クラシックどっぷり日記 ~音楽回想~

2007/10/20(土)12:02

ムソルグスキー「展覧会の絵」15通りの楽しみ。

編曲?変曲!(24)

以前、とんでもないCDが発売された。   イギリスで毎年恒例となっている BBCプロムスでのライヴ録音。 ムソルグスキーの「展覧会の絵」の各曲を全て違う編曲版で味わうというもの。 このような内容に手を突っ込んでくれたのは、やっぱりこの人か!といいたくなる  レナード・スラトキン 本当にこの人は、こういう企画が好きですね~、だからもちろん私も好きですね~。 内容としましては、 プロムナード1/ビルウェック・エリソン版 こびと/セルゲイ・ペトロビチ・ゴルチャコフ版 プロムナード2/ワルター・ゲール版 古城/エミール・ナウモフ版 プロムナード3,テュイルリー/ゲールト・ファン・コイレン版 ビドロ/ウラディーミル・アシュケナージ版 プロムナード4/カール・シンプソン版 卵の殻をつけた雛の踊り/ルシアン・カイエ版 サミュエル・ゴールデンベルグとシュミイレ/ヘンリー・ウッド版 プロムナード5/ローレンス・レナード版 リモージュの市場/レオ・フンテク版 カタコンブ/ジョン・ボイド版 死者の言葉で死者とともに/モーリス・ラヴェル版 バーバ・ヤーガの小屋/レオポルド・ストコフスキー版 キエフの大門/ダグラス・ギャムレイ版 という何とも豪勢かつボリュームの多さ!!お腹イッパイになるのは当然のような気がします。 プロムナード1 出だしで驚きです!一般的にはトランペットから始まるラヴェル版が一般、フンテク版やストコフスキー版は弦からカイエ版は木管?から開始されますが、これはなんと  鐘!! と言っても、NHKのど自慢のような開始ですよ。鐘を使用してあの旋律を奏でるわけです。 グロッケン(?)やバスドラ、ピアノ?ムチ?などを使用し、オケへと渡します。全体としては、打楽器を主体、土台とした珍しいものです。1995年に編曲。 こびと ゴルチャコフ版は、まだ手に入れる事ができる領域の版です。今ではマズア指揮のフランス国立管のDVDが出ていますね~。この編曲は聞きやすいです。ラヴェル版の付け加えたというか、それほどの変化はありません。でもダイナミックさはあると思います。1944年に編曲。 プロムナード2 出だしは、チェロの旋律により始まり、オケへバトンを渡します。 チェロを主旋律に置いており、受け渡しも木管へと短い曲ながらも巧みな技があります。 1942年に編曲。 古城 出だしは、チェロより開始され、オケへ。しかし、このナウモフ版の他とは違うのは、ピアノの大きく利用しているところです。大げさかもしれませんが、ピアノ協奏曲のような、主題を握るのはピアノのような気がします。音源としても発売されているナウモフ版、プロムナード1を聞いたら驚きますよ、ピアノ独奏、独占みたいな編曲です。 1991年に編曲。 プロムナード3 高らかにブラスが響く。 これは多分吹奏楽版の編曲だと思います。弦は一切入ってない(ベースはあるかも?)ので、低音も木管バリバリです。1992年に編曲。 ビドロ 少し前までN響音楽監督であり名ピアニストでもあるアシュケナージ版です。 どす黒い始まりです、低弦、トロンボーンがこれでもか!と言わんばかり弾いて、吹いてます。なぜここまで重荷を背負っているの?途中より高弦の出現により、雲の割れ目から微かな光が降りてきたような・・。しかし、残酷、卑劣というようなむごい情景が思い浮かび、ミサのように感じる(個人的に)。音源としても今でも手に入る。1982年に編曲。 プロムナード4 大変旋律が綺麗、高音でのいいハーモニーが何とも言えませんね~。途中より低弦が顔を出し、重たいようで重たくない。このビドロを聴いた後だと、このプロムナードが最適かもしれません。1995年に編曲。 卵の殻をつけた雛の踊り カイエ版は今ではオーマンディの指揮するものしか存在しませんが、それも廃盤。数少ない録音ということなんですが、なんせ音源が古いため聞き取れにくいものがありましたが、これは鮮明に聞こえます。 フルートがスゴイ大変そうなのが目に浮かびますね、タダでさえラヴェル版でも大変なのに、それ以上になっている気がします。1937年に編曲。 サミュエル・ゴールデンベルグとシュミイレ 出だしは、低弦、低管による重苦しい旋律、途中より突然穴に落とされたような映画音楽のようなところが出てきますが、聴いていると現代版というようなイメージが。工場にいるような感じがします。1915年に編曲。 プロムナード5 ピアノとトランペットによる始まり。オケを最大限に利用しており、演奏も勢いという感じでの曲流れ。マーチ風とは言いすぎですが、元気のある曲。1975年に編曲。 リモージュの市場 フンテク版は今でも手に入る音源。弦を得意としていたフンテクですので弦アンサンブルが綺麗です。そして、うまく打楽器を使うところは使用しており、これがラヴェル版よりも先に編曲されていたかと思うと不思議です。1942年に編曲。 カタコンブ 低音群の覆い迫る姿が写しだされます。どこか懐かしさのある抒情、それを管に使用し、静かに終える。1986年に編曲。 死者の言葉で死者とともに 一番有名であり、オーソドックスな演奏はラヴェル。この編曲が聞きやすいです。木管が主旋律を、後ろから多いかぶさるように低音が迫り来るという絵が見えます。オーケストレーションがやっぱりうまく、大作曲家です。1922年に編曲。 バーバ・ヤーガの小屋 ここで持ってきたか!ストコフスキーを!と言いたくなります。ラヴェル版の次くらいに有名な版です。出だしからやる気がね~って感じでの管、突然弦がやる気だぜ!とやってくる。途中からは、繊細を主にしたストコ節が炸裂です。ここまで力を入れて弾かせなくても・・と思うのがストコのいいとこです。話によると、ラヴェル版はロシアでは評判が良くなかったそうです。あまりにも繊細すぎるとか?ムソルグスキーらしさがでていない?とかで。そこでストコフスキーが編曲したら喝采だったらしいです。トコトンあらゆる楽器を使いきる。1938年に編曲。 キエフの大門 ストコの編曲から、突然、静まりかえるというか音量が・・、しかし!!鐘が!ドラが!オルガンが!その後、あの旋律が。管と弦をうまく活用しており、おおっ!途中より合唱が!確かにこれが出てきては、ストコは前座になってしまいますね~。 オルガンソロが入り、どこまで展覧会は大きくなるのだろう・・。合唱と鐘が鳴り、ミサっぽくなって暗くなっているところに明かりが差し込んで(グロッケン)、オルガン&オケの壮大なロマンです。(やっぱりオルガン迫力あるな~、カッコイイ!!) 終わった後は、大歓声 プロムスは本当に映像で見てても鳥肌が立ちますからね。 それでいて、この編曲の内容の濃さ。まだ他にも編曲はあるんですが、これは納得です。 スラトキンの器の大きさですね~。感動 これはありがたい1枚。 ピアノ版、ラヴェル版、ストコフスキー版、ブラス版、マリンバ版の5種類の展覧会の絵が収録。 ナウモフ版。 もちろんご紹介。アンセルメの「展覧会の絵」 今回のCDには収録されていなかったジュリアン・ユー版(室内楽版) アンサンブル金沢に委嘱された曲でもあります。民族楽器と言いますが、オケという感じはしません、打楽器を主にしているのでいろんな音色が聞こえてきます。今は亡き岩城さんの演奏が凄くいいです。

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