生が僕の後にゆっくりとついてきたらしい。 しかし中学生の姿は一つしかない。 教室が静まり返った。 「2人は・・・お前のせいでっ・・・!!」 中学生は凍るような目つきで僕を睨んだ。 そして異常に胸の辺りが苦しくなってきた。 気づいたら僕の胸にはナイフが刺さっていた。そこから止めどなく流れる赤い液。 ―トマトジュースではない、赤い液― 見ていた者達は悲鳴を上げ、一目散に逃げ出した。 中学生の姿は既に無い。 僕はとうとう体が軽くなり、天へ昇ってゆく夢を見ていた。 …僕は見たことの無い空間に立たされている。 前方に道があったので少し歩いてみると、先に一人の番人のような人が立っていた。 その人の話によると、どうやらこの先は生きている人間には行くことの出来ない世界に繋がっているらしい。 そして僕は、その世界に入る権利を持っているとのことである。 生きていることを否定された僕は、先へ進む以外の選択肢を失った――― ―――いや、ここはいっそ、"先へ進むという選択肢を得た"と捉えることにするか。好奇心旺盛な僕は吹っ切れた。 そして番人は、こんなことを尋ねた。 「自転車がいいですか?それとも車がいいですか?」 どうやら、その世界に入るには、そのどちらかに乗って入る必要があるらしい。 というのも、別な次元の世界に侵入するのだから、勢いが肝心であり、 あまりノロノロとしていると空間の境界線の狭間に押し込められ、行きたい世界に行けない恐れがあるとのことである。 そして僕は、迷わず車を選んだ。 自転車なんか選ぼうものなら、どうせまたあの悲劇にうなされるに決まっている。 車に乗った僕は、"生きている人間には行くことの出来ない世界"を目指した。 まさかこの選択が、後に僕を永遠の苦へと陥れるきっかけになるとは…… … |