第5話 2度目の選択シャワーを浴び、浴槽に入り、僕は少し気が収まった。 全てを洗い流したつもりでいた僕は、浴槽から上がろうとした―――その瞬間。 「おい・・・・俺はまだ死んじゃいねぇ・・・・・・」 僕は血の気が引いた。その場に凍り付いてしまった。 「2人は・・・お前のせいでっ・・・!!」 異常に胸の辺りが苦しくなってきた。 気づいたら僕の胸にはナイフが刺さっていた。 浴槽に溜まったお湯は一瞬にして"血風呂"と化した。 少年は不吉な笑みを浮かべ、消えた。 間も無く僕は意識を失い、"血風呂"に顔を沈めた。 …僕は体が軽くなり、天へ昇ってゆく夢を見ている。 …僕は何処か見たことのある空間に立たされている。 前方に道があったので少し歩いてみると、先に一人の番人のような人が立っていた。 その人の話によると、どうやらこの先は生きている人間には行くことの出来ない世界に繋がっているらしい。 そして僕は、その世界に入る権利を持っているとのことである。 生きていることを否定された僕は、先へ進む以外の選択肢を失った――― ―――いや、ここはいっそ、"先へ進むという選択肢を得た"と捉えることにするか。好奇心旺盛な僕は吹っ切れた。 そして番人は、こんなことを尋ねた。 「自転車がいいですか?それとも車がいいですか?」 「…自転車プリーズ!!」 「No, 車 only......」 流石に先程の悲劇が応え、僕はとっさに自転車を選んでいた。 がしかし、この有様である。 僕はとうとう開き直った。 車に乗るだけ乗って、光輝く"幻の天国"に突っ込みさえしなければいい話だ。 しかし留まっていても仕方の無い話なので、僕はとりあえずエンジンをかけた。 そして試しに、先程進んだのと逆の方向に向かってみた。 ―――徐々に進むにつれ、どうやら前方が暗くなる――― 僕は慌ててブレーキをかけた。 "幻の天国"もろくなものではなかったが、 どうにもこちらはさっきにも増して酷な世界に繋がっている気がしてならなかった。 僕は恐ろしさが込み上げ、Uターンして引き返した。 そして次の瞬間。 「よくも俺たちを・・・・・」 ジャンル別一覧
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