魔女メグ

競技車大改造

幼少の頃より、無類のメカ好きで、祖父の形見の壊れた懐中時計を直そうとして当然ながら壊してしまったり
ピアノを習えば、アップライトピアノまでは良かったが、グランドピアノでの練習に切り替わったとたんに、開いた蓋に映るピアノのアクションが気になり、なぜ鍵盤を叩いただけで大げさに中身が動くのか、練習など、そっちのけで先生に質問し、とうとうピアノ教室を首になったクソガキでした。
 それと言うのも、神経質な先生で、手を石けんで洗ってから通っていたのに、ピアノの横にクレゾールの入った洗面器があり、先生が私の手を取り、指一本一本丁寧にガーゼで消毒し、更には爪の中まで消毒されるほどでした。
 そんな先生だからこそ、ピアノは常にピッカピカ まるで鏡のようでしたからね・・・
まぁ余談でしたが、自宅に工作機械が揃っている環境で育った事もあり、メカマニアになってしまったようです。

そんな子供時代に考えたのが今回紹介するエンジンです。
傾斜板エンジン
これが問題のエンジンですが、クランクの代わりに出力軸に対して傾斜した円盤を使い、出力軸に平行な複数のシリンダーが円上配置された物です。
 丁度星形エンジンのシリンダーを全て軸方向に直角に曲げたレイアウトになります。
 切っ掛けは、父が戦時中、飛行機の設計の一部を担当していたせいか、自宅に「航空発動機」なる分厚い本が上中下巻の3巻からなる、当時のシュピットファイヤーやユンカースなどのエンジン図面と解説が細かく記された本を見ていて、星形エンジンに興味を持ち、車に積むには、平たくて良いが、出力軸が上下方向になるので問題だと思い、この発送に至った訳です。
 傾斜した円盤を回転させ外周をトレースすると、コンロッドの動きはクランクが回転したときと同じ軌跡を書くことが展開して判り、コンロッドは上下に動くだけなので、ピストンと一体でも良い(むしろ一体の方がシリンダーにピストンが拗れなくて良いとも思い、これは画期的だ・・・などと思い込んでいました。  問題は、いくつか当時の頭でも見つけ、円盤に乗せているだけだと、圧縮行程や爆発膨張行程では押しつける力が働くから良いのだが、吸気行程が、負圧になり、ピストンが戻らない・・・
そこで、円筒状の外周にこの円盤と同じ溝を作り、スライダーのようにすれば良い・・・ますます自惚れた私は更に、どうせ溝ならカムの様に自在に掘れる
つまり、膨張行程を多めに、圧縮行程を少なめに、自由自在に出来る等と思っていました。
 今思えば幼稚な発想でしたが、OHVエンジンなら何とかなりそうだが、OHCなどカムを上に上げると、各気筒毎にそのメカニズムが必要となってしまう事や、大きな振動が発生してしまう事など全く考えませんでした。
 当時は小型化が可能だと思っていたが、水平対抗エンジンの方が投影面積は大きいが、床下などに納めれるコンパクトエンジンになる事に気が付くまで、ずいぶん時間が掛かりました。
 父に相談し、特許取れるかな・・・等と聞いても冷めた口調で、もっと考えた方が良いと言われるだけでした。
 判っていたんですね・・・でも否定はされなかったし、問題点を指摘されなかったからこそ、一所懸命考える事が出来たのだろうし、今日の自分があるのだろう。
図は簡単に示しただけで、当時はノート数冊一杯に落書きしていました。
これを見て、色々問題点に気が付くとは思いまうが、子供の考えって事で・・・

余談ですが、その後、数年し、自動車の免許を取った頃、エアコンのコンプレッサーが、まるで同じ構造だと知った時は相当ショックを受けました。


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