第7話 地獄車…僕は何処か見たことのある空間に立たされている。 前に道があったので少し歩いてみると、先方から車が走ってくる。 中をよく見ると、30代ぐらいの男性が3人乗っている。 そしてその車が僕の横で止まったと思った瞬間、3人の男は一斉に僕を車内に引きずり込んだ。 僕は抵抗する間も無く運転席に座らされた。 「俺達のこと……もちろん覚えているな?」 僕は、ここがあの世だと確信した。天国か地獄かは分からないが、とりあえず僕は既に死んでいるということは分かった。 2人ではなく、3人の男…… …そうか、僕を刺したあの男も最後には息を引き取ったのか… などと思っているうちに、3人の男は車外へ出て、僕一人だけが車に取り残された。 出ようとしても無駄。3人の男が全てのドアを全力で抑えつけている。 こうなったら残された手段は一つ。僕は全力でアクセルを踏み、男達を吹っ飛ばして車を突っ走らせた。 車は男達からどんどん離れてゆく。 後方を見ても男が見えなくなったと思ったとき、僕はドアを開け、車を降りようとした。 …その瞬間、僕は急に激しいめまいに襲われた。 目の前が真っ暗になる。男の声がまた僕に話かける。 「出れるもんなら出てみやがれ…」 真っ暗闇の中に3人の男が立っている。僕は必死でドアを開けようとしている。 幻覚か?―――いや、違う。僕の目には何も見えない筈だが、3人の男が立っているのだけは見える。 僕はとうとうドアを開けた。すると男達は笑みを浮かべ、消えた。と同時に、僕は意識を失った。 僕はまた別世界へ連れ去られる幻覚に陥った。 …僕は何処か見たことのある空間に立たされている。 前方に道があったので少し歩いてみると、後ろから声が聞こえた。 「……そもそも何かがおかしいとは思わないかね?」 振り向くと、番人のような、何処かで見かけたことのある人が立っていた。 「たかが自転車で3人もの子供、更にはがっちりした大人をも轢き殺す……普通に考えて有り得ないとは思わなかったのか?」 「……どういうことだ。」 「お前が乗っていた自転車… ……"地獄自転車"だ。」 「"地獄自転車"……!?」 「その自転車に乗った者はな、永遠の苦を味わうことになっている…。 解放される術は無い。これはお前の……運命(さだめ)だ。」 「いつか『自転車か車か』と尋ねた……あれはどういうことだ?」 「お前を試してみたのさ…。そしたらお前、自ら墓穴を掘りやがった。」 「あのとき僕が選んだ車は…」 「あれはな、"地獄車"だよ。それを選んだ者は、永遠の苦を味わいつつ、死ぬことも出来ない。 "地獄自転車"なら、自ら命を絶てば安らかに眠ることが出来た。 お前は、死のうとしても別世界に連れられ別の苦が待っている、"地獄車"を選んでしまった。 まさに迷宮に自ら飛び込んでしまったのさ……。」 _| ̄|○ 気付けば番人は消えていた。そして僕の周りを取り囲むのは、十数台の車… 運転手を確認しようと思ったが、よく見えない。 次の瞬間、一斉に全ての車が僕に向かって突進してきた。逃げる間も無く僕は押し潰された。 一瞬にして気を失い、僕はその場に倒れこんだ。そして、また何処かに連れ去られる夢を見ていた。 |