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• ギターと音楽（その３）

  高校生活を東京で送っていたこの時期は、色んな意味で刺激的だったと思う。学校のお昼休みには講堂でディープ・パープルのアルバムを大音響でかけたり、学園祭では学生のロックバンドが出たりして面白かった。巷では四人囃子という日本のプログレハードロックバンドなどロックブームのまっただ中だったが、私は学園祭でも放送クラブの学友に頼まれて放送部の部屋で弾き語りをしたり、ポール・サイモン、六文銭やビリーバンバンやジローズの曲をやったりして相変わらずフォーク路線を走っていたのだが、心はもうロックに走っていた。ここで問題なのがフォークギターはギター1本で音楽ができるのだが、エレキギターは安くてもそれだけで何万円もするのに、アンプがないと音が出せない。アンプもどんなに安くても、まともなものは十何万円もするだけではなく、一緒に演奏する仲間もある程度のお金がないとドラムもベースも買えない。こんなことを考えると、高校生の分際でそんな仲間やお金の都合がつくわけがない！と諦めるのもむりはなかった。（自己弁護）私は今はどうやって場所を探したのか覚えてはいないのだが、新宿にはロック喫茶というものがいくつかあり、その中でも私のお気に入りはその名もローリング・ストーンズ。まさに名は体を表すような、こてこてのロック喫茶で、薄暗い階段を下りてドアを開けると、薄暗い大部屋に置いてある大きなスピーカーから大音響でロックが流れている。ドアを入って右側にはDJのブースがあり、タバコの煙で充満している部屋の中は、エレキギターショップから掛け持ちでやってきたような、髪の長いロンドンブーツのお兄さんお姐さん達が首をうなだれてリズムを取っている。こういうところは音響も凝っているのでスピーカーも良いものを置いてあり、従って音が凄く良いので音楽を聴く場所としてとても気にいっていた。リクエストはDJブースの横にリクエストの紙が置いてあり、かけて欲しい曲はその紙に書いてブースの中にいる人に渡すとかけてくれるといった具合である。この頃、エレキギターの種類は今ほどではないにしてもすでにいろいろあり、買えるわけもないのに有名なギターの名前は自然に耳に入ってくる。２大メーカーとして覚えたのは、エレキギター好きなら誰でも知っているギブソンとフェンダーという２大メーカー。それぞれの代表として上げられるのは、ギブソンならレスポール、フェンダーならストラトキャスターという名前が付けられたギターだった。フェンダーのストラトキャスターを弾いている当時の有名なギタリストは数多くいるが、その中で上げられる有名人はジミー・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、リッチー・ブラックモア（ディープ・パープル）、デイブ・ギルモア（ピンク・フロイド）等で、ギブソンのレス・ポールはジミー・ペイジ、ポール・コゾフ（フリー）等である。（当時のことなのでここに載っていないギタリストのファンの皆様ごめんなさい）この他に、当時とても大事だったのはアンプだった。当時のアンプは真空管を使っていて、現在のアンプと違いアンプだけでとても伸びと暖かみのある音が出ていた。その代表としてはマーシャル、フェンダーが上げられるが、今はもう生産されていないアンプの中でとても優秀なアンプも数多くあった。その一つとしてはWEMというアンプが上げられる。ブリティッシュの６０年代から７０年代前半に活躍した真空管アンプである。このアンプは当時のピンクフロイド・ライブ・アット・ポンペイのフィルムでもみることができるが、かつてギターを教えていた子供について行ってアンプを見てあげたことがあったのだが、試しにその場所にあった安ギターをそのアンプにつないで弾いてみたのだが、一音弾いただけで凄いと感じたアンプは生涯このアンプだけであった。このアンプは３０Wの小さなアンプだったのだが、正直言って私が欲しかった。（笑）いまはギターのエフェクターの技術が大変進んでいて、どんなギターでも色々な音を出すことができるようになっているが、半面そのギター独特の特色というものは無くなってしまったように思える。昔はギターをアンプに直接つなぐだけで、エフェクターも余り使っていなかったので、録音を聴いただけでそれがフェンダー系のギターかギブソン系のギターかを聞き分けることができたものだった。＜続く＞

  2004年06月09日

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• ギターと音楽（その２）

  当時のバンド、シカゴは生粋のロックバンドで現在のようなバラード中心ではなく、力強いブラスロックを聴かせてくれた。今思い返してみると、重く響くピート・セテラのベースにドライブの効いたダニエル・セラフィンのドラム、そしてテリー・キャスのワイルドなギターにピアノ、サックス、トランペット、トロンボーン。実に印象深かった。彼らの初期のアルバムを買いあさり、武道館のライブを見に行き、あげくの果てに彼らの４枚組の「シカゴ・アット・カーネギーホール」のアルバムを買い、毎日大音量で聴きまくっていた。この頃、私は友達の知り合いから12弦ギターを買うがギターに12本弦を張るのが面倒になり、その後、そのギターは6弦ギターとして使用する。この頃、ポール・サイモンのギターにはまり、スカボロフェアー、ボクサーなど彼の弾き方を勉強する傍ら、高校でクラシックを弾いていた友達から簡単な映画音楽の曲を２～３曲教わる。この辺りからギターを歌の伴奏だけに弾くことに飽きてきて、どうやったらギターだけで曲が弾けるものかを研究し始めたと思う。ギターの方は相変わらずアコースティックのテクニックを研究していたのだが、音楽の趣味はどんどんロックの方向に偏って行く。これはいわば、音楽的股裂き状態とも言えるジレンマだった。高校では音楽狂の級友が、毎月何枚かアルバムを買ってはその評価を聴かせてくれたりしていたので、音楽の情報には事欠かなかった。高校２年の頃だと思うが、ある日、この音楽狂の友人がレッド・ツェッペリンのコンサートにいって来た。彼は翌日の学校でドラムのジョン・ボーナムがいかに凄かったかを興奮して私に話してくれたのだが、その頃の私には彼の話の内容はまだ未開の話でいまいち理解ができなかった。私は多分、この級友の影響もあり、ちょくちょく近くのレコード屋に足を伸ばしては２～３枚のレコードを聴き比べ、気に入ったものを買っていた。ある時、サンタナの新譜・2枚目の「アブラクサス」というレコードを見つけた。サンタナの1枚目のレコードは、たまたま実家に遊びにきていたお兄さんに聴かせてもらって知っていたので、2枚目も迷わず買い、家に帰って興奮気味にステレオにかけた。今まで聴いたことがない音がどこからともなく漂って来る･･･大胆なピアノの低音が響く･･･そしてパーカッションが静かに、しかし力強くリズムを刻み始める。そしてファズをかけたギターの音がエコーしながら、右のスピーカーから左のスピーカーに移動する･･･初めて聴くそのアルバムに完全に魅了されてしまった。この後、私はこのアルバムを何回も何回もいつもの大音量で聴いたのを覚えている。サンタナはこの後「キャラバンサライ」まで聴いたのだが、彼の作り出すメロディアスなフレーズとスリリングなギターの音にすっかり魅了されてしまった。この頃からエレキギターを弾きたいという願望が蓄積して行ったのだと思うが、自分のやっているアコースティックのギターとは弾き方も値段もかけ離れて過ぎていて、この頃の私には思いは募れども、将来、自分がエレキを手にする日がくるなんて、この時には想像もつかなかった。＜続く＞

  2004年06月08日

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• ギターと音楽（その１）

  これまで、私はギターについて書いたことがなかったので、一度ギターについて書いてみることにした。私がギターというモノに興味を持ち出したのは小学生の頃だったと思う。確かアントニオ古賀というギタリスト（今思うと、この人は凄腕のギタリストだった）「その名はフジヤマ」というなんとも不可思議な題名のレコードが既に家にあり、そのレコードを聴きながら家にあったホウキを持ってギターを弾くマネをしていた記憶がある。もともと幼い頃から歌を歌うのが好きだった為（うまいヘタは別にして）自分で伴奏ができて歌が歌えたらいいなという意識がどこかにあったと思うが、楽器を買うにはお金がいる。毎日おこづかいを貰っていたら何とか貯めることが出来ただろうが、それもままならずに中学生生活を送っていた。確か２年生の時だったと思うが、同級生が３年生の卒業式の謝恩会でフォークギターを弾いて歌を歌った。「カッコいいじゃん！」私は彼が一人で弾き語りをしている姿を、「ステージで」ということではなく、一人で伴奏をしながら歌を歌えるということをとても羨ましく思った。折りしも日本はグループサウンドブームで、エレキギターをもったバンドが音楽業界を賑わしていたが「エレキは不良の弾くもの」という田舎独特の考えが私の育った町でも蔓延していた。しかし、私には小学校の時に映画「エレキの若大将」で見た加山雄三や寺内タケシがどうしたら不良に見えるのか？いまいち理解できなかった。加えて普通のギターも手の届かない私にとって、エレキギターなどいうものは雲の上のそのまた上の「映画やテレビでしかみたことがない」という存在だった。そんな折、私の姉が大学に入学した後になんとギタークラブに入った。姉がある日、クラシックギターのケースを持って家に帰ってきた！その時のことはあまりはっきり覚えていないが、多分しつこく食い下がって頼み込んだのだと思う。姉はギターのチューニングというギターを調律をする曲（？）を教えてくれた。これが私が最初にギターに接した最初の経験だった。その後、姉はギタークラブを辞めて他のクラブに入ったので、必然的にギターは私の自由になっていった。私は最初に簡単なギターのソングブックを見て、EmとAmだけで弾ける曲（多分ドナドナという曲の最初の部分だったと思う）を選び、歌いながらジャンジャンとコードを弾いてみると、歌いながらある音のところでコードを弾くと気持ちのよいことに気がつくが、何回も弾いているうちに飽きて来る。飽きて来るともう一つコードを覚えたくなり、また本をみて今度はB7というコードを覚えるといった具合だったように思う。ギターのコードを少しずつ覚えて行くうちに一曲二曲と歌えて弾ける曲が多くなってきたある日、テレビで土居まさるの「奇人変人コーナー」で白いギターを商品に渡しているの見た私は、正月のお年玉で1万円の白いフォークギターを買ったが、このギターは失敗だった。（笑）ギターのことを何も知らずにカッコだけで買ってしまったのだが、弦が張ってある場所（つまり弦高）がフレットからとても高くてとても押さえられるものではなかった。結果的にこのことはギターを弾く訓練としてはためになったのだが、同時期にギターを買った友人は当時１万4千円も払って、とても音色が良くて弾きやすいギターを持っていたのがとても羨ましかった。そして時代はフォークブーム！森山良子、マイク真木、高石友也、岡林信康、フォーク・クルセイダースなどが築いて行った土壌をビリー・バンバン、五つの赤い風船、赤い鳥、六文銭、吉田拓郎、高田渡、加川良、泉谷しげる、古井戸、あがた森魚、BUZZ（ケンとメリーの愛のスカイラインといえば思い出す方もいると思う）そしてかぐや姫、イルカ、アリス、さだ・まさし、五輪真弓、中島みゆき、オフコース、井上陽水、荒井由美（現松任谷由実）、小椋圭、因幡晃など等・・・書き出したら切りがない。（ここに載っていない人のファンの皆様ごめんなさい！）海外でもキングストントリオ、PPM、シーカーズ、カーター・ファミリー、ブラザース・フォー，ホセ・フェリシアーノからアーロ・ガスリー、ボブ・ディラン、サイモン・ガーファンクルというそうそうたるメンバーがスターダムに登ってきた。したがってギターのテクニックもだんだんと難しくなって行った。カーターピッキングというものを初めて知ったのは、吉田拓郎の『人間なんて』というアルバムの中の曲だったが、最初聴いた時はギター２台で弾いているのかと思ったのを覚えている。（今思うとまだまだ未熟な初心者の頃だった。）これはピックで低い弦を弾いてから返すピックでコードを弾く技術なのだが、後に大学の音楽クラブでこの奏法の高度な技術をマスターした先輩がいたのだが、低い弦を1回ではなく2回ないし3回弾いてからコードを弾くという技術を、ブルーグラスという音楽で使うのを見たことがあるが実に素晴らしいテクニックだった。この時期のギターテクニックのもう一つは、フィンガーピッキングという弾き方でポール・サイモンがよく使っていたテクニック。基本的に親指でベースの6弦と4弦をリズミカルに弾き。小指を除いた３本の指を使ってリズミカルに弾く奏法であるが、これも後に同じクラブで高度な奏法を知ることになるのだが、アメリカの盲目のカントリーシンガーのドク・ワトソンという素晴らしいテクニックを持ったギタリストがいるのを後に知ることになる。最もポール・サイモンもかなりの技術を持った人で彼の「アンジー」という曲はフィンガーピッキングの名曲として知られている。（ローリング・ストーンズの曲でも同名の曲があるが、別の曲です）そんなことをしていた高校の２年の夏休みに学校で級友から借りたあるレコード（当然この頃にはCDはない）から私の音楽の視野がフォークからロックに急変した。アルバムは、アメリカのシカゴというバンドのベストアルバムだったと思うが、当時、東京の高校に通っていた私は夏休みに郷里の家に帰った時に友達から借りていった。それまで小さなラジオでしか聴いたことがなかった曲だったのだが、家のステレオで大音響で聴いた時は全く違った迫力で一遍にロックという音楽に魅了されてしまった。＜続く＞

  2004年06月07日

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• 足止め（またかっ）

  またやってくれたぜ、国鉄！今日は仕事も早く終わり、これから家に帰れば、昨夜のコンサート疲れを取る時間ができるとほくそ笑んでいた私を、悪名高いイギリスの国鉄がまたもや足止めしてくれたのだった。ヴィクトリア駅に着いた私は、足早に一番先に出る電車に向かってプラットホームを歩き、電車に乗り込んだ。運良く入り口の直ぐ横の席が空いていて座ることができたのだが、この電車は既に発車時刻を２～３分ほど過ぎていた。後は電車が出発してしまえばこちらのものと、今朝の新聞をカバンから出して読み始めた。新聞を読んでいる内に電車は発車間際になったのか、乗り込んで来る人たちで混んできた。すると突然車内放送が響き渡った。「This train has now been cancelled！（たった今この電車は運行を打ち切りになりました）」な、なんだとぉ？勝手に決めるな～！こんなに混んでいる電車を勝手にキャンセルしてどうしようってんだ～?それにこれだけの人数が一度にプラットホームに溢れたらどうなるのか、お前ら解ってんのか～？すると車内放送の第二弾。「Next train will be departing within a few minutes from platform 15 . （次の電車はプラットホーム15より数分後に出発します）」いつも電車に乗ると、降りる駅の出口に合わせていちばん前のほうの車両に移動するのだ。しかし、乗っていたこのプラットホームは18番。15番までいく為には、一旦、これまで進んできた車両のお尻のほうにバックして、今、はいってきた改札の方向に戻ってから、あらためて15番に移動してから、また車両の前まで行かなければならない。電車の中の乗客は、一斉にため息をついて急いで出口を出て行ったのだが、私は生まれてこのかた70ﾑ80人の人間が一斉にため息をついたのを聞いたことは無く、初めて聞いたのだが中々迫力のあるものだった。いや、おもしろがっている場合ではない。これからが大変、是非皆さんにご想像願おう。あの電車は確か12両編成だったと思う。一両がすでに結構混んでいて、一両に少なくとも100人は乗っていたとすると、実に1200人の人間が15番線に向かって一斉に走り出すのだ。これはもう、パニック映画のそれに匹敵する。加えてプラットホームの始まりのところには時刻表のモニターテレビがあり、この時、この付近では400～500人の乗客（これから電車に乗ろうと、いちばん早い出発の電車をテレビで探している人）が次の電車の時刻表示が出るのをイライラして待っていたのだ。これは見ていて目を覆いたくなるような悲惨かつ滑稽な光景だった。こちらの人間は人に道をあけるという習慣がないので、時刻表のモニターを見てじっと立っている。そこを、18番から15番に移動しようとする1200人の団体がすり抜けようというのが所詮無理な話である。そうしているうちに、15番線の電車は、まるでインドか東南アジアでよく見かける超満員電車と化する。（もちろん電車の上には人は乗っていない。）それを見た私は15番ホームに行くのを諦め、次の電車に乗ることにした。すると、それまで時刻表を見ていた群衆が、足早に私が今やってきたホームに一斉に移動し始めた。どうやらさっきのホームの反対側17番の電車が出発するらしい。群衆は我先に電車に乗り込んで席を確保しようとしているのだが、その様子は角砂糖に群がったありの様な光景だった。私もそのアリの一員になり、果敢に座席を確保した数分後、電車は出発して無事に帰宅をする事ができた。これは最近新聞で読んだ話であるが、近々、次のオリンピックの開催地が決定されるらしく、ロンドンも候補地になっているということだが、ここの交通機関が余りにもずさんなため、選ばれることはないだろうと書いてあった。オリンピックのことはどうでも良いから、我々の毎日の通勤の邪魔だけはしてくれるな～！と声を大にして言いたかった。

  2004年06月02日

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  Will Young コンサート

  今日は、久しぶりにコンサートに行ってきた。コンサートの内容はイギリス期待の新星であるWill Young!彼はイギリスのポップアイドルの初代優勝者で、彼の才能自体はポップアイドルとは程遠いheavy級の才能を持っていると思われるシンガーだ。彼の才能に最初に気がついたの何を隠そう、嫁さんである。彼の音程の正確さはただ者ではない！とポップアイドルの審査の間中、私の横で耳にタコができるぐらい言っていたのだが、彼は見事に初代の優勝者として華々しいデビューを飾った。そして一枚目のアルバムが出たのだが、聞いた感想はバックの音が彼の歌のスイングスタイルについて行っていないというものだった。それから暫く彼のことを聞くことがなかったのだが、それから一年半後、彼の２枚目のアルバムが出たのだが、このアルバムで彼の才能が見事に開花したと言っても良いと思う。このアルバムには彼の才能が作詞／作曲に現れていてバックの音楽にも見事にとけ込んでいる。そして今日彼のコンサートの感想はというと、CDよりもライブの方が数段良かった。コンサート全体を通して私が感じたことは、ゴスペルとファンクという感じでとてもノリの良いコンサートであった。向かってステージ右寄りに● 男性1人・女性２人のコーラス● キーボード（舞台が遠くて余りわからなかったが、彼はシンセ関係のキーボーディストだと思う）● ベース（かなりファンキー）● ドラム（余り派手ではないが凄いドラマーだと思う）● パーカッション（バックバンドの中で唯一の白人。この人も余り目立たないが演奏を盛り上げていた）● もう一人のキーボード（彼はピアノ関係のキーのようだった）● ギター（彼はジャズブルーズ系のギタリストで一見エレキの様なギターを使ってかなりアコースティックの音を出していたなかなか渋いギタリスト）といったラインアップでファンキーな演奏を聴かせてくれた。難を言えば、やはり彼はイギリスの国民的アイドルということで、かなりの人数の子供も来ている為に、コンサートの最初から最後までキャーキャーと黄色い声を張り上げるだけで、歌そのものに集中している人が余り多くなかったように思えた。これは折角の良いコンサートも楽しみが半減してしまうが、とにかく彼の人気は凄かった。本当に老若男女全ての年齢層の人たちが来ていて、ロイヤルフェスティバルホールは超満員で大半が白人だったが黒人の観客もちらほらと来ていた。私の隣にもごっつい黒人の男女が４人、そしてその後の列にも2人所狭しと踊り狂っていた。コンサートステージの効果も最初にガーゼのように透き通った布でステージを隠しており、１曲目の途中まで後からのライトでコーラスのシルエットやWillのシルエットを見せながらじらしておいて、カーテンを開けるとステージのバックからの強烈なライトとスモークで憎いオープニングを演出していた。Will Youngの魅力は、やはりその卓越した音感から生み出されるスイングスキャットにあると思う。彼の声は太くはないが、鋼のように力強くとおる声と柔らかく音楽にとけ込む柔軟な声を持っている。そして何よりも、彼のたぐいまれなる作詞／作曲のオリジナリティが彼をここまで引っ張ってきたように思える。Will Youngの「Friday‘s Child」機会があったら是非聴いてみて欲しい一枚である。

  2004年06月01日

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• 連休中日

  今週は31日の月曜日が祭日でイギリスは３連休なのに、先週の仕事がキツかった事もあり昨日は不覚にも昼寝をしてしまい、気がついたら夕方の５時！３連休の一日を無駄にしてしまった！（汗）幸いにも嫁さんもかなり疲れていたらしく、昨日はあまり外には出たくなかったらしい。という訳で気を取り直して、今日はロンドンの中心まで２人でドライブにいった。お昼過ぎに家を出て、本道は混んでいるだろうとの予測のもとに裏道をつたいながら、ブリクストンという悪名高いがエキサイティングな街を通り、ウェストミンスター橋をビッグベンを左に望んで通過するとトラファルガー広場の大きなラウンドアバウトに差し掛かる。今日は天気も陽気も悪くないので、かなりの人が買い物や観光でロンドンに出てきていて、とてもにぎやかである。私たちはいつものように、ピカデリー・サーカスの直ぐ裏にある広場の駐車場に車を駐車しようと行ってみたが、今日は珍しく混んでいて車を止める場所が見つからなかった。私の会社が近くなので、会社の裏にまだ駐車の場所が残っているかもしれないと思いそちらにも行って見たが、こちらも所狭しと車がびっしりと止まっていた。諦めて先ほどの場所に行ってみると、運良くちょうど目の前の車が出る所だったので待たずに駐車ができた。（ラッキー！）車を出た我々は、まず嫁さんが三越の地下にある本屋さんに行きたいというので三越まで行き本屋さんで本を物色！ここでは嫁さんが雑誌を一冊買っただけだったが色々な本をみて結構面白かった。次に嫁さんはジ◯ゾーという服屋さんを見たいのでコベントガーデンにいくことになる。ピカデリーからコベントガーデンまでは、それほどの距離ではないので歩いて行くことにした。途中でレスター・スクエアーという大きな映画館が集まっている広場に差し掛かると、異常に人が集まっていた。ここは繁華街の中心なので大道芸人やら色々なイベントがいつも行われていて人の出は多いのだが、今回は特別に多かった。我々は広場を横切る為に近づいて行ったのだが、近づくに連れ、バリケートが至る所に立てられていて異様な雰囲気と興奮があたりを包んでいた。突然、彼方の方から歓声や黄色い叫び声が聞こえたのでそちらを見ると、ハリー・ポッターの大きな看板の掲げてある劇場の下当たりから聞こえてくるようだったので、多分試写会にハリポタの出演者が来ているらしかった。とてもそこを抜けられそうにないので、横道に入り中華街を通ってコベントガーデンに抜けるようにして歩いて行き、ようやく人混みを抜けることができた。コベント・ガーデンは、現在はデザイナー系の洋服屋さんが軒並みに並んでいて、ロンドンではキングスロードにまさるショッピング街になったが、1980年代の頃は芸術家が数多く住んでいた町で、昔の倉庫を改造した様な町並みだった。それとダンスの教室が多く、私も前の仕事についていた時は、よくコマーシャルで踊れるキャラクターを探しにここに来たものであった。建物自体は、当時のコベント・ガーデンの外見がそのまま残っている所もあるのだが、全体的に歴史の重みは無くなってしまっていた、昔は少々汚いが何かふしぎな魅力のした町並みが、大きなショッピングモールの様な味気ないものに変化して行ったことには少々寂しい気持ちがした。ここでは特に買いたいものもなかったので、歩いてまた来た道を戻って行く途中でレスターに差し掛かったとき、３台の外から見えないようにガラスを黒に塗ったベンツが先ほどのハリポタの劇場の方から出てきて中華街の方に入って行った。私は出てきた方向が車が進入禁止の地区からだったので、その車がハリポタの関係者だと判断した。我々は車が入って行った道を中華街の方に歩いて行ったのだが、ちょうどその時、中華街を一周してきたベンツの一台とすれ違った。別に車を見るでもなく中を見ると、黒いガラスの窓越しに胸から上は見えなかったが、太ったいかにもエクゼクティブといった感じのスーツを着た人間が左手に葉巻を持っている姿が見えた。我々は日本のラーメンと餃子を食べたい！と言う欲求から中華街を反対に抜けたところにある日本食レストランに向かっていたのだが、中華街のまっただ中に日本食のレストランらしきものを見つけ、嫁さんに「日本食らしいよ。ちょっと見てみようか？」と聞くと「そんなん、なんちゃって日本食にきまっているやん！」といって見向きもしない。「そんなこと言わないでメニューだけでも見てみようよ！ほら、ラーメンもあるし！」と言うと嫁さんも少し気持ちが傾いたのか近寄ってきた。私は「ねっ！ラーメンの種類も多そうだし！上からさしみラーメン！ん？さ、刺身ラーメン？？？」我々は直ぐその場を離れて歩き出したのだが、私には今自分で発した言葉が信じられくてその場所を離れた後も何度か頭の中で繰り返していた。さしみラーメン？？？刺身ラーメン？？？やっぱり不可能だ！私はもう一度あの場所に戻り、確かめたい衝動に駆られたのだが、時すでに遅し。この時点ではもうあのレストランからかなり離れていて、目的の日本のラーメン屋さんまでもう少しの所まで歩いてきてしまっていた。私はラーメンと餃子を食べながらもずっと刺身ラーメンが気になっていた。ラーメンの上に刺身が乗っている図が頭から離れない！やはり私の読み違えに違いない。いくらここがイギリスであってもラーメンの上に刺身が乗っているなんてことが許される筈がない、となんとか自分自身を納得させて家路に着いた。今日は少々の悩み事はあったものの、それ以外は有意義な外出であった。ああ、気になる！刺身ラーメン・・・。

  2004年05月31日

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• スポーツマッサージ第2弾！

  さて、２回目のスポーツマッサージに先週行って来た。腰は前回のマッサージでほぼ完全に治っていたのだが、ちょっと仕事で椅子に座り続けていたりすると、まだ腰に鈍い痛みを感じることがあったのと、もう一つは前から約束していた元バンドで一緒だったドラマーのデイヴと、最近時々ジャムをしている日本人のベーシストと３人でジャムをする予定の日が迫っている為に、部屋の片隅に十年以上眠っているギターアンプを持ち出さなくてはならなかったのだが、このアンプは非常に重い！マーシャルアンプのように柄が大きいわけではないのに、多分20～30kgはあると思う。前に知り合いのエンジニアの人に見てもらったところ、アンプ自体の重さよりも元々がアメリカ製のアンプをイギリス仕様にするため、アンプの内側に変圧器を2台取り付けてあるらしく、これが重さの原因になっているらしい。このアンプは私がイギリスに来て直ぐ買ったもので、かれこれ24年もつき合っているいわゆる骨董品に近いアンプなのであるが、スピーカーはエレクトロボイス製で、小さいながらも100Wの出力で、小さなコンサート会場ならばマイクを通さなくても十分の音量が出せる。残念ながらイギリスには、もうこのミュージックマンのアンプを売っている代理店はないので、壊れた場合は知り合いのエンジニアが頼みの綱である。このアンプを最後に使ったのが当時所属していたバンドの最初のコンサート会場だったノーフォークという場所での野外コンサートのステージで使用したのだが、それ以降はバンドの機材を使っていたためにこのアンプを使用する機会はなかった。話はだいぶ反れてしまったが、このアンプを持ってジャムに行くにはもう一回エイドリアンに腰を見てもらった方が良いと判断して先週に予約を入れておいたというわけである。予約の時間には少し早く着いたので待合室で待っていると、前回のようにマッサージ室から出て来ると思っていたら、今回彼は外から入って来た。私を見つけると「早いね！約束の時間まで後5分あるのでもう少し待ってくれないか？」と聞くので「もちろんいいよ」と言うと、受付の女性が「あら、ごめんなさい！この時計は実は私が5分遅らせておいたのよ！なんてこと！私のせいだわ！」と言いながら時計を６時に直した。（ここの受付の人は前にも書いたがとても感じが良く、このように茶目っ気もある）それを見たエイドリアンは言葉に詰まりながらも「オーケー！頼む、５分だけくれ！」といって2階に上がって行き、２分ぐらいで降りて来た。彼は２階に上がりながら私の腰の具合を聞いてきたので、かなり良いのだが長い事椅子に座っていると腰がだるくなることや、長いこと床に座った後、立ち上がる時に腰を庇ってしまうこと等を報告した。そして、今回治療に来たのは重いギターアンプを運ばなくてはならなくなったので、その前に完全に腰を治したかった旨を伝えると、彼は笑いながら「なるほど！ところで久しぶりにジャムをするのは緊張しない？」と聞いてきた。「ジャムをする時は多分興奮はするけれど緊張したことはないよ。多分コンサートの前は緊張すると思うけれど、一旦弾き始めると、緊張よりも楽しみの方が勝ってしまうと思う」と答えた。彼はいつものように服を脱いだ私をベッドにうつ伏せに寝かせ、おもむろにマッサージを始めた。今回はこの前のように背中の筋肉の筋全体ではなく、部分の筋肉のツボを集中的にマッサージをしている。強さも余り強くなく、とてもリラックスできるぐらいの心地よさである。彼はマッサージをしながら先日有名人のサッカーチームの試合があり、ロッド・スチュワートのチームやテレビで有名なソープドラマのチーム等の６人チームの対抗試合があった時にマッサージ師として呼ばれて行ってきたそうであるが、芸能界の有名人の社会を見る機会にはもってこいの場だったと話していた。特に若いロックバンド等は３～４年使い、人気が無くなると使い捨てになる非情な現実を話していた。そんな話をしているうちに、私のマッサージ時間はあっという間に終わってしまった。エイドリアンは「思ったよりもずっと良くなっている！」と言っていたが、私には今回は何か物足りなく、余り効き目があるような感じはしなかった。しかし終わってから外に出て歩いてみると何か違う！今まで何かを庇って歩いていた感覚が見事に消えていた。さすが！今度は近々是非肩の方もやってもらいたいものである。PSその週末のジャムは結局スタジオが取れずにジャムはお流れになってしまったが、お陰で今は腰の調子はすこぶる良い。３人とも暫くはジャムの時間の都合がつかないが、秋口になったらまた計画してみようと思う。

  2004年05月24日

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• マラッカに行った（その4）

  昼食も終わり、レストランの外に出ると、ガイドさんがロビーの片隅で煙草をふかしていたので、我々も煙草を取り出して彼女の方に近寄っていった。彼女はちょうど煙草を吸い終わったところで、近づいてきた我々に気がつき「食事はどうだったですか？」と聞いてきた。我々は口々に「とても美味しかった！非常にたくさんの種類があったので選ぶのに大変だった！」と話すと、彼女は「バッフェは、食べ過ぎてしまうのが難点ですが、これからマラッカの市内を歩いて摂取したカロリーを燃やすので心配はありません。」と冗談をいってバスの方に歩いて行った。一服してからバスのところに行くと既にみんな集まって来ていたので、ガイドさんは人数を数えた後我々を連れて歩き出した。先ず最初に、古い中国のお寺の前でガイドさんの説明が始まった。このお寺は中国の国内を除いては世界で一番古い中国のお寺だそうで、本堂には3体の仏像が真ん中が万能の神（神じゃないな･･･）、向かって左が海と誕生の神、右側は忘れたがそれぞれに役割を持って並んでいた。更に本堂の周りにも学業のご本尊や子供を更生させるご本尊などが並んでいて、その古さもさる事ながら、とても威厳に満ちたお寺だった。ガイドさんは、その後ぐるっとその周辺のお店を回って説明してくれたのだが、その中には大きな木をくり貫いた棺桶を売っているお店があった。ガイドさんはその棺桶はお店で一番高価な棺桶で、大きな樫の木を3本使用してフタ、本体、そして底を作るらしいのだが火葬をする時は燃えるまでにとても時間が掛かるという説明をしていた。それを聞きながら私は、せっかく大金を払って作ってもらっても、その仕様段階において（？）割に合わない高価な棺桶を複雑な気持ちで眺めていた。古い街並みのブロックを一周してバスに戻った我々は、そこから、日本でも歴史の教科書にも出てくる宣教師フランシスコ・ザビエルのお墓があるという丘に登った。この丘は沢木耕太郎原作「深夜特急」のテレビドラマで、大沢氏がマラッカの夕陽を見るために方角を確認するために登った丘である。かなり急な坂と階段を登りながらガイドさんは所々で立ち止まり、この地域が1400年代から1500年代においてオランダに130年間支配されていて、その後はイギリスが引き継いだというマラッカの歴史を説明してくれた。この歴史を聞いて私は、成る程マレーシアやシンガポールにヨーロッパ特にイギリスの香りがした理由が分かった気がした。この丘はマラッカの街を一望に見渡せる程眺めがよく、遠くには、かつて使用されたと思われる黒く大きな帆船が見え、更にその後方には淡い青色のマラッカ海峡が広がっていた。我々は丘を降りたところにあるお土産屋さんを見ながらバスに戻り、一路シンガポールに向けて出発した。ガイドさんは帰り道に、マレーシアの物価はシンガポールの半分なので、マレーシアに住んで仕事はシンガポールに通勤する人たちが多いことや、その為にシンガポールに持ち込む酒・タバコやその他の規制のとても厳しい事等、この土地特有のおもしろい話をしてくれた。残念ながら、この日帰り旅行では帰りの時間も計算に入れなくてはならないので、有名なマラッカのサンセットは見ることは出来なかったが、とても充実した日帰り旅行を楽しませて貰った。私はこの旅行で始めてマレーシアの名前の由来を知った。この土地に山が多く、ヒマラヤに似ている事と場所がアジアである為にヒマラヤとアジアの2つの言葉が合併してマレーシアという名前になったのだという。今度来る時はマレーシアの他の土地も是非行ってみたいものである。終

  2004年05月08日

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• マラッカに行った（その3）

  何回か寝ては覚めを繰り返しているうちに気がつくと、バスは高速を離れ一般公道を走っていた。そこは高速道路に入る前の、ゴミゴミしたマレーシアの街並みの雰囲気とはまた一つ違った景色が流れていた。時々非常に大きな寺院が現れ消えて行ったり、アミューズメント･パークの前を通り過ぎたりしている内にガイドさんのアナウンスが始まった。「我々はマラッカに入りました。これから市内で昼食を取りそれから歩いて古いマラッカを探索します！」昼食？朝から何も食べていなかった我々は（というか私は）俄然、色めき立つ。バスはマラッカの市内に入り、狭いが、歴史溢れる中国系の建物が立ち並ぶ街並みを蛇行していった。前にも書いたと思うが、アジアの古い文化を見るのは実質初めてである。眼の前に広がる中国の古い建物は、歴史の映画の中から飛び出てきたような錯覚に陥るほど荘厳としていた。バスは狭い道路を蛇行しながら（本当に観光バスの運転手さんは運転がうまい！）小さな市場が軒並みに並んでいる広場に出ると、その広場の横にある３０階程の高級そうなホテルの前で止まった。ここでガイドさんが立ち上がり、「皆さん、我々はこのホテルで一時間の昼食をとり、その後でマラッカの街を歩いて探索します。」と伝えた。我々はバスを降りてホテルの中に入ると外見のモダンな作りとはうって変わり、中はシックな木のパネルで覆われたロビーになっており、入って右手の方には木の手すりのついた階段が左右から緩やかなカーブを描いて2階に伸びていた。我々はガイドさんに導かれ、入って左側のレストランに入っていくと、ガイドさんが手早く人数を割り当てそれぞれのテーブルに座らせた後、この昼食はバッフェ形式なので好きなものを好きなだけ食べてください、但しアルコール類はご自分でお金を出して買っていただくことになると付け加えた。私は、はやる心を抑えて「先ず荷物を見張っているから！」と言って嫁さんを先に取りに行かせると、同じ席についていた70歳半ばぐらいの小柄なおばあさんが、お皿に山盛りにいろいろなものを乗せてテーブルに帰ってきた。私は正直その皿を見て「本当にこのおばあさん、あれを全部食べられるのか？」と要らぬ心配をしていると、もう一人の太った大柄のおばさんがソレにも増して毀れんばかりに食べ物を皿にもって戻ってきた。（こちらのほうは体格からすると説得力がある）その後、嫁さんが戻ってきたのだが、余り食欲がないのかお粥とオカズを少々持ってきただけだったので、体調が優れないのかときいてみたが、特に調子が悪いようでも無さそうだった。さていざ私の番である！この時に私の頭にはダイエットなどという文字は微塵もなく（笑）、先ず皿を取ると、・白いごはんを乗せ・次にマレー風焼そば･･･これは細めの丸うどんを野菜とスライスしたフィッシュケーキと一緒に炒めて、仕上げに少々辛口のおたふくソース的なソースで味付けしたもの（ピリ辛で微妙にうまい）・次にとろとろに煮込んだ骨付きの鶏肉のマレー風カレー（さっぱりした辛さと微妙な甘みがうまい）・マトンカレー（これははっきり言って鶏肉の勝利）・野菜の春巻き・もやしと他の野菜炒め・マレー中華風厚揚げの煮込み（しっかり味がついている）・かに風味のフィシュケーキ他にもいくつかあったのだが思い出せない！いくら少量ずつ取ったところで絶対に皿にはのらないほどの品揃いである。このほかにもマレー風ラクサ：うどん風の麺をお湯で湯がいて野菜を入れカレースープをかけるらしいが、私はこれを食べる前にダウン（笑）。嫁さんも気がついたのが食べた後だったので悔しがっていた。このほかにプレーンのお粥と魚のお粥、これの薬味の種類が10種類ほどこの中には干したアンチョビや納豆のような味のする黒い塩豆（もちろん粘っていない）そして5種類ほどの誰も見向きもしなかったサラダ類が本流で、デザートは10種類ほどの鮮やかな原色のケーキやパイ、マンゴーのプリン、ワイングラスに入っているフルーツゼリーそしてコーヒー、紅茶が取り放題のバッフェであった。（ふう！）続く

  2004年04月29日

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• マラッカに行った（その2）

  嫁さんと外に止まる観光バスを見ながら、アレかな？でもみんな同じデザインなのできっとここで待っている人はみんな同じ会社のツアーに行くのかな？等と他愛のない話をしていると、突然嫁さんが「実は私がこの間行ったツアーは、今朝のような10人乗りぐらいのミニバスで参加者は嫁さんと嫁さんの会社の人と二人だけだった」等とんでもない事を言い出した。私はそれでも「そ、そんなことないよ(-_-;)、同じステッカーをつけている人があそこにも2人いるし、もっと他にもいるんじゃないか？」とは言ってみたものの私にはその根拠は全然なかった。突然館内に響くような大きな声で『･･････マラッカ！』という声が聞こえた。（点のところは何を言っているのか分からなかった。(-_-;)とにかく我々を呼んでいるのでそちらの方に立って歩き出すと、周りにいた何人かも一緒にゾロゾロついて来るではないか！私は「やった～！コレだけの人数がいてミニバスと言うことはないだろう」と密かに喜びながら係員について行くと、外には立派な観光バスが待っていた。我々はバスに乗り込むと、ちょうど中間の位置の座席に陣取り、後から乗り込んで来る人たちを待ったのだが、結局、約50人乗りのバスに乗り込んだのは十数人程度だった。バスは我々を乗せて朝靄が立ち込めている、洗練されたシンガポールのビル街を駆け抜けていく。ここで一つの問題が発覚。外の温度は既に上がっているのだが、バスの中は冷房がきき過ぎていてTシャツ一枚ではとても寒すぎるのだった。更に悪い事にはこの冷房が噴出している頭上の通風孔に付いているスイッチが壊れていて、オフにしても流れてくる冷気は一向に止まらないのだ。周りを見ると、他の観光客も頭上に手を延ばしてスイッチをカチッカチッ動かしていたのだが、やはり何回か試みた後に諦めたようである。我々は嫁さんがシンガポールで建物及び交通機関内の冷房の効き過ぎを何度も経験していて、今回の旅行の時も絶対薄手の上着を持ってくる様に言ってくれたので非常に助かった。バスはしばらくしてマレーシアとの国境に差し掛かると、先ずシンガポールの出国検査がある為に全員バスを降りてエスカレーターで上階に上り、そこでシンガポールに入国した時のカードを取られパスポートにスタンプを押される。これでシンガポールの出国は終了！いつも思うが国を出るのは簡単なものである。この後またエスカレーターで降りると、そこに先ほどのバスが既に出国の手続きを終えて我々を待っていた。全員無事に乗り込んで数百メートル走ると、今度はマレーシアの入国手続きである。前もってバス内で渡された2枚の出入国のカードのうち、大きい方がマレーシアのもので、小さい方がシンガポールに帰って来たときに提出するものだということで、前もってバスの中で記入を終えていたのだが、この両国の入国カードは、他の国のカードと比較して記入事項がかなり多かった。ここで再びバスを降り、比較的、庶民的な入国審査の建物に入り入国審査を受けた後バスに乗り込んだのだが、ここで我々に連れができた。一人はマレーシアのガイドさん。そしてマレーシア側でのツアーの参加者一家。バスが出発するとガイドさんがいきなりジェントルマン・アンド・レディースと未だに男尊女卑のお国柄を交えたおしゃべりから始め、自己紹介をしながらシンガポールとマレーシアの通貨の比較及び物価の比較（マレーシアの物価はシンガポールの半分）などなど面白おかしく説明してくれた。私が最初にマレーシアの街に入った感想は、むき出しの人間の生活という感じであった。確かにシンガポールはマレーシアと比較するととても洗練されていて非の打ち所がない感じだが、マレーシアには嫁さんの言葉を借りると貧しいがゆえに生活感が溢れていた。道の両側に並ぶ店の看板も建物も古ぼけていて、ちょうど私が幼少の頃に見た日本の風景に近い懐かしさを思い起こされた。バスはしばらく街の中を走りマラッカに通じる高速に出たのだが、この高速の両側は太いヤシの木が遠縁に広がっていた。もう、これはヤシの木のジャングルである。ガイドさんの説明に寄ると、マレーシアはもともとゴムの木の栽培で有名だったのだが、近年の需要に伴い、やしの木から取れるオイルが主流を成してきて、現在は国全体がヤシの木の栽培に力を注いでいるという事を話してくれた。それにしても延々と続くヤシの木のジャングルは圧巻で、途中我々夫婦は朝早かったことも手伝い（特に嫁さんは仕事疲れのため）走るバスの中でマラッカに着くまで何時間か眠ってしまったのだが、途中何回か目が覚めた私の目の前には、相変わらずヤシの木のジャングルが広がっていたのには驚きであった。続く

  2004年04月28日

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• マラッカに行った（その１）

  さて、土曜日にシンガポールに着いたばかりの私は、今日（日曜日）は嫁さんと一緒にマレーシアのマラッカ小旅行に出かけた。まだ時差ぼけが激しい私、前夜嫁さんといろいろな事を話している間に時計が１時半を回っているにもかかわらず、３時に目が覚めてしまった。(-_-;)40－50分程パソコンやテレビを見ていたのだがやはり寝たほうが良いと思ってベッドに横になるが、飛行機の中でよく寝ることができたことも手伝ってか、なかなか眠りに着く事ができなかった。朝、嫁さんが仕掛けた時計のアラームが鳴って目が覚めたのだが（嫁さんは既に起きていたようで慌ててアラームを止めに部屋に入ってきたのは覚えている）私はまた深い眠りに入ってしまった。（笑）次に嫁さんに起こされて目が覚めたときは、嫁さんはもう準備が出来ていたので私も起きて準備を始める。用意ができ、バスが迎えに来る時間が近くなったので、一階のロビーに降りて待っていると10人乗り位のミニバスが我々を迎えに来た。今回の小旅行はシンガポールから片道約4時間の距離を往復する為に、大きな観光バスの中でゆっくりと寝られることを密かに楽しみにしていたのだが、このミニバスでの旅行となると予定が大幅に違ってしまう等と考えているうちに、ミニバスは街の中心街らしきところを走り抜けて行く。とても奇麗で洗練されたその風景をまだ眠た眼の私はぼんやりと見ていたのだが、その時横に座っていた嫁さんが突然肘で軽く私を突き『マーライオンよ！』と小声で囁いた。そちらの方を見ると真っ白なライオンの後頭部が海に向かっている姿が見えた。その後すぐミニバスは、あるショッピング街の一角に止まり、そこで一旦外に出るように指示される。そこで係員にツアーの確認を済ませた後、ツアーのステッカーをもらい、建物の中にある待合の長いすで呼ばれるまで待っているようにと指示をされた。そこで待っている人たちはそれぞれ違ったツアーに応募している人達らしく、皆同じステッカーの色違いを胸につけていたので、我々夫婦も他のツアーに間違われないようにもらったステッカーを付けた。嫁さんによるとこういうステッカーは目立つところに貼るものだ！というので、胸につけて見たのだがナンかおのぼりさん満点で見栄えが良くないな、と思いつつ嫁さんを見るとしっかり腰の辺にかっこよくつけているので、私も腰にステッカーを移動した。間もなくツアーの係員が来て何かを叫んでいるのだが、彼の声がビルの中に反響するのとシンガポール独特の発音も手伝って聞き取りにくい。そうしているうちにゾロゾロ人が集まっていった。私もつられて立ち上がろうとしたのだが、嫁さんは横でコレは違うツアーよというので何で分かるの?と聞き返すと長年の勘で分かるという。その時に何人か係員の呼び声につられて違うツアーの人も集まって行ったらしいのだが、係員はその人達の胸につけているステッカーを確認してから、あなたたちはまだなので待っているように指示していた。ソレを見た我々夫婦は、先ほど腰のところにはったステッカーを剥がして胸の一番見える位置につけかえた。続く

  2004年04月26日

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• 到着しました～！

  さて、シンガポールの空港に着いて荷物の受け取りロビーに行くと、ガラス越しに懐かしい嫁さんの姿があった。（私はどちらかと言うと遠視なのでよく見える）嫁さんは近眼ぎみなので、私がロビーの半分のところまで歩いていくと、気がついて手を振ってくれた。ガラス越しに久しぶりに見る嫁さんは少し痩せたが元気そうだった。荷物を受け取って外に出ると久しぶりのぐわしっ、久しぶりの再会は感激だった。嫁さんも目に涙を浮かべていた。本当に1ヶ月は長かったが、こうして会ってみると昨日も会っていたような錯覚に陥るのは不思議なものである。二人で一旦空港の外で煙草を吸いながら話をしていても、1ヶ月以上会っていなかったなんてとても思えないぐらいだった。空港の外の風景はトロピカッていた。太いヤシの木が至るところにぼんぼん生えていて「ヤシの木空港」と言っても通じる！そして気候はと言うと、特に今の時期は空気が乾燥しているイギリスから直接飛んできた私には、空気に水分を感じるほどの湿気があった。ただ暑さという点ではじっとりと汗はかくが、全然不快ではなくむしろ肌に良さそうな湿気のような気がした。心配していたマダムヤンのような髪型（彼女はこちらの美容院で髪を切って、マダムヤンになったと言っていた）は面影もなく、元気な嫁さんと空港からタクシーでアパートに着く。その大きさに圧倒される時間もないまま、川辺のショッピング街に行きサンダルと靴そしてポロシャツを買い（安い！）川縁のカフェでコーヒーを飲みながら嫁さんから今までの仕事の経過を話したり、この国の事に話が弾む。私がこの国に来ての第一印象は、国全体が非常にイギリスの影響を受けているのにびっくりしたことだ。アパートの家具やキッチン用品、至るところにイギリスの香りがする。明日はいよいよ前もって計画していた、あの深夜特急にも登場していたマラッカの観光である。（楽しみ！）なんかこの一週間は、カルチャーショックの応酬になりそうな予感がする。

  2004年04月25日

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• 明日出発します。

  このところ、嫁さんに会いにアジアに行く準備もあり、なかなか日記を書く時間もままならないまま、もう出発の日が明日になってしまった。（汗）いつもなら嫁さんがいるので余り心配はしていないのだが、今回は久しぶりの一人旅のため、忘れ物がないかが心配である。まあ切符とパスポートがあれば、とりあえず旅立てる。明日は一日会社で仕事をしてからの出発なので、スーツケースを会社にもっていく為に少し家を早めにでる事にする。仕事が終わってからスーツを着替えて会社をでるのだが、元来スーツ嫌いの私には旅行の事もあり、スーツを脱ぎ捨てる（本当に捨てる訳ではないが）時間が待ち遠しい。それでは皆さん、これから最後の持ち物点検に入りますのでこれで失礼します。後は嫁さんのパソコンを使える時間の都合がついたら（これはなかなか難しい）連絡します。でなかったら一週間後に！とっち

  2004年04月23日

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• カモネギにたなぼた

  しばらく日記を書かなかった間に、とんでもない事が起きた。嫁さんが出張している間、出張先の彼女の会社で大改革が起こり、嫁さんが頭を抱えて悩んでいた張本人を会社が辞めさせる事になった。それもたったの一日で！詳しい事はここでは時間もないので省略するが、嫁さんが出張しているアジアの会社では、あまりに会社の組織がずさんで、せっかく雇った人たちが次々とやめてしまうために、会社を維持して行く力がどんどん落ちて行った。嫁さんは、以前からその問題の人（マギーとしておこう）とは各国の支部の代表者が集まる全体会議などでは結構仲良くしていたし、今回も彼女から、アジア支社の建て直しのために力を貸してほしいという依頼が来て、1ヶ月もロンドンから出張していたのだ。しかし、今回、嫁さんが出張して初めて、そのアジア支社での問題の根っこがマギーだったとわかり、嫁さんはかなり悩んだ。その張本人は日々の仕事ではかなりの頑固者で聞く耳を持たなかったらしい。それでも嫁さんはなんとか、わからず屋のマギーを説得しながら、会社を軌道に乗せようと歯を食いしばって黙々と仕事をかたづけて行ったのだが、出張してから２～３週間経ったある朝、もうこの会社の改革は到底無理だとさすがの嫁さんも諦めかけていたらしい。しかし、そんな嫁さんに、マギーから自分の考えが正しくて嫁さんのやっていることはよけいなことと、と暗示するようなメールが届いた時に嫁さんは切れた。嫁さんはマギーに、自分が手伝っていることがいかに会社の建て直しのために必要かということ、このために嫁さんは自分の生活を犠牲にして長期の出張にきていることを諄々と説明して彼女に返信すると、それを読んで逆ギレしたマギーはこのメールを社長以下それぞれの幹部に転送したらしい。それを読んだ社長以下幹部の面々は、前から会社の色々な部署で摩擦を起こしていたマギーに見切りをつけ、なんと翌朝マギーに引導を渡し、マギーは即日荷物をたたんで退職となったらしい。嫁さんもいきなりこんな急展開になったとは知らずに会社に出勤し、出張先の社長から直々に今迄のお詫びとお礼を言われ、面食らったと言っていた。だいたいの話はこんな具合だったのだが、これにはさらに尾ひれがついた。出張先の会社は、嫁さんと嫁さんの会社（ロンドン）に頼み込んで、嫁さんの出張を後２週間延ばしてもらう代わりに、私を出張先のアジアまで呼ぶ費用を会社で持つという約束をしたらしい、それもビジネスクラスで！これは私にとっては『ネギを背負って私の前を歩いていた鴨に、棚からぼたもちが落ちて当たった』ようなものだ。私はあわてて会社に休暇願いを出し、自分のロンドン＝アジアの切符を発券を同僚に頼んだ。会社の方もこうなると、ビジネスクラスのお客様である私からの休暇願の届けを受けない訳にはいかない。（笑）私は自慢ではないが、某日系エアラインのお情けで、一回だけロンドン＝東京間のビジネスクラスにのった事はあるが、その時は座席だけがビジネスで食事はエコノミーだった。（笑）従って今回は、初めてのまっとうなビジネスクラス体験となる。一ヶ月ぶりに嫁さんに会えるだけではなく、この嫁さんの会社の、私に対する対応に面食らっているところだ。もちろん、嫁さんに感謝するとともに、今、私に降ってわいたこの幸運をなんて言ってよいものか？とにかく吃驚している。

  2004年04月18日

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• スポーツ・マッサ－ジ！

  先週は私が腰の調子を悪くしてから、約３週間も経つのに一向に良くならなかった。以前、私のマネージャーが腕が上がらなくなった時にスポーツ・マッサージというものに何回か通って直したことがあり、腰の治療にもいいかと色々と彼から情報を聞き出したところ、彼の言葉の中で私がこれに決めてみようと決定した一言があった。それは『もの凄く痛かった！』である。良薬口に苦しという言葉もあるように、どうせやるなら強烈な一回で治したいという私の要望にこのスポーツ・マッサージはぴったり当てはまった。前にも書いたが、このマッサージ師のエイドリアンという人はとても人気があり（この「忙しい人」というのも決定した理由である）前回は彼が治療の仕事に部屋を借りているスポーツクラブに話を聞きに行った時も、アポイントなしでは会うことはできなかった。その時に貰った彼の携帯にメッセージを残しても返事が無かった為に、とりあえず一回だけでも治療を受けてみることにして、空いていた翌週の昼の12時からの治療を予約した。上司のKさんに頼んでその日はお昼時間を15分早く取らせて貰い、12時少し前にスポーツクラブに着き、受付でエイドリアンに予約を取っている旨を伝えると、待ち合いロビーのソファーで待つように指示された。数分後、白衣を着た背の高い男性が、お客らしき人と２階から下りてきて受付の前で握手を交わした。そのお客らしき人の顔には、白衣を着た人に対する感謝の笑みで一杯でその握手の仕方には、非常に力がこもっていた。『これはいける！』私はその一瞬で、彼の力を理解した様な気がした。彼は客を送り出した後に周りを見渡し、私と目が合うと体の前で手を叩き『レッツ・ゴー』と二階に誘った。二階に階段で上がる間に、私は今回治療にかかるのが初めてのこと、そしてこの12ヶ月の間に４回腰を痛めたことなどを手短に話した。我々は部屋に入るとエイドリアンはドアに鍵をかけ、『これで君は、もう逃げられないよ！』と私に言いにやっと笑った。もちろん冗談だが、一瞬『痛い！』という上司の言葉が頭に浮かび、私が返答に詰まったのを彼は察したようだった。彼は『虐待の話を聞いたようだね？』といって彼は私のマネージャーに彼の肩の問題は一時的なもので、２年もすれば自然に治ると教えてあげたのに、どうしても治してくれと言ってきかなかったので治療をしたのだが、最初に『とても痛い治療だ！』と断ってから始めたんだと言っていた。最初に服を脱いで、007が映画でマッサージを受ける時に使っていた様なベッドの上に、うつ伏せに寝るように指示される。私は、最初からパンツ1枚になることなど予想もしていなかったので、少々躊躇したが、時間もないので服を脱いでベッドの上にうつ伏せになった。彼は最初、腰の周りを押して足の方にしびれや痛みが感じるかを聞いた。私が感じないと答えると、これは腰だけの問題だけなのでマッサージだけで何とかなるよ、と言いながら両手にオイルをつけて腰の両側の筋にそって揉み始めた。彼は揉みながら、ロンドンは好きか？と聞いてきた。最初からこんなことをいきなり聞かれて意外だったが、頭に浮かんだ通り、素直に『うん。好きだよ』と答えると、彼は『ロンドナーという言葉を聞いたことがあるだろう？あれはロンドンで生まれた人をいうんじゃなくて、外国で生まれてもロンドンの雰囲気を持った人をいうんだ！』と教えてくれた。今年で24年も音楽をする為にロンドンに住んでいると答えると、彼はディズニーの映画の曲を録音する為に今度スタジオに入るのだと言う。彼はクラッシックの訓練をうけたオペラシンガーであること、そしてロックオペラをやってみたいということなどを話してくれた。私は心地よいマッサージを受けながら、これだからロンドンは面白いと思う。こんなところでエイドリアンのように音楽を目指している人に会える、ということは考えていなかっただけに、不思議な出会いがロンドンにはあるなあと思った。マッサージも終盤になった頃、彼はだんだん力を入れてくるようになり、彼は『これからは力が入るので少々痛いが、罵倒しても怒鳴っても良いからな』というと肘で筋にそって揉み始めた。いっ･･･痛いぞ～あ～うっ！などと心では叫んでいたが、何しろイギリス人のように罵倒するのに慣れていない私は、う～っとかはっとか言葉にならない音を発しただけで終わってしまった。治療も終わり、彼にお礼を言って外に出た私は、外はミゾレが降っていたにもかかわらず、軽やかな足取りになって会社に戻って行った。ここへ来る時は腰がズレていた感じがしていたのに、帰りは腰がしっかり上半身の体重を支えている実感が頼もしかった。------------今朝、出張先の嫁さんと電話で話したが。かなり元気になっていた。相変わらず仕事の疲れは残っているようだったのだが、ロンドンの右腕の彼女がやめるということに関しては嫁さんの心の中では踏ん切りが付いたようである。後は何とか一週間がんばって乗り越えて欲しい。

  2004年04月10日

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• 苦難

  ロンドンは明日からイースターの休日になり、月曜日迄お休みである。その代わりと言ってはなんだが、仕事の方は連休前なのでメッチャクチャ忙しかった。加えて今日は出張先の嫁さんから連絡が入り、嫁さんのロンドンオフィスで仲の良い,そして嫁さんの右腕でもある人がやめるらしいということを聞いた。彼女は、嫁さんの会社に入ってきたときから、嫁さんが目をつけてかわいがってきた人だけにショックも相当なものだと思う。彼女がやめる理由はもちろん嫁さんではない。２～３年ほど前に嫁さんの会社が、他の会社と合併した時に、それ迄いたマネージャーが突然やめたので、会社の方で決めたマネージャーがとても食えない人間だった。彼が入社した当時、嫁さんのセクションの人たちは全員彼のやり方とその横柄な態度を嫌って、直ぐ２～３人が辞表を出したことを聞いただけでもお解りになるだろう。嫁さんも彼には最初はかなり泣かされたらしいのだが、今は彼も嫁さんがいないと仕事にならないのを知っている為に、嫁さんの言うことだけは聞くらしい。嫁さんの右腕の彼女は、最初からこのマネージャーと特に馬が合わなかった。最近嫁さんがマネージャーに昇進し、状況が一時緩和されたかに見えたのだが、嫁さんが出張に行っている間にこの右腕の彼女に退職を決意させる何かが起きたようである。当然原因はこの彼にあるのだろうが、今、地球の反対側に出張に行って現地の会社の立て直しに全力を注いでいる嫁さんにとって、この事件はまさに寝耳に水である。嫁さんの今の状況を考えると、私も今迄の経過を見てきただけに非常に辛い。是非なんとかこの苦難を乗り越えて欲しい、と願うのみである。

  2004年04月09日

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• 朝の訪問者

  この日記は土曜日に書いたのですがアップするのが一日遅れてしまいました。今朝8：30頃、誰かが我が家のフラットのドアをノックする音で目が覚めた。昨夜は金曜日の夜なので、明け方の４時頃まで夜更かしをして、今日はゆっくり寝坊ができると思っていたのにとんだ見当違いである。しばらくするとまた遠慮がちなノックの音が聞こえる（遠慮がちだがかなりしつこい）。私は急に誰なのか気になって、静かにベッドルームを抜け出しドアの所に歩み寄り、覗き穴からドアの外を見てみた。そこにいたのは中年の女性で、イギリスでは外回りの公務員が良く着ている黄色の蛍光塗料が付いている（暗がりでも目立つように作られた）大きめの上着を着ていた。この辺りではよく市役所の職員がアンケートを取りにくるので、彼女もそのたぐいに違いないと考え、私は居留守を決め込むことにしてまたベッドルームの方に足音を立てずに戻ろうとしたその時、覗き窓の下にある郵便受けが開いたので私は慌ててドアの横に隠れた。すると、郵便受けから数通の郵便が押し込まれたのである。やられた！彼女は郵便屋さんだったのだ！すると彼女が部屋ノドアをノックをしていた訳は？・・・・もちろん小包か何かの配達の為にのサインが欲しかったからである。ああぁぁぁ！郵便をチェックすると不在届けのはがきが入っていた。さらにはがきをチェックすると『今日荷物を取りにくる人は、少なくとも３時間後の猶予を持って所定の場所に身分証明をするものを２つ持っておいで下さい。』さらにはがきを読むと、受け取り場所のしまる時間は13時である！ということは、今また寝てしまったら寝過ごすことも考えられるし、月曜日の朝には取りに行けるが、そんなものを持って会社には行きたくないし、ということで受け取りに行ける時間まで起きていることにした。(-_-;)あの時、面倒くさがらずに応対していれば、こんなことにはならなかったのに！と反省した土曜日の朝であった。（泣）－－－－－－－今日は久しぶりに出張に行っている嫁さんと、朝一時間ほど電話で話をした。会社ので起こった事や出張先の食べ物の話、そしてこちらの会社や家の事など色々話は尽きなかった。元気ではあるが仕事の方はまだまだ問題があり大変なようだった。話の中で、嫁さんから昨日の日記『とても良く効く薬！』の文章の中で私が言おうとしていることが今ひとつ良くわからなかったと言われた。彼女の言うには、文章のなかの若いグループの描写がちゃんと書けていなかったので、その後に起こったグループの一人が座席に押さえつけられた事件迄のつながりが、よく解らないといっていた。なるほど読み返してみると、混雑していた車内を『エクスキューズ・ミー！』も言わずに、車内の通路に立っている人たちを突き飛ばしながら歩いて行った彼らの様子も書いていなかったし、眉をひそめている人には『何か文句があるのか！』と言わんばかりに、その人の顔に自分の顔を近づけていったくだりをちゃんと書くべきだった！と描写が足りなかった事をちょっと反省した。

  2004年04月04日

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• とても良く効く薬！

  今日の天気は下り坂になるという天気予報に反して（ここの天気予報はよくハズれる）とてもよい天気だった。やはり温暖化の影響なのだろうか？イギリスではこんなに早く暖かくなることはあまりなかったように思う。４月の半ばには、撮影の仕事で高速道路を走っている時に雪が降ったことさえあるぐらいである。気温は正確には分からないが、とにかく春らしく温かな陽気だった。この時期になると公園の水仙が一斉に花開き、黄色や白の色彩が春の到来をいっそう際立たせてくれる。金曜日は仕事がとても忙しいのに加え、通常３人の内の一人であるマネジャーが一時帰国の為に半日で帰ってしまったので、午後は仕事ができて熱心な上司のKさんと二人で忙しい時間を過ごした。仕事が終わって近くの日本食でそばをしこたま買い、重いショッピングバッグを抱えてバスに乗りビクトリアの駅に着いた。ここまで来ると家までもうすぐである。私は列車の時刻表で、急行のブライトンエクスプレスがあるのを確認すると列車の方に歩いて行った。まだ出発時間までは20分ほどあったが、この列車と言うか電車はこの路線を走る中で一番新しいので、他のアンティーク列車と比べて格段に乗り心地が良い。時々は、列車を一本遅らせてでもこの電車に乗るようにしているぐらいだ。私は電車に乗り込んで窓際に座ると、ウォークマンを出し音楽を聴きながら出発時間が来るのを待つ。時間が近くになるにつれて車内がだんだん混んできた。通路にも人が立つぐらいに混みだした頃、鉄道員の笛が鋭く鳴り響き、ドアの警報がピッピッピッピとなりながら閉まり、電車は滑るようにプラットホームを出て夕焼けで真っ赤に染まった街の中を走り出した。先週、夏時間で一時間早くなったこともあり、外はまだまだ明るいので何となく外を見ていても楽しくなる。加えて今日は金曜日！週末にゆっくり休めるという安堵感も手伝って私はウトウトとしかけたのだが、その時、車両の後の方から５－６人の若い黒人のお兄さんたちが、車両の中に立っている人たちをかき分けて前の方に歩いて行くのが見えた。折しも電車は次の駅に止まり、外から乗り込んできた乗客で車両の入り口は大変混雑していたのだが、この連中はそれにもお構いなしでどんどん先に歩いて行ってしまった。私はこの連中の目つきと態度がとても気になったのだが、もう彼らは既に見えなくなっていたのでまた浅い眠りに入った。私は次の駅で降りるのだが、この間は15分ほどある為に会社帰りはいつも眠くなるのだ。そうしている内に電車は私が降りる駅に着いたので、隣にすわっている若い男性に『エクスキューズミー！』と言い通路を開けてもらい電車を降りた。この駅の出口は、電車の進行方向に向かって前の方にあるので歩き出したのだが、プラットホームのとある場所では人がとても混雑していてなかなか先に進めなかった。通常ならもう乗客が列車に乗り込んでいてドアが閉まり、発車するはずなのだが一向にその気配がないので、おかしいと思い、回りの人を見るとみんな電車の車内の方を見ている。つられて車内を見ると、中で大柄のイギリス人が先ほどの若い黒人の一人を座席に押さえつけているのが見えた。私は単なる乗客同士のけんかだと思い、早く家に帰りたかったこともあり、人混みをかき分けて入り口に向かう坂を上って行った。私は、坂を上りきった所にある改札ではなくプラットホームの一番端の改札から出ようと思い、メインの改札の前を通り過ぎ、まっすぐ歩いて先ほど着いたプラットホームのとなりのプラットホームに出る坂の前を通りかかった時、坂の下の方から2人のおまわりさんがこちらに走ってくるのが見えた。2人とも必死で走ってくるので何気なく見ていると、彼らは私の横を走り抜け先ほどの電車が止まっているプラットホームの方に向かって走って行ったのである。さらにその後にはジョギングスーツに身を固めた大柄の男性が2人、必死の形相で走り抜けて行った。私はそれが覆面の刑事だと気がつき、いったい何事が起こったのか知りたかったが、早く家に帰りたかったので、そのまままっすぐ歩き改札を出て駅を後にすると、パトカーのサイレンの音が近づいてきた。私はもう一度駅を振り返ってみると、既にパトカーが４－５台駅の前に横付けに止まり、ポリスが構内になだれ込んで行った。通常、この駅の前は路面電車の駅になっている為に、車両の進入は禁止なのだが彼らはそんなことはおかまいなしである。私は映画の１シーンさながらのこの光景を見ながら、先ほどの列車の中の光景と照らし合わせて考えてみた。どう考えてみても、あの若い兄ちゃんたちが今はやりの国際爆弾テロ犯人とは考えられない。多分せいぜいいって彼らは、８０年代から９０年代にイギリスではやった鉄道通勤客を狙った強盗を試みた、ぐらいにしか考えられない。彼らは多分、たまたま車両内にいた国際爆弾テロで敏感になっているアンダーカバーのポリスを刺激したぐらいのことだったのだろう。まあこのような経験は、彼らにとって効きすぎるぐらいのいい薬だと思いながら家路を急いだ。

  2004年04月03日

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• お気に入りのサンドイッチバー！

  この日記の場所をお借りして一言お詫びを申し上げます。前にも書いたのですが、私は物を書くのが苦手なのでちょっとした文章でも書くのにとても時間がかかってしまいます。今は限られた時間の中で日記を書くことが精一杯で、訪問して頂いた方のページにまで行く時間が取れないことをお詫びします。今日のロンドンは昨日よりも暖かくて、とても過ごしやすい日だった。というのはお昼の時間に外に出たときで、会社の中はこれでもかと暖房が効いているので中に居る者には暑くてたまらなかった加えて今日は仕事が多かった。（汗）いつも私がお昼にサンドイッチを買いに行くお店は、とても陽気な男性が4人カウンターの後に居て、レジの所には中年のパキパキとした感じの良い女性が代金を受けとる仕組みになっている。お昼時などはとても混んでいて、小さなお店の中はお昼を買いにくる人で身動きが取れないほどである。当然、従業員の人たちは汗だくになって働いている。この様子は見ていて気持が良い。サンドイッチの具を温めている間もすぐ次の人に声をかけてオーダーを取る！まさに小気味の良いお店であり、プロ意識が溢れている。私は実はここのサンドイッチにはまっている。（はまりやすい性格！）ここのサンドイッチの具は、他の店のサンドイッチとはちょっと違うのだ。イタリア系のモッツァレラチーズとサンドライトマトを挟んだものから、チキンとスプリングオニオン（長ネギの小さい物）をマヨネーズ和え、チキンとハムとマッシュルームのマヨネーズ和え、通常のツナ、ゆで卵、ハム類もある、私が最初にはまったサンドイッチは、前にも書いたことがあるが、チキンカツのフライをチンしてレタス、キュウリ、トマトと一緒にパンに挟んだもの。これはボリュームがあり、これを食べると夜になってもなかなかお腹が空かない。もう一つは魚の白身の天ぷらをチンしてレタス、キュウリ、トマトと挟んだもの･･･これにはタルタルソースが付く。この他にもカニと白菜のマヨネース和えや、クラブスティックと白菜を和えたものも。昼時に行くと忙しいのだが、朝、会社が始まる前に行くと割と暇にしているので彼らに声をかけられる。こんにちは～！元気ですか～？サンドイッチを作る時には塩？コショウ？と日本語で聞いてくる。今朝も会社が始まる前に行ったのだが、こんにちは～！（朝なのに！）と一人が挨拶をしてサンドイッチを作っている時に『ワタシ、オキナワニイタ！』と一人が日本語で言うと、もう一人も『ワタシモオキナワニ2ネンイタ！』と日本語で言う。道理で片言だが日本語を知っているはずだと思い、英語で『なんで沖縄に行ったの？』と聞くとその一人が『アーミーで行った！』とこれまた日本語で返して来た。彼はさらに今度は英語で『米兵を撃ちに行った！』と冗談を続けて言ってからとても陽気に笑った。わたしはさらに英語で『沖縄は気候が良いからね～！と言うと彼は満足そうに微笑み返した。私は『サヨナラ～！』という声をバックにサンドイッチを手にして店を出て会社に向かう途中で、なるほど彼らのきびきびした動きは軍隊での訓練の賜物だったのかと思った。さわやかで気分の良い始まりだった。

  2004年04月01日

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• 日々此れギャンブル！

  今日のロンドンはとても良い陽気で、いかにも春先という感じだった。暑がりのイギリス人は早々と半袖のTシャツで町を歩いているが、もし天気が悪くなり、冬に舞い戻ったら彼らはどうするのだろう？といらぬ考えを起こしながら、ピカデリー界隈を歩いていた。私が目指しているのは、会社の人が紹介してくれたスポーツクラブで、そこにとても良いスポーツマッサージ師がいるということを聞き、この12ヶ月で4回も腰を悪くした経験をした私はとにかく話だけでも聞いてみようと昼休みを利用して行ってみた。そのクラブはリージェントというロンドンの中心を縦に走っている大通りのすぐ東側を走っている裏通りにあり、会社からは歩いて15分ぐらいの道のりである。知っての方も多いと思うが、このリージェント通りは道自体が90度以上も緩やかに曲がっているので、この道に沿って歩くと目的地までは大回りになってしまう。変なようだが最短距離はまず大通りをまっすぐ渡りそのまま東に歩いて左に曲がると目的の道に最短距離で行けるという感覚なのだが。なかなか分かってもらう説明ができないので、このぐらいにしておく。そのスポーツクラブに着いた私はレセプションでマッサージ師の名前を告げて会いたいことを告げると、彼女は予約のノートのページを開き始めたので、慌ててまだ予約をとっていないと伝えると、残念そうに彼はとても忙しい人なのでアポイントなしでは会うことはできないと言い、私に彼の携帯の番号が入っているカードを渡し電話をしてみたらと言ってくれた。私が腰のことを話したこともあり、そのレセプションの人は私がお礼を言ってそこを出る時にマッサージ師が直してくれるといいわね！などと気のきいたことを言ってくれた。およそイギリスらしからぬ感じの良いレセプションの対応と小春日和の気候に、目的は達せられなかったが気分の良い昼の散歩だった。仕事も終わり、家路を急いだ私は、ビクトリア駅で出発寸前の電車に乗りこみ、いつになく運のよい自分に満足感に浸っている時に事件は起こった。電車が止まっていたプラットホームは150mほどあり、私が降りる駅は出口が進行方向の一番前なので、出発間際だったこともあり、急いで電車の前の方に歩いて行き、乗り込んでほっと一息。程よく席も空いていたので座り、本を開いて読んでいたのだが・・・・・電車がいつまで経っても出発しない。10分、20分が経過をした頃車内放送が流れ、『この電車はエンジンが故障していて問題が見つからない為に、現在エンジニアがこちらに向かっています』との内容である。まっじ～？しかも『従って現在この電車が出発する見込みは、いつになるかまったく分かりません』というのださらにこの車内放送の主は、『残念ながら私の力ではこの状態は何ともできません』と抜かした。でた～！イギリスの得意技 I am afraid there is not much I can do to help you in this situation!他に言い方がないのか～？結局、まだ車内に残っている人たちもいたのだが、こういう場合は行動あるのみと外に出て、今来たプラットホームを戻り、隣のプラットホームをまた150mほど歩いてとなりの電車に乗り込んだ。幸いにもこの電車は5分ほどして出発した。全く電車に乗るのでさえ賭けである。この国が賭け事が好きなのがよ～く分かった一日の終わりであった。

  2004年03月31日

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• とめてくれ～！

  先週末から始まった音楽のダウンロード。今日は落とした音楽を聴きながら日記でも書こうとしていたのに、家に帰ってきてから聴いているうちにまたあれやこれやと始まってしまった。気がついてみるともう９時を過ぎている！時間を返してくれ～！といってももう遅いので日記を書き始める事にした。今朝からイギリスは夏時間なので、先週よりも時間が早くなった。いつもより一時間早く出勤する。これまで８時に家を出るのだが、今日からこれまでの７時に家を出る。なんかとっても損をした様な気分だ。初めて毎日出勤をする仕事に就いたときは恥ずかしながら、一時間遅刻をしてしまった。（汗）朝、会社に行くとなんかいつもと雰囲気が違う！みんな仕事が今始まったという感じではなく、もう十分に脂の乗り切った仕事ぶりだった。みんな一斉に（一時間遅れて出勤してきた）私の方を見て、一瞬不思議そうな顔をしてから笑い出した。それまで毎日の仕事ではなかった私は、夏時間・冬時間など気にしていなかった。いつもはテレビの時間を見て一時間違っているのに気がつき直していたので、それがこんな所でこんな風に影響するなんて思ってもみなかった。もちろん、それからはしっかり者の嫁さんと結婚した事もあり、同じ過ちはおかしたことがない。（当たり前か！）いつもより一時間（しつこい！）早く出勤した私は、今日は働き者の上司のKさんが休みの為、午前中は結構忙しく仕事をしている内にあっという間にお昼になった。いつもならのんびりしているマネージャーも、やはりKさんがいないと心配なのか、きびきびと動いて仕事をこなしていた。（やればできるやんか！）いつもこうなら問題はないのにと思いながら仕事をこなしているうちにお昼の時間になった。今日は私のセクションは2人だけなので、昼食を交代でとることにする。食事をする為に休憩室に行くと部屋ではT氏とYさんが昨日の（私は昨日は音楽のダウンロードをしていた為に全然知らなかったのだが）オックスフォードとケンブリッジのボートレースのことで話に熱が入っていた。食事が終わって席に戻ると仕事はさらに忙しくなり、あっという間に帰りの時間になった。忙しいのも時間が早く経つので悪くないもんである。急いで家に帰ってきて昨日落とした音楽を聴いているうちに、また違う音楽が頭に浮かんできていそいそとまたダウンロードが始まった。誰かとめてくれ～！でも楽しいもんである。こうして日記を書いているうちに聴きたい音楽がファイルに落ちている、後で聴くのがとても楽しみである。（これはもうおタクの域に入っているのだろうか？）

  2004年03月30日

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• 穴蔵のとっち！

  今朝、出張中の嫁さんと電話で話した。なかなか元気でやっているようで安心したが、出張先では仕事よりも余計な人間関係が問題を作っているようでこれをクリヤーする事が大変だと言っていた。さてしばらく日記から遠ざかっていて、訪問してくれた皆様にお詫びを申し上げます。実はこのところマックのコンピューターを使っているのですが、買ってから初めて使うのでインターネットにつなぎ始めると色々と付随してくる物とか、ダウンロードなどでも結構時間がかかって、いつも時間切れになってしまい、日記を書く時間がありませんでした。（勝手な言い訳！）まだコンピューターのダウンロードが解決していないので、これからも日記を書けない日があるかも知れませんが、なにとぞそこは多めに見てやって下さいませ、よろしくお願いします。m○mさてこのところ私はコンピューターで色々な音楽をダウンロードする事を覚え始めて何日かたつが、最初は頭に思いついた題名でダウンロードし始めたが、それもなぜか昔好きだった物から始まった。色々とダウンロードしているうちにたまった物を見てみると、最初はハードロック系が意外に多かったので自分でも結構驚いた（最も昔の物であるが）。私はそれで一つのファイルを作り、見てみるとロビン・トロワー／レインボウ／ディープ・パープルのチャイルド・イン・タイムなどもあり、なんか面白くなってどんどんダウンロードをしている内にかなり遅くなり･･･昨夜はそこでやめて、今朝は景気付けにがんがんかけたのだが、なんかコンピューターのスピーカーでは物足りなくなり、持っていたモニター用のスピーカーを付けて鳴らしてみたら、なるほどベースが程よく効いてきて、眠気覚ましにはとても良かった。これをローディングしているうちに、昔よく効いていたデヴィッド・ボウィのThe Rise and Fall of Ziggy Stardustというアルバムからの曲があった。これは大学生の頃に東京に住んでいた時、国立に住んでいる友達を訪ねていった事があり、たまたま時間つぶしに入ったロック喫茶（今はもう死語？）でこのアルバムが大きくかかった。その後すぐレコード屋に走り、買ったアルバムだった。今、聞いても古さは感じられなく、さすがに彼の才能があふれている曲だと感心した。明日は会社なのでこれで終わりにしておかないと、イギリスは今日から冬時間から夏時間になった為に、一時間早く起きなければならない。（泣）このままいくと、家に引きこもって穴蔵生活のとっちになってしまいそうな今日この頃である。（笑）でも会社があるから、穴蔵も無理か。

  2004年03月29日

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• 嫁さん、出発する

  日曜、嫁さんの出張のためにヒースロー空港まで送って行ったのだが、二人が家を出る時にスコールに見舞われ、雨の中、荷物を車に運んで出発した。走り出すと雨はすぐにやみ、いつものようにドライブ気分で音楽を聴きながらそして道ばたを歩いている犬や猫の品評会をしながら出発の３時間ほど前に空港に到着した。空港の出発ビルの前で嫁さんと荷物をおろし、私は車を駐車場に駐車し終わり、駐車場を歩いていると、早々とチェックインをすませた嫁さんが携帯に連絡をして きたので、待ち合わせ場所を決めその後にターミナルの中にあるバーガーキングの裏にある喫煙所に行く（ここはあまり知られていないので我々の空港での穴場である）。あまり食欲がないという嫁さんに無理矢理ハンバーガーを食べさせた後に、私はコーラを飲みながら出張地でのサービスアパートのプールやジムやカラオケなどの娯楽について話しだすと、嫁さんから仕事に行くのだからと軽く諭される。今回は航空会社のラウンジを使えるのと、あまり車を長く駐車していると駐車料金がかさむこともあり、我々は出国ゲートに向かった。すると途中で「あらっ！」と声を出し、前方を歩いてきた日本人の女性が近寄ってきた。彼女は、以前嫁さんの会社に勤めていたあき子さんだ、ということが一瞬でわからないほど涙とストレスで疲れていた。彼女の後ろには彼女の旦那さんもいたのだが彼もかなり疲れているようだった。あき子さんは嫁さんに彼女の肉親が亡くなったので、これから日本に帰るところだと告げた。私はその悲報に言葉を失い、嫁さんがあき子さんに『気をしっかり持ってね！』というのを呆然と聞いていた。私も一ヶ月ほど前に父が倒れ急遽日本に戻った時は正直もうだめか！という気持ちで帰ったばかりだった。肉親を亡くした彼女の気持ちと、早く日本に帰らなければならないという焦りの思いは私の比ではなかったろう。あき子さん夫妻と別れ、出発ゲートに向かう我々の足取りは重かった。友人の肉親の死別に出会ったことで我々も、急に一ヶ月という出張の期間が遠くに感じたのだと思う。出発ゲートのところで別れを惜しんでいるうちに嫁さんの目が急に涙目になった。私は思わず、『明日会社に行ったら、飛行機のチケットを探してみる！』と口走っていた。嫁さんはそれを聞くとにっこり私に微笑んでから、思い切ったように出発ゲートをまっすぐに見て歩いて行った。私は車で家に帰りながら、自分が今、嫁さんをさらにだいじに感じていることに気がついていた。確かにこの一ヶ月の間に二人の身に何かが起こるなんて考えることは馬鹿げていると思うが。実際に理由が何にせよ、まだ若いあき子さんの肉親の身に起こったことを考えると、人間一寸先には何が待っているのかは分からないものだと呆然と考えていた。ふと気になったので携帯をポケットから出してみると、メッセージが入っていた。車を路肩に止めてみて見ると、それは嫁さんからで、『色々ありがとう！』という内容のメッセージだった。人生の一瞬一瞬の大切さを感じた一日だった。***このところ、嫁さんネタばっかりですみません。夫婦二人以外に近くには身内がいないことで、ちょっと感傷的になっているのかも知れません。

  2004年03月22日

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• 嫁さんの出張

  訪問してくれた人には申し訳ないが、このところあまり日記を書く気にならなかった。実は嫁さんが一ヶ月ほど出張になったので、色々と準備もあって忙しかった。明日は嫁さんが出発の日なのだがまだ出発の用意はできていない。彼女はいつもぎりぎりまで用意は始めないのだが不思議なことにいつも出発前にはちゃんと用意ができる。彼女の会社は出張には大変気を使うらしく、出張先ではショーファーが迎えにくるらしいし、泊まる先はプール付きの豪華なサービスアパートメントでジムもついているようなので、イギリスにいるよりは運動不足にはならないようである。が、やはり結婚してから10日以上離れたことがない我々にはとても長い気がする。とにかく体だけは壊さないように願うのみである。私も明日からは仲間に連絡して、しばらく音楽に集中してみることにしようと思っている。

  2004年03月21日

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• 一枚の写真から・・・

  この間、写真の整理をしていた時に、私がロンドンに来た1980年当初語学学校でいつも10人近くで週末に一緒に遊んでいた時の写真が出てきて非常に懐かしかった。この学校はロンドンのパットニーという所にあるサウス･テームズ･カレッジという公立の学校で、ロンドンに来た当初世話になった友達の進めてくれた学校だった。それまでは日本で某新聞社が紹介していたトテナムコートロードというロンドンの中心にある私立の学校に一ヶ月行っていたのだが、値段も高いし、先生の質もアルバイトのレベルでしかないように感じていたので（まだ始めたばかりだったのに生意気であるが）友達の勧めもあり、変えてみることにした。サウス・テームズ・カレッジに入学するためには朝早く学校の前にならばないと、人数が限られているので締め切られてしまうからと友達がいうので、朝5時に起きて学校の前に行ったところ、そんなに早く来ていたのは私を入れて3－4人だけだった。時季は9月半ばだが、朝早いとロンドンのこの時期はすでにとても寒くて、他に来ていた人などは余りに寒いので約50メートルの距離を行ったり来たりして歩いていたほどである。結局、この日は登録の一時間前ぐらいの8時ごろになると沢山の人数が現れたのだが、来た人は全員は入れたようで、朝早く起きて損をしたような気分だった。学校に入学してからしばらくすると、あちらこちらでグループができ始め、私もいつのまにか一緒に行動する仲間ができてしまった。今でもなんでこのグループに私が入ったのかは定かではないが、とにかく面白い連中だった。ギリシャ人のマヌーサス。こいつは体が縦横がデカイが、いつも優しそうに笑っている。イラン人のアリは自他ともに認める名うての遊び人。彼を兄貴のように慕っていたイラク大使のボンボンのハッサン、彼は当時17歳。グループの最年少者でとても陽気な品の良い子だった。この時期にイランとイラクの戦争が勃発するのだが、2人を見ているととても仲が良かっただけにグループの連中も複雑な気持ちだったと思う。スイス人の3人娘ポーリン、エリザベスそしてアナリーズ。この三人は言葉が共通のせいもあり、とても仲が良く、国に帰った後も3人でよく会っていたようである。彼女たちは後に、私がヨーロッパを旅行してスイスに立ち寄った時に会いに来てくれて、それぞれの家に泊めてくれたり、スイスを案内してくれたりとても良くしてくれた。イラン人の頭の良いおばさんのシャケ（この人の名前になれるまでは少々時間がかかった）。アルゼンチンから来ていたアレックス、この娘はなぜかみんなと旅行に行った時に仲間はずれにされたことがあるが、その理由は当時の私には分からなかったが、実は今でもわからない。スペイン人のピラー、この人は歌うのが何よりも好きで、よくギターで伴奏をさせられた。最後にアイルランド人の先生のキャシー、この先生はとても活発な人で、我々がパーティをするのに自宅を開放してくれたり、色々と骨を折ってくれた。このグループは学校の休み時間や後に一緒に食事に行ったり、学期が終わると旅行したりととても楽しい時期を過ごした。学校も終わり、みんなそれぞれに国に帰ったり、大学に進学したりとバラバラになる時期が来ると、みんなでお別れパーティをした。パーティの最後に誰が言うともなく、10年後の今日、学校の前で会う約束をすることになったのだが、その後コーディネーターの仕事をしていた私は、ある日、その日が10年後であることを思い出して車で学校の前を通ったのだが、無論、誰もそこには立っていなかった。一枚の写真を見てその頃のことを思い出したのだが、この中でも心配なのは若いハッサンのことだ。アリは卒業後もロンドンを歩いていてばったり会ったことがあるし、スマートな彼のことなので心配はしていないのだが。当時イラク大使の息子であったハッサンは、イラクがアメリカとの戦争に巻き込まれてしまった今、どんな生活をしているのだろう。無事に過ごしていてくれるといいのだが。

  2004年03月17日

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• 我が嫁

  昨日は車の件で嫁さんのことを出したが、一度ちょっとその生態を書いてみることにした。まず、性格ははっきりとしていて、短気だが非常に優しい面もある。その代わり、怒りが湧き出るのは瞬間湯沸器のように速く、これが始まるとなかなか押さえるのに大変である。（笑）そうかと思うと、とても涙もろく、映画で感動するシーンなどあったりすると後ろで見ていても肩が震えているのですぐわかる。悲しい映画などはテキメンで、一度、帰省の機内で「フランダースの犬」を見ていた時など、脱水状態になるのではないかと本気で心配するくらい号泣していた。いわゆる喜怒哀楽がはっきりしていて、とても分かりやすい性格と言うのが一番当てはまるような気がする。こんな性格だから、会社でも客が部下に無理難題を吹っかけてきたりすると、自分がマネージャーと言う立場も忘れて客と真っ向から対決することもあるらしい。したがって、私が彼女の会社のパーティーなどに行くと、彼女の旦那と言う役得で会社のみんながとても良くしてくれるのが嬉しい。嫁さんは物事に筋が通っていないことを非常に嫌がる。これはやくざの義理人情に通じる所があるが、特に義父の影響が非常に強い。義父は、一見その軟らかな風貌と異なって、その筋の人のような貫禄がある。思うに、義父は昔から芸事が好きで、謡や能楽を50年以上も経験しているところから来るものではないかと想像する。嫁さんの音楽好き、踊り好きはやはりこの義父から来ているものだと思うが、彼女は幼少の頃からクラシックピアノを習っているにもかかわらず、好きな音楽･ダンスは黒人のソウル系である。こちらは前に書いた通り、元来の映画好きと共に義母との共通点でもある。嫁さんは行動を起こせずに困っている時や何かで悩んだ時には、常に両親を手本としてこんな時、両親だったらどういう風に考えるかと思うらしい。しかし、彼女も両親が間違っていると思う時は、小さい頃からそうしていたようであるが、遠慮なく意見を言う。（いつも遊びに行くと思うのだが、ここの家族はとても仲が良くて、端で見ていてもうらやましいほどである。）まったくの余談だが、漫才の故横山やすしも彼女の好きな性格だと書くともっとわかりやすいだろう。彼の生前の話で、彼を乗せて弟子が運転していたところ、信号が赤になって弟子が車を止めた。やすしが怒ってその弟子に「なんで車を止めるんや？信号の赤は止まりたいヤツのためにあるんじゃ！」と言ったのを聞き、嫁さんはウケまくっていたことがあった。彼女の言動を観察していると、面白いことがいくつかある。時間がなくて、立っているついでに嫁さんがコーヒーやコーラを飲む時。（行儀悪し）彼女は必ず両足を肩幅の広さに開き、左手首を腰に当てて、右腕は肩ぐらいに上げてから背筋をピンと伸ばして飲むのだが（一度やってみてもらいたい）いわゆる仁王立ちでごくごく飲んでいる風情である。最初、どうしてそんな格好で飲み物を飲むのか聞いてみたのだが、本人は別に意識してやっているのではないようで、言われて気がつくらしい。想像するに、彼女が昔、陸上部に入っていたことに関係あるのかな？と思うのだが真実は定かではない。もう一つ。彼女が何か言葉で強調する時は、必ず2回繰り返す。これは聞いていて面白い。「とっち！そこのドア締めて。隙間風が入ってきてサムイサムイ！」や「昨日は急いでいる時に机のかどに肘ぶつけてイタイイタイ！」と、必ず繰り返す。これも本人は全然意識していないので、「ほら、また繰り返した！」と言うと「あっ！ほんまやー」と言っているだけで、別に直そうとも思っていないらしい。これは人に聞いたところ、関西人の中でも京都の人間の特徴らしいのだが、本当だろうか？

  2004年03月15日

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• 車検デー

  今日は、車のメンテナンスと車検のために、自宅から車で約３０分の所にあるガレージ（日本のガレージという言葉とはちょっと違う。整備工場だろう。）に、腰の痛みにも負けずに行ってきた。このガレージは、去年、嫁さんの会社の社内誌に広告が載っていて知ったのであるが、嫁さんの会社の社員には社員割引をしてくれるというのと、それまで使っていたワーゲンのディーラーのガレージがどうしても不満なのでダメ元で一度使ってみようと思って行き始めたところだ。その結果がとても良くて、メンテナンスの後で車に乗ってみて、これほどメンテナンスが車のパフォーマンスに影響を与えるものかと感心したぐらいだ。しかも、値段が安い。従業員の愛想は特別良くはないが、感じが悪いのとはぜんぜん違う。いわゆる、真のプロフェッショナルなガレージである。今まで20年余り車に乗っているが、イギリスというところはいわゆるプロのガレージを探すのがとても困難なところである。まあ、お金さえあれば新車を買って、車検が来る前に車を買い換えるのが一番良い方法なのだが、ロンドンに住んでいるものにとってこれはかなりの収入がないとできない。したがって一般のユーザーは悪徳ガレージによって足元を見られてかなりの金額を要求されたり、知っている中で特に悪い例をあげると、車をサービスにだす毎に部品を取られていって最後に気が付いた時はエンジンが針金で釣られていただけという例などもあったぐらいだ。まあこれは特別悪い例であるが、このほかにサービスに出した時にガソリンタンクに角砂糖を入れ、エンジンを壊れるようにして、エンジンごと交換して儲けるやり方などかなりの悪事が横行しているのだが、こういうケースはなかなかしっぽがつかみにくい。中古車を買う時もかなり気を付けなければならない。これは一時期イギリスでかなり問題になったケースなのだが、事故などで壊れた車を半分ずつ切って溶接してつなぎ合わせた車が中古としてかなり出回っていた時期があった。これはもちろん極めて危険なのでテレビのニュースでも報道していたのだが、走っていて車が真っ二つに折れて大きな事故になる危険が大であること、そして当然これは違法なので、見つかり次第法律の名のもとに即処分され、勿論この手の車を買った人は泣き寝入りである。かく言う私も安物の中古車買いは何度も経験しているが、最初に中古車をかった時は何も知識がなかった。当時車を捜していた私は新聞の広告でミニのステーションワゴンを見つけ、楽器を運ぶのに良さそうなので値段も当時500ポンド（当時の円で換算すると25万ぐらいだったと思う）と手ごろだったので個人の売り手に連絡したのだ。彼の名前は忘れもしないミスターリンチ。名前が気に入らなかったのだが、その時早急に車がどうしても欲しかったのと彼はこの車をスコットランドから持ってきたというので田舎から来た車だったら大丈夫だと思い、即買いしてしまった。後で分かったことなのだが、車はスコットランドの海辺出身らしくあらゆる部分が錆びていて、特にボンネットの留め金の所が錆びて穴が空いていた為に高速を走るとボンネットがカパカパと音を立てるのがとても不安だった。(-_-;)今では非常に不可解なのだが、この車は幸運にも車検には通っていた。結局この車には何年かお世話になった後に、アイルランド人の悪ガレージの人間に盗まれることになるのだが、今思えば結構良く動いてくれたと思う。あの頃のミニは時速こそ100キロが限度だったが、非常に車高が低いので高速を走っているとゴーカートに乗っているような愉快な気分になれる車だった。今も中古車ではあるが、新車に近い車に乗れる身分になり、ガレージもプロのガレージが見つかって、昔の苦労がウソのようである。ちなみに今日のサービスの領収書を見ると、以前の記録をひっぱってきてくれたのか、何も言っていないのにちゃんと嫁さんの会社の社員割引になっていた。こういうところがうれしい。

  2004年03月14日

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• ソレは誤解だ！

  自分でも本当に不本意なのだが、私はかつて、よくゲイに間違えられた。イギリスでは、男性が女性にアプローチするのが当然という風潮もあり、よく男性が道を歩いていて気に入った女性に声をかけるということがままある。実は私も2～3、そういう経験がある。声をかけたのではない。かけられたのだ。当時、肩の下まで髪が長かった私は、道を歩いていて若い男の子に後ろから呼び止められ、振り向いた途端、その男の子はどこかに行ってしまったことがあった。ここまでは普通だ。ロンドンに来た当初、日本の友達が訪ねてきたことがあり、その友達とオックスフォード・サーカスの駅前で待ち合わせをしていると、その時に初老の男性が近寄ってきて「いい天気だね」と話しかけてきた。当時、ゲイというものの存在自体に気がついていない私は、普通に彼に答えていたのだが、話の中で彼は、近くにあるレストランを指差して「実は、私はあのレストランのオーナーで、今度の月曜に食事に招待したいんだが」と言った。突然の幸運にちょっと意外な気がして返答に困っていると、彼は紙切れに住所と電話番号を書いて渡してくれた。彼はさらに「実は私には日本人の若いボーイフレンドがいた」と続け、意味ありげな微笑みを残して行った後、待ち合わせをしていた友達が現れてそこを去った。家に帰った時に、隣人のフランス人にその出来事を話したところ、彼女は「それはナンパよ」と言ってげらげら笑い出した。たぶんこれが私の人生において、最初にゲイに遭遇した経験だったはずだ。その後、しばらくしてコーディネーターの仕事に携わることになり、スコットランドに行った時に、そこで第2のナンパ経験に遭遇することになるのだ当時、仕事を始めたばかりの私はスコットランドのアバディーンからアラプールという街ま、で会社の同僚（日本人）と2人で撮影機材を車で運んで行ったが、出発した時間が遅かったこともあり、対向車もぜんぜんない道をひたすら走る。途中、道の両側に2つの湖が広がる場所があり、真っ黒な湖面に月明かりがすーっと走って見え、太古の世界を思い起こさせるスコットランドの風景にマッチして、今にもネッシーが現れそうな光景に見えた。我々はお互い、ここで声をかけると飛び上がりそうなほど緊張している。車は夜中の1時過ぎにアラプールに着き、我々はその地でホテルを見つけて入って行った。ロビーを通り、カウンターがある大きなバーに入って行くと、そのバーのいちばん奥に座っている、キルトを穿いている大柄な男性に手招きされた。彼のところに行くと、彼は自分をこのホテルのオーナーだと言って（またオーナーかい）我々が最初のアジア人のお客だとうれしそうに話す。彼は我々を自分の両側にそれぞれ座らせ、ホテルのチェックインもそこでさせて、スコッチウイスキーをふるまってくれる。いろいろと話しているうちに、彼は大きな体を揺さぶって笑いながら、私の背中をオバサンがよくやるようにばんばんと叩き、その手を今度は私の首のところまで持ってきて首の後ろをくすぐった。私はその時、ヘンだなと思って彼の顔を見ると、彼は私にウィンクをした！いったいどういうことなんだと思ってぎょっとすると、彼は今度は私の手のひらをくすぐり出すではないか！ここでやっと確信を持った私は「あ、明日が早いので、ここらで失礼シマス」と言って自分の部屋にはいり、ドアのすべての鍵をさしたままロックして眠りについた。幸いにも、この後は何もなかったのではあるが、彼がオーナーだとしたら合鍵を持っているに違いないと思うと気が気ではない一夜だった。実際には、私の人生では知的で平和なゲイの人たちにもその後はたくさん会ったので、最初の頃に感じたような怖いイメージは吹き飛んでしまった。その後、コーディネーターの仕事を辞め、初めて日系の会社に勤め始めたが、そこの上司の女性からはどういうわけか、私はゲイだと完璧に誤解され、何かあるごとに「とっちさんってゲイなんでしょ？別に気にすることはないから告白しなさいよ」と詰め寄られるので「違いますよ、私は女性が好きなんですってば」と繰り返したのだが、彼女は私がその後、嫁さんと結婚するまで、ずっと私をゲイだと信じて疑っていなかった。ついでに、結婚する時、初めて嫁さんの両親に会った時も、今の義母は嫁さんの袖をひっぱり「あの人、コレちゃうの？」とこそっときいてから「あ、そやけどアンタ（嫁さん）と結婚したいていうことは違うわな」と言ったらしい。私がどうしてこれだけゲイと間違われてきたのか、今でもわからない。自分では男らしいと思っているのだが…

  2004年03月12日

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• 本日、欠勤。

  今日は腰痛のために、結局会社を休むことにした。昨日はどうしても仕事上、会社には出なければならないこともあり、以前、嫁さんの両親がロンドンに遊びに来た時に義母が腰痛になって医者から処方された、通常の３倍の効き目の鎮痛剤の残りがあったのでので、それを服用して出勤した。会社の行き帰りは少々辛かったが、薬のせいか、さほど激痛もなく、自分ではまあまあの出来だったと思っていた。しかし、実はその朝、最寄りの駅で出勤時に嫁さんの同僚とすれ違ったらしく（私はまったく気づいていなかった）嫁さんは会社でその同僚から「駅でとっちさんとすれ違ったんだけど、その時のとっちさんはひたすら一点を見つめて腰を曲げて苦しそうにそろそろと歩いていたんだけど、大丈夫だったの？」ときかれたらしい。その同僚は私もよくよく知っている人なのだが、彼女は声をかけたかったのだが、会社に遅刻しそうだったので私の横を駆け抜けていったらしい。私はその時の自分の姿を想像して･･･恥ずかしかった。昨日、会社では同僚たちが心配して（やっとなのか、オマエら）「大丈夫？余り無理をしないようにね」等と色々と声をかけてくれたのだが、私はその前の日の方がずっとずっと痛かったと声を大にして言いたかったが、折角労ってくれているので言えなかった。今日は午前中、ゆっくりしたせいか、腰の痛みも幾分減ったようなので、午後は少し歩く練習をした。だが、腰は相変わらずくの字に曲がっていて、歩くよりも跳ねた方が速いくらいだ。ノートルダムのせむし男か、ゲゲゲの鬼太郎に出てくる子泣きジジイ（あ、彼は背中は曲がっていなかった！）か砂かけババアが歩いているような格好になってしまうのが、何か情けなかった。一応、明日は会社にいけると思うのだが、この歩き方で行くのは絶対に嫌なので、現在、壁に背中を付けて矯正しているところである。

  2004年03月11日

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• たたられている私（嫁　代筆）

  私はたたられているのか？「一難去って、また一難」である。不運というにも程がある。今回、日記を長期で休んだのは、2月の後半に父が脳梗塞で倒れ、急きょ日本に帰ることになり、約10日間、生死をさまよった父はなんとか危機を脱出したので土曜日にロンドンに着いた。ようやく家にたどり着いた私は、いつもの時差ぼけに昨日・今日と苦しみながら（今朝は3時に起きてしまった）出勤した。会社に着き、上司にこれまでの経過を告げた後、仕事の準備のため、会社の金庫の前まで行き、左右に2つ並んだ金庫の前にウ●コ座りして両方の金庫を開けた。両方の金庫から、順に必要なものを出した後、それぞれを閉めて自分の席まで持って戻った。しばらく仕事をした後に立ち上がったところ、右の腰の後ろに鈍い痛みを感じた。最初はさほど深刻には感じられなかったため、あちこち社内を普通に歩き回っていると、その痛みが次第にシリアスなものに変わってきた。しまいには、その痛みのために、まるで月面を歩く宇宙飛行士のような動きになってしまった。回りを気にした私は、まず隣りにいた同僚のKさんに「腰を痛めてしまったもよう」と告げるが、彼は「ああ」と何気なく言っただけで、特段に注意も払ってくれない。さらに、書類を取りに社内をうろうろ歩かなければいけなかった私は、その途中にいる人たちに「私は腰が痛い」ということをさりげなく告げて行ったのだが、みな自分の仕事に没頭していて、特別に気にもかけてくれなかった。そして、さらに痛みが増してきた私はガマンも限度に達し、薬箱があるところまで行こうとしたのだが、久しぶりに会う同僚たちは、その私をわざわざ呼び止めて父の容態をことごとくたずねてくる。なんとか、それらをクリアした私は、薬箱があるキャビネットの開き戸のところまでたどり着いたのだが、薬箱は開き戸の中ではなく、そのキャビネットの「上」に鎮座していたのだ。薬箱に到達するまで腕を伸ばした私は、薬箱をがっしりと両手でつかんだのだが、この薬箱がまた重かった！その薬箱を途中まで降ろした私は、その重さのため、一段と痛みが増したのを感じる。その時の頭の中に「速くヤクをくれ～」という言葉がぐるぐる回っていた。ようやく薬箱を降ろして最寄りの机の上に置いた瞬間、その机の持ち主であるアリが外回りから帰ってきて、また父の容態をたずねられたが、私は今はそれどころではない。薬箱の中の鎮痛剤をまさぐりながら、気のない返事をする。ようやく目指す鎮痛剤を探し当てて服用法を読んでいたが、アリが話し続けるために集中ができない。ったく、こんな時に英語で話しかけるな！老眼が忍び寄ってきている私は、その服用法の細かい字を読むのに眼鏡を自席に取りに帰ることさえままならないというのに、それでもアリは容赦なく、話を速射砲のように浴びせてくる。ひたすら目を凝らして服用法を読み取ろうとする私。なんとか「1個か2個」という字が読めたのだが、知りたいのは「1個か2個」ではなく、1個なのか、2個なのか、どっちなのかということだ。それでもアリはまだ執拗に話し続け、今度は自分の兄弟が心臓の手術をした時のことを延々としゃべりまくる。痛みも極まった私は「2個」に決め（！）薬を2粒握りしめてキッチンに向かった。これでやっとヤクにありつけると思った私は、このキッチンに向かう途中でも、さらなる同僚たちに遭遇し、同じ質問を受けることになる。（泣）***（嫁より…ここまでを口述したダンナは本当に涙を流しております）***ようやく、同僚たちの質問攻めをかわした私はキッチンにたどり着いた。そこにも一人、お茶を飲んでいる同僚発見！後はご想像の通りである…その同僚が去って、やっとやっと、握りしめた2粒の鎮痛剤を飲んだ私は「どうか速く効いてくれ」と祈るのみであった。しばらく、キッチンにたたずんでいた私は薬が効いてくるのを待っていたのだが、午前中の仕事は忙しいので、自席に戻ろうと決意した。…でも、痛い…なんとなく、薬が効き始めてくる気がしてきたが、痛いほう側の足を踏み出すと、ある地点で急激な痛みが襲ってくる。スローモーションで歩いているのだが、なるべく同僚たちにはさとられないように堂々と歩いているふりをする。キッチンからみると、自分の席は社内のいちばん反対方向にあるので、その距離がとても長く感じ、途中、仕事をしている同僚たちが笑っているように感じたのは私の思い過ごしだったのだろうか？実はキッチンでお茶を飲んでいた同僚に腰が痛いと言ったら「またですかぁ？これで4回目くらいですよね」と言われた。そうなのだ。この一年で4回目の腰痛に襲われたのである。帰りに嫁さんに電話したら、荷物を持ちに駅まで来てくれると言う。嫁さんは、今晩、実家に電話して私の厄除けのお祓いを頼んでくれるらしい。荷物持ちどころか、日記の代筆をしてくれるというので、こうして口述しているのだが、嫁さんもげらげら笑いながらこれを書いているのが少々腹立たしい。

  2004年03月09日

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• ようやく帰宅！

  昨夜21時頃、ようやく帰宅した。1月の後半に帰省したばかりだったのに、こんなに続いて日本に帰ることになったのは個人的に晴天の霹靂の取り込みがあったからなのだが、そちらのほうがとりあえず治まったというか、一つ乗り越えたという段階になったので一旦こちらに戻ってきた。今回の飛行機は余り混んでいなくて、嫁さんとそれぞれに3列の席が確保でき、横になりながら帰ってくることができた。（ウン十年の中で、初めての経験！）ただ一つ遺憾だったのが、機内食が配られる時に、行きも帰りも私のところで和食が無くなり、無理やり洋食を食べさせられたこと。(+_+)せっかく日系の飛行機に乗っているのにと、さすがに帰りの便では顔に出てしまった。日本人は洋食でも無理を聞いてしぶしぶ食べてくれる人が多いとしても、これが逆に日本食が余りまくって外人に「日本食しかないんです」と言っても、外人はそんなにあっさり引き下がらないはずだ。これは日系航空会社としての日本人への甘えがあるような気がした。しかし、ひょっとすると、そんなに外人からも日本食の需要があって、私のところに来るまでになくなったということだったのだろうか？最近でこそ、日本食が健康に良いのと、値段がお高いというイメージがあることで、イギリスの金持ちの間でもトレンディになっているのこともあるにはあるが、これが80年代の初期には状況が違っていた。CMの仕事でテニスのウインブルドンを撮影していた時に、その控え室に日本の弁当を持ち込んで、回りのお高い人間から「クサいから日本の弁当を持ち込むな！」と注意を受けたことがあった。今はイギリスでも日本食を食べるのが、ブランド物の洋服を着るのと同じぐらいの高級感があると言えなくもない。時代は変わるものである。日系の航空会社もココの所をちゃんと把握して機内食を用意しておいて欲しいものである。（ちなみに、日系以外の航空会社で日本食がなくなったと言われた経験はいままで一度もなかったぞ。）行きは嫁さんと出発日が違い、帰りは嫁さんと乗っていたが、空いているので別々に座ったところ、なんと嫁さんは往復とも日本食を食っていたらしい。ここ最近の帰省はいつも日系のA社だったのだが、今回は急だったのでJ社を使ったところ、嫁さんは「同じエコノミークラスでも、食事はJ社のほうが結構よかったわ」とのたまったので、往復とも自分だけがハズレで、余計に腹がたった。（笑）

  2004年03月07日

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• 帰国途中！成田にて

  とりあえず今成田空港です。これからロンドンに戻ります。ではまた

  2004年03月06日

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• 無題

  少々、とりこみができましたため、当方の日記はしばらくお休みさせて頂くこととなりました。復帰は3月10日頃を予定しております。どうぞご了承下さいませ。

  2004年02月24日

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• おすすめ！「スティル・クレイジー」

  穴沢ジョージさんのページで音楽映画の話で盛り上がっており、映画「スティル・クレイジー」を思い出して、久しぶりに見てみようと思った。この映画「スティル・クレイジー」は基本的にはコメディーなのだが、いかにもイギリスの映画らしく、なかなか真実に基づいて作られているのが面白い。おおまかに説明してみよう。＊＊＊＊＊次のこのラインまでは、少々ネタばれです。＊＊＊＊＊今を溯ること30年前。伝説の「ストレンジ・フルーツ」はウェンブリー・スタジアムをハコにライヴを張れる70年代の大物ロックバンドだった。映画はこの「ストレンジ･フルーツ」が77年に、これもまた伝説の「ウィズべック（この土地名は多分架空のものだと思う）の野外コンサート」に出演しているところから始まるのだが、実は、それまでの元々のバンド内部の仲間割れがほぼ頂点に達しており、いまや一触即発の危機が来ている。そのライヴの真っ最中に、順番がやってきた彼らはステージに立ち、演奏を開始するやいなや落雷で演奏が中断され、結局、それが直接のきっかけとなって解散してしまう。70年代初期に一世を風靡していたこのバンドは、ヴォーカルのキースが酒と麻薬で命を落とし、代わりのヴォーカルのレイが入った70年代後半頃にはギターのブライアン（キースの弟）も麻薬漬けで歯止めが利かなくなってきた…そんなことから、伝説のバンドは一夜にして空中分解したのだった。…バンドが解散して20年。バンドの元キーボード奏者のトニーはスペインのイビザ島で、なんとコンドームのセールスマンをしているところをある男に呼びとめられる。男は、あの因縁の「ウィズべックコンサート」の時のプロモーターをしていた男の息子で、憧れだったトニーに会って感激した彼は、ストレンジ･フルーツの再結成とウィズべックの20周年記念フェスティバルに参加しないかとトニーに持ちかける。トニーはその後、当時バンドのマネージャーをしていたカレンに会い、バラバラになっていたバンドのメンバーを訪ねて説得にかかるが、バンドの要だった天才ギタリストのブライアンが死んだといううわさを聞く。途方に暮れたバンドに、カレンは見つけてきた若いギタリストを加入させ、バンドはひとまずヨーロッパにツアーに出る。最初は、全然勘を取り戻せなかったメンバーも次第にステージの勘を取り戻していく。しかし、そんなある日のインタビューでドラムのビーノが「ブライアンとキースがいないバンドは只の抜け殻」と言ったことにそれまで必死でがんばっていたヴォーカルのレイが切れてバンドを去ってしまう。せっかくステージの勘も取り戻せたし、復刻版のCDも発売になったバンドにまたもや危機が訪れる。意気消沈したカレンは元恋人でもあったブライアンの墓参りに行くが、そこで、なんとブライアン自身が自分の墓に捧げたと思われる花束を発見する･･･＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊まぁ、実際にこのバンドが奇跡の復活を遂げるのかどうかについては、皆さんで一度この映画を見て確認して頂きたい。映画自体はコメディのカテゴリーに分けられるらしいのだが、イギリス映画らしく、現実に起こり得る問題を笑いと涙で表現していて面白い映画である。場面はいかにもイギリスらしく、それもオシャレでもなんでもない場所ばかりだし、設定もシャビーというか、お寒いというか、いかにももっさい作りの映画なのだが、この映画はイギリスだから作れた映画であって、アメリカでこんな映画はいろんな意味で作れないと断言できる。映画のキャラクターにも色々なロック界の伝説を織り込んでいる。●ギターのブライアンは多分想像するに、ストーンズの亡くなったカリスマギタリストのブライアン・ジョーンズと思われる。●ブライアンのガールフレンドだったカレンがずっと身につけていたリストバンドに付いていたコインは、実はブライアンのギターピックだったという場面があるが、これを聞けば、クィーンのブライアン･メイがギターピックにコインを使っていたのを思い出す方も多いと思う。●この伝説のコンサート会場の名前がウィズべック（WITH BECK＝Jeff Beck？）というのは考え過ぎだろうか？●70年代の野外コンサートでユーライア･ヒープのべーシストがアンプに雷が落ち、感電死したというニュースを覚えている方もあると思う。今では真空管アンプも改造されて危険なことはなくなったが、当時、真空管アンプでアースを外すとよりよい音が出るといううわさが流れ、アースを外して演奏することが流行ったのだが、これは真空管に帯電した電気が何かの拍子で一挙に流れるのでかなりのミュージシャンが命を落としたということで、とにかく当時の野外演奏に雷は演奏するものにとってとても危険なことだったらしい。●これはちょっとうろ覚えだが、キーボードのトニーが映画の中で後生大事に首にかけていたのは確かジミ・ヘンの歯だという設定だったと思う。また、映画の中でバンドがオランダのライブハウスで演奏する場面があるのだが、これは私自身が同じことを経験した。まさにあの通りで見ていてとても懐かしかった。とにかく色々な所に70年代の話が盛り込まれていて面白い。この映画の中でバンドのベースを担当しているレス役のジミー・ネイルは生粋のミュージシャンでもあり、過去にも数々のヒット曲を書いているシンガーソングライターで、この映画でも彼は自作の曲を歌っているが、イギリスの、というか彼独特のメランコリックな旋律がなかなか泣かせる。そして、この映画のナレーションとローディをしているヒューイ役のビリー・コノリーは、かつてフォークバンドを作ってコンサート活動をしていたのだが、彼のスタンダップコメディアンとしての才能の方がより認められて、今はイギリスでもそのチャリティ活動も含め、とても敬意を表されているタレントである。また、音楽とは直接は関係のない顔ぶれだが、物議をかもした映画「クライング・ゲーム」に出ていたスティーヴン・レイがキーボードのニール役、最近のヒット作「ラヴ・アクチュアリー」にも出ているビル・ナイがヴォーカルのレイ役で、いつまでもロック一筋のおっさんを体現しているのも見逃せない。特に70年代の英国ロック好きの人には、是非ぜひ見て欲しい映画である。

  2004年02月22日

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  朝焼けのセックス・ボム！

  Lalameansさんの日記で「夜中に大ボリュームで周りの人間の考えずに音楽をガンガンかけていて、その音楽が頭に残って困る」という旨が書いてあった日記を読んでいるうちにふと思ったのだが、嫌な音楽が頭から抜けないということは確かにある。自分としては、もっと好みの音楽や高尚といわれている音楽などが頭から離れないのだったら俺もまんざら捨てたものでもない等と、妙に悦に入ることができるのだが。ある朝、会社に行くため、家を出て駅に向かって歩いていた私の頭にある曲の一節が浮かんできた。「♪Sex Bomb! Sex Bomb! You’re my sex Bomb♪」…？私はなんでこのフレーズが頭に浮かんだのかわからなかったが、とにかくいつもの電車に乗るために急いだ。「♪Sex Bomb! Sex Bomb! You’re my sex Bomb♪」今度は早歩きのタイミングでフレーズも早い。歩調を再度ゆっくりにしてみると、またそれと同じタイミングで浮かんでくる。明らかにこのフレーズが私の耳元と足元に同時にまつわりついてくるのだ。この曲は何年か前にトム･ジョーンズがカムバックをした時にヒットした歌なのだが、あろうことか、彼は2002年6月3日に行なわれたエリザベス女王在位50年記念コンサートでこの曲を歌ったのだ。（こんな曲歌ってええんかいな！）←トム・ジョーンズ イギリスではまあまあ流行った曲なのだが、とりわけ、私の好みの歌ではなかった。特にこの曲を直前に聴いていたわけでもないし、どこかで流れていたわけでもなかったのに、それは突然やってきて脳裏にぴたっと貼り付いてしまっていたのだ。何度か頭の中で振り払おうと努力をしたのだが、その歌は私の耳元で壊れた蓄音機のように（ちょっと古い喩だが）繰り返される。頭の中で違う曲を浮かべようとするのだが、全く無駄であった。家を出てから電車に乗るまで歩いて7－8分はあるのだが、その間ずっとこの歌が頭にまとわりついて離れない。電車に乗った私は、覚えている歌を片っ端から思い出し、ようやくそのフレーズから開放されたと思いきや、電車がビクトリア駅に着いて駅の構内を歩いていると、また始まった。「♪Sex Bomb! Sex Bomb! You’re my sex Bomb♪」やめてくれ～～～私はそのフレーズから逃げ出すかのように、足早に駅前のバス停の所まで行って、止まっているバスに乗り込み、駅の構内に積んであった無料の新聞を開いて読み始めると、やっとそのフレーズが消えた。あれは本当に拷問だった。今、思うとなんであのような目に遭ったのかわからないが、想像するには私の歩いていた歩調があのフレーズとがぴったりマッチしてしまったのだと思う。2拍子で「セックスボム、セックスボム、ヨーマイセックスボム」と、このようになるのだがおわかり頂けるだろうか？ちなみに青字は少し強め、赤字は強め、である。もっとわかりやすい曲、例えばカーリー･ミノーグの”I should be so lucky（アイ･シュッド･ビー･ソー･ラッキー）”という曲があるのだがこの曲もはまりやすい。はい、それでは皆さんご一緒に～！！！♪アーイシュッビーソーラッキー、ラーッキーラッキーラッキー♪♪アーイシュッビーソーラッキーインラーヴ♪とこんな感じである。この曲の作曲家であるピーター･ウォーターマンは何かの新聞の記事で自分の曲はクラシックのモーツァルトからの引用が多いと言っていたそうであるが、個人的にはたとえ彼の言っていることが本当であっても、公の場では言わない方がよかったのではないかと思う。まあ、いずれにしても、一日の力をなんとか温存しておきたい通勤時間から、突然この手の音楽が耳に響き出すと、仕事をする前から疲れてしまうのである。

  2004年02月21日

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• お昼のウォーキング

  メンテ、長過ぎ！このところ、運動不足を痛感しているので、今日はお昼の時間にダイエットも兼ねてウォーキングをした。これは、去年日本に帰った時に買った本を参考にして始めたものだが、20分以上続けて歩くことによって新陳代謝を促進すること、とその効果により食べ物を食べる時もそのカロリーを吸収し難くする体を作り出すというありがたい方策であるかわりに、その為には20分以上は絶対に止まらずに歩き続けないとだめなので、信号など歩きの妨げになる所ではできない。この本には歩く時の姿勢やどのような靴を履いたら良いか、そしてその歩くペース等が書かれていたのだが、本を読むのが面倒くさいので自分なりに理解して、後はその効果を見てみることにした。以前にこれを始めたのは6月だったのだが、今年の夏は余りに暑すぎたので一時ストップをしないと汗が出過ぎてスーツを駄目にしてしまうので止めた。9月に入り、涼しくなった頃再び始めたのだが、ある時、グループ会社のお偉いさんとこのウォーキングのことで話が合い、色々話しをする機会があった。彼はなかなか研究しているし、万歩計も持ち歩いているらしく、一日一万歩は必ず歩くということを聞いたのだが、彼の体型は（顔も）梅宮辰夫そっくり。あれだけの運動をしていてあの体型ならこの方法はだめだと思い、断念した。しかし、先月日本に帰って美味しいものを食べ過ぎ、かなりお腹の周りが成長したので、これはロッカーとしては恥ずべき醜態と思い、もう一度足腰を鍛える為に歩くことを決心した。前置きが長いが、やはりステージに立つ者としてはロバート･フリップのように技術的になれれば椅子に座ってもサマになるのだが、ここはステージアクションでごまかさなければならない私にとって、足腰の強さを取り戻さなければならないと一念発起した。まず会社を出てMDのスイッチを入れ、おもむろにたばこを一本吸いながら会社の近くのセント･ジェームス公園に歩き出す。午前中は仕事だったのでニコチン0.１ｍｇが体を駆け巡り、ちょっとふらふらしながら公園に到着、携帯についている時計で時間を確認して歩き出す。まず目標はバッキンガム宮殿までの半周。お昼時になると観光客が多いので人にぶつからないように歩いていると、突然、子供の観光団体がわらわらと私の行く手を遮る。彼らは大通りを横切ってセント･ジェームス公園に入ろうとしているのだが、人数が多い為に完全に私の行く手を防いでしまった。私がそれでも止まらずに子供の行列に入り込み、目で子供たちを抑えて見事にクリア。さらにバッキンガムの前まで歩く。宮殿を右に見ながら歩くと、幸いにも衛兵の交代は終わっていると見えて、それほど人は多くはないものの、前方に観光客が歩道の真ん中で写真を撮っていて、動く気配が無い。それでもスピードをゆるめずに歩いていくと、私の形相に驚いたのか、道を開けてくれた。この辺りが過ぎると後は余り人がいないと思ったら、公園の反対側にはまた別な団体がちんたら歩いている。私はキットカットの宣伝に出てくるような近衛兵たちが整列している広場を右手に、公園を左手に見ながら観光の団体をよけ、公園の4分の3を終了、この辺りまで来ると冬とは言え、体がぽかぽかと温かくなってくる。ここまで来ると歩きにリズムが出てくるばかりでなく、足腰に力が漲ってくるし、歩く辛さが殆ど感じられなくなる。毎年女王の誕生日を祝う広場を過ぎると出発地点が見えてくる。ここで時計を見ると歩き出してから約20分。少々勢いに任せて公園の中の道に入り、さらに7－8分歩く。公園を出て最初に歩き出した所に戻って時計をチェックすると、歩き出してから30数分が経過していた。それからゆっくりといつものサンドイッチ屋さんに歩いて行き。大きなチキンカツとサラダを食パンに挟んでもらい、会社に戻って自分の机で楽天の日記を見ながらほおばった。充実したお昼時間の使い方であった。＜妻の赤ペン＞あのー、食べるのと歩くのと、順番を逆にしたらどうですか？

  2004年02月17日

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• 80年代のイギリステニス事情

  1980年初期にフィルム･コーディネーターという仕事についていた時、思い出深かった仕事は、なんと言っても5年間、毎年初夏にあったウインブルドンの撮影である。この仕事は当時イギリスのテニス界のプリンスと言われていたジョン･ロイド（元クリス･エバートの夫）を撮影するものだった。当時レ○ウンがウインブルドンの公式ロゴを付けたテニスウエアーを発売していたことを覚えている方もいると思うが、それまでテニスというものに全然興味が無かった私にとって初めてその興味を持たせてくれた仕事だった。この仕事がどんなものかというと、撮影場所はウインブルドンの試合が始まる前に選手が手慣らしに試合をするQUEEN’S CLUB というローンのテニスコートを使用して撮影をする。その後、実際にウインブルドンで試合をしているジョン･ロイドを撮影し、彼が試合に負けた後はスタジオでスチール撮影をするといった内容である。ジョン･ロイドは当時イギリスで最強だったが、ウインブルドンで勝ち残るほどの強さはなく、いつもウインブルドンが終わる頃には撮影が全て終了しているという計算も、２回ほど撮影が危ぶまれたことがあった。その一つはある年にジョン･ロイドが好調に勝ち進んでしまった時だった。この年は確か全体をスローモーションで撮影していたために、高速のカメラにモーターの音が試合中に漏れないように鉄のカバーを付けたものを使用していたのだが（試合中は小鳥のさえずりまで聞こえるほど静かな試合場で非常に気を遣った）高速でフィルムが回るためにこの時日本から持ってきたストックが殆ど無くなりかけて、慌てて追加の注文を出さなければならなかったくらいだった。余談だが撮影中フィルムが無くなりかけたので、カメラマンにフィルムを控え室から取ってくるようにいわれた私は、試合中に静かに階段を降りていったのだが、客席の一人に止められ、試合が一段落するまで動かないように注意されたこともあった。今思えば私が試合中に動いたことで試合が中断したかもしれないと思うと、今更ながらゾッとすると同時に、あの時急いでいた私を止めてくれた観客の一人に感謝である。この時、確かジョン･ロイドはベスト８ぐらいで負けたのだが、撮影のスタッフはフィルムの残りが心配なのともし勝ち残ってくれれば撮影は思いがけなく貴重なものになるという複雑な気持ちで一杯だったに違いなかった。もう一つはその年ジョン･ロイドは早い内に負けてしまってスタジオの撮影を用意して彼が入るのを待っていた時、急に彼のマネージャーから連絡が入り翌日の女子決勝のことでクリス･ロイド（クリス･エバート）がジョンに彼女のビデオを一緒に見て欲しいという依頼があったので撮影には行けないということになってしまった。私は一度QUEEN’S CLUB で撮影の用意ができたのでジョン･ロイドに伝えに行った時、隣にいた気の強そうな女性に睨まれたことがあったのだが、その後テレビであれがクリス･エバートだと知った。この時は結局ジョン･ロイドは撮影には来ることはなく、撮影機材を片づけて撮影スタッフを連れてホテルに夜の12時過ぎに戻ったのだが、5年間の私の彼に対するイメージではジョン･ロイドは好感の持てる温厚な紳士でとても約束を破るような人物には見えなかった。あれから20年は経っていて今でも彼のことはウインブルドンの解説などで見かけるが、もちろんあの頃に比べると年は取っているが雰囲気は全然代わらず良い年のとり方をしているなという感じであった。この撮影が最初に始まった頃は、テニスのテの字も知らなかった私はその頃活躍していたボルグとマッケンローとコナーズの三つ巴を興奮しながらテニスの面白さを学んでいき、この仕事が終了する5年目にはQUEEN’S CLUBにおいて5月の温かい日差しの中で撮影のスタッフの人たちと撮影の合間に、レンデルとマッケンローが練習しているコートの横の芝生に座りその練習風景を見ている自分がいかにラッキーかを自覚できるようになっていた。とまあこういうお話でした。

  2004年02月15日

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• ランチタイムの悲哀

  前回、日本の帰国時にお土産の飴を買うことで辛酸を舐めさせられたあの憎きテスコが、ピカデリーのすぐ近くに新装開店した。それまではお昼時に何を食べるか、あまりチョイスが無かった我々会社人にはとても助かるが、はっきり言って私はこのような巨大スーパーは嫌いである。中に入って食べ物を選んでレジに並ぶまでの行程は、自分自身が流れ作業のベルトコンベアーに乗っているような気さえする。しかし、ここにテスコができたことによって私の生活が便利になることは否めない。この辺りにはかつてこのようなスーパーはなかったので、帰り道で途中下車をするか、帰りに大幅に寄り道をしない限りにはスーパーで買い物ができない私にとって、会社のすぐ近くにテスコができたのは、若干複雑だがとても便利である。奴らはそれを心得ている！流行の市場調査をして、統計的にこの辺りにスーパーを作れば、一日大体どのくらいの客が来るということをすでに分かっているのだ。（パラノイア状態！）それにしても悔しいのはそこで売っている食べ物が高いことだ。別に他と比較をして高いという意味ではないのだが、たかだかサンドイッチに2.50ポンド（500円）、サラダにチキンが入っているものが2.80ポンド（500円強）である。この辺りの専門店で買ってもそれほど代わりはないが、専門店ではサンドイッチはその場で作ってくれるし、テスコのベルトコンベヤーサンドイッチよりはましである。たかだかパン2枚に物をはさんだサンドイッチが、なんでこの国ではそんなに高いのかがとても不思議である。パン2枚の単価と中に入るものがいったいどう転んで500円てな計算になるのかが不可解だ。サラダも然り、である。たかだか葉っぱを洗って切っただけのものに鶏肉を少々入れただけだ。これがなんで500円以上の金額になるのか？500円も出せば、日本ではほかほかの立派なお弁当が食べられるのにと思うと、とても悔しい。今回日本に帰って、あれだけ美味しいものがいつも適価で食べられるのは本当にうらやましかった。ここは一つ、自分で弁当屋でも開こうかと思ったりもする今日この頃である。（やらない、やらない。）

  2004年02月11日

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• 東京物語（その2）

  東京での2日目の朝は、嫁さんは朝9:00頃には会社に出たので、私はのんびりと風呂に浸かってゆっくり用意をしてから11:00頃ホテルを出た。こんなに自分だけいい思いをして、今、一生懸命仕事をしている嫁さんには申し訳なかったのだが、やはり昨日秋葉原で見たカラオケの看板が気がかりだった。ホテルを出た私は、昨日は嫁さんの会社の方に向かったので今日は取りあえず違う方向を探索してみようと思い立ち、ホテルの前の大通りを右の方へ歩いていった。お昼も近い時間のせいかレストランや軽食屋さんはかなりの人が入っていて、朝ご飯もまだ食べていなかった私はどこか適当な所に入ろうと探しながら歩いたのだが、どこも満員に近い状態で一人で気軽に入る気がしなかった。途中TAKE AWAYのお店で人が行列を作っているところがあり、どんなお店かと中を覗いてみるとそこはパン屋さんであった。いくら朝とは言え、日本に帰ってきてまでパンを食べる気にはならなかった。（パン好きの人ごめんなさい！）しばらく歩いた後、私は急に反対方向が見たくなり、今来た道を反対に歩くと六本木方面という看板が見えた。この時点で先ほどまで頭の中にあった秋葉原のカラオケの看板が急に色褪せてきて、そのブリキで出来ている古ぼけた看板には錆もあったかもしれないという考えまで浮かんできた。単純なものである。秋葉原のカラオケやさんごめんなさい！六本木の看板を見た途端に秋葉原のカラオケは完全に消滅してしまい、代わりに六本木のきらきらしたネオンサインのカラオケの看板が頭に浮かんできた。六本木に行こう。私は勢い良く歩き出したのだが、意外に距離はあった。こんなことなら電車で来るべきだった！と気がついてももう遅い。とにかく歩くしかないと観念した私は、時間もたっぷりあることなので久しぶりに見る東京の街並みを楽しみながら歩くことにした。ようやく六本木のピッ○インのサインが見えるとちょっと懐かしかった。ピッ○インは夜しか行ったことがなかったので、昼間見ると夜の堂々とした風貌と相反して、なんだか自信のなさそうな便りのない風貌であった。さらに歩くとだんだん見覚えのある街並みになってきて、さらに進むと遠くにカラオケのサインが見えてきた。足早にその近くまで歩き入り口の前まで来ると、11:00～19:00　 30分100円と書いてある。やった～！私は入り口を入りかけ、ふと周りを見渡すと道の反対側にもカラオケの看板！そのさらに奥のビルにもカラオケのサインがある。あるところにはあるもんだ、と訳の分からないことを呟きながら、最初の所に入るのを止めてもう少し周りを探索することにした。取りあえず30分100円はゲットである。さらに歩いて六本木の交差点の所まで来ると斜め向かいにカラオケの看板が見え、真向かいには富士そばの看板が見えた。私はまずカラオケの前に行き、料金表を見ると、11:00～19:00　30分 50円だった。決まりである。私はまず腹ごしらえのため、富士そばに向かう。富士そばでマッハの食事を済ました私はカラオケに入り、カウンターのところにいた若者に「1人お願いします」と伝え部屋に入るや内線でコーラを頼み、たばこを吸いながら曲を選び始めた。まずCS＆Nの「OHIO」「WOODSTOCK」などロンドンでは歌えないものから選ぶ。そうしているうちにコーラが運ばれてくる。店員が去った後はもう自分のスペース、誰に気兼ねをする必要もなく歌い始める。1人カラオケは始めてだったが、一番苦労をするのはたばこが吸えないというか、吸っている時間がないことである。歌っている間に、次の曲を入力して歌い終わったら次のイントロが流れるといった具合で、忙しいが面白い！曲の合間に他の部屋からドリカムが聞こえてきたり、平井堅が聞こえてくるこの時間に来ている人達はみんな独りで来ているらしい。聞いていると、その歌手本人が歌っているように巧い！私は単に運動の代わりにカラオケで発散しているだけなのだが、この1人カラオケはなかなか体力がいる。コーラのお代わりを頼みながら歌っているうちに、あっという間に4時間が過ぎてしまい、嫁さんと待ち合わせをしているので帰り支度をする。カウンターの所で料金を聞くと飲み物を含めて1200円程だった。支払いを済ませて外に出ると、運動した後のような清々しさがあり、とても気持ちが良かった。

  2004年02月08日

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• 東京物語（その1）

  いつもは日本に帰国するのは11月なのだが、今回は飛行機が混んでいたこともあり、1月になってしまった。今回の帰国のハイライトは何といっても東京での2日間だろう。嫁さんのお陰で溜池山王の全日空ホテルに泊まることができたというのも、嫁さんが帰国の間に東京の会社でミーティングがあり、出張扱いでホテルを取ってもらうことができた。したがって、嫁さんは休暇なのに2日間は会社に缶詰状態だった。私にとっても一人で行動するのは不満ではあったのだが、最初の日は秋葉原に出て、今回の第一目的であるMACのG4を見に出かけることは出来た。嫁さんと彼女の会社まで歩いて行き、近くの地下鉄神谷町の駅から日比谷線一本で秋葉原まで出る。最後に秋葉原に来たのは大学時代なので、20年以上降りたことのない秋葉原は本当に変わってしまっていた。変わったといっても国鉄の駅やその周辺の電気街の路地などは殆ど変ってはいないのだが、その周辺は大きな電気屋さんのビル街になっていて、最初に日比谷線の駅を出た時は西も東も分からなくてうろうろしてしまった。うろうろしながらある看板の前で立ち止まった。11時から19時までカラオケ200円という看板だった。安い！多分飲み物は別料金なのだろうが入ってみようか？という元来の病気が出てきた。しかし一瞬迷った後、とにかく私にとって今回の第一課題であるMACを見る！ということが先決と涙を飲んでその場を去ったが、この場所はしっかりと頭に焼き付けておいた。私が日本を出る前の秋葉原は、安い！というイメージがとても強かったのだが、今回いろいろと見てまわった秋葉原は、安いというイメージは全然なく、単なる電気街で格安･激安の看板だけが妙に目立っただけに、とても残念だった。もう一つ気づいたのは免税の店（DUTY FREE）の看板を掲げている所が多くなり、やはり外国人相手の店の集まりという印象が強烈だ。これならば、時間があればNETで安いものを探して自宅に送ってもらっておいて帰国の時に持って帰った方が手間も省けるし、売る気のない店員とも話さなくても済むというのが正直な気持ちだった。この日の収穫は秋葉原のラ○ックスがMacの専用のビルを持っているのを見つけたことだった。ラ○ックスは駅の近くにそれぞれのビルが3つほどあるのだが、その中の4－5階建ての小さめのビルは全館Macの機器やプログラムで詰まっていた。私は特に音楽関係のプログラムを使うためにマックが欲しかったのだが、このG4というノートパソコンがまあまあ適価で機能も優れているということを確かめたかったのだ。ロンドンを出る前に色々と調べていたのと、いろいろな友人の助言もあり、ほぼ買うことが決定していたのだが、もう一つ秋葉原で買うという決心がつかないまま、その日は時間切れで退散した。嫁さんの仕事が終わる時間に連絡を入れてみると、嫁さんの会社まで来られないかということになり、そちらに向かう。初めて嫁さんの会社の東京オフィスを訪れると、彼女はまだ真剣に（後ろ姿しか見えなかったので想像だが）ミーティングをしている。周りにいたスタッフが気を利かしてコーヒーを入れてくれたり、何かと気を遣ってくれた。今日秋葉原で貰ってきたG4の説明書を読みながら待っていると、ミーティングも終わり、みんなで食事に行こうということになった。メンツはとても優しそうなマネージャーの男性の清原さん、先ほどまで嫁さんと真剣にミーティングをしていた女性の勝見さん、そして私が待っている時にも気を遣って時々話し掛けてきてくれた、これまた男性の三谷さん、そして我々夫婦である。最初に行ったところが週末に近いこともあって満席だったので、別な所に行ったら、そこは空いていた。勝見さんによると、ここは彼女の隠し玉（良く意味が分からん！）なのだそうである。ここは各地の地酒をブレンドしてくれるお店で、おいしいお酒を所望する人たちにはとてもこたえられないお店である。我々夫婦は下戸なので、コーラで乾杯、嫁さんは清原さんと勝美さんと仕事の話に花が咲き、私は三谷さんと話し始めた。話をしていて分かったのだが、三谷さんはいろいろな国、それも第三国といわれる国をバックパッカーとして旅行して歩くのが好きらしく、アフリカや南米などの一般に危険な国といわれている所を旅行してきたことなどを面白く話してくれた。音楽の話でもクィーンがとても好きだ！ということでお互い話が盛り上がってしまったが、あっという間に時間が過ぎて行き、とうとうお開きの時間となってしまった。ホテルまでは歩いていける距離なので、嫁さんは翌日に会社に行く時間を決めてから食事のお礼を述べ、彼らと別れた。

  2004年02月07日

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• 電車の憂鬱

  まだ日本でひいた風邪を少々引きずっているようだ。ロンドンに戻ってからの気温は比較的暖かくて、薄暗い空と突風を除いては過ごしやすい。先週の土曜日の朝まで日本にいたのが、もう遥か昔のような気がする。日本に着いてからの我々の行動を思い起こすといろいろなことがあり、今思い返せばとても14日間で起こった出来事とは思えないほど中身が詰まっている。いつも日本に行って感心させられることがいくつかあるが、その一つは電車が定刻時に着くその正確さだ。これはまさに世界に誇って良いものだと思う。実家に帰った時に東京行きの新幹線を待っていたのだが、プラットフォームにゆっくりと入ってきた新幹線は１分の狂いも無くドアが開く正確さで、これは時間にルーズな国で生活している私にとっては驚き以外のなにものでもない。毎度のことなのだが、今日も会社に行く時間を電車の遅れで潰され、危うく遅刻させられそうになった。ロンドンの電車に限らず公共の交通機関の時刻表は、あってないようなものである。毎朝会社に間に合うように通勤するためには、この電車の遅れを計算に入れておかないととんでもない目に会う。電車の遅れの一番の理由は信号の故障で、これは殆ど毎日起こっている。どこにいても必ずと行って良いほど、SIGNAL FAILURE（信号の故障）と言う言葉を聞くので、ロンドンに来た人達はまずこの言葉から覚える様なものだ。他の理由は、秋になると線路に落ちた落ち葉の為にダイヤが乱れ、車両が足りない為に電車がキャンセルになり、電車の運転手が休んで足りない為にキャンセルになり、夏になると熱の為に線路が曲がった為にのろのろ運転になって遅れ、雨風が強いと言ってはこれまたのろのろ運転、冬などは雪が降ったならもう全然動かないといったあきれた状況である。電車のプラットホームでもとんでもないことが起きる。電車が来る直前になって構内アナウンスがあり、次の電車は１番ホームに入る予定だったのに、２番ホームに入る事になる。必然的に全員１番ホームから２番ホームに移動する。全員が２番ホームに移動した後、さらにアナウンスがあり、今のアナウンスは間違いで電車はやはり１番ホームに到着すると伝えると、全員またぶつぶつと文句を言いながら１番ホームに移動する。そして、電車は結局２番ホームに入ってくるのだが、こうなると掲示板に出ている行き先などとても信用できないし、電車には行き先を表示しているものがないのでこの電車に乗って良いものかどうかみんな非常に迷う。したがってホームにいた駅員は乗客に詰め寄られ、大変な目に会う。私は一度、時間がなかったので思い切って、来た電車に乗り込んだらぜんぜん違うところに行ってしまう電車で（それもしばらく止まらない！）、会社に一時間以上も遅刻をしたこともある。この出来事が１番ホームと４番ホームにまたがって起きることがまれにあるが、これは想像しただけでも恐ろしい。これを読んで頂いている皆さんの中には、イギリスのテレビで70年代にとても流行ったモンティパイソンという番組があったのをご存知の方もあると思うが、この物語の1つにこの出来事をパロっているものがあったが、私はイギリスに来るまでこんなことが現実に存在するなんて想像もつかなかった。また大幅に横道にそれてしまったが、長くなったので今日はこのぐらいで。帰国の件は次の機会にボチボチと書くことにします。

  2004年02月04日

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• ニッポンのユリ・ゲラー！

  このタイトルから、皆さんはなにを想像されるでしょうか？なにを隠そう、これは私の嫁さんのことです。さっき、嫁さんががたがたしていてパソコンのモデムをばたーんとぶっ倒してしまった。「ほらほら～もう～」と私が言ったのに、嫁さんはまったく無視、だ。これはいったいどういうことだ？私が同じことをして、ばたっ、などと余分な音を立てようものなら、嫁さんはちっと言って「おらおら、静かにせんかい！」と攻撃してくる。なのに、同じシチュエーションで私が「ほらほら～」と言ったら、向き直って「なに？」とすました顔をしている。「『なに？』ってさ、僕が同じことしたらめちゃくちゃ言うのに、自分が言われた時は平気なの？」と言ってみた。嫁さんは「私は普段、そういうことには十分注意を払ってるんやし、その私がモデムを倒したっちゅうことはおよそ不可抗力に近い状態で発生したトラブルってこっちゃ」といけしゃあしゃあとのたまったではないか。私が何かへまをすると嫁さんはめちゃくちゃ怒るくせに、自分のへまについては「これはしゃあない」なんて、そりゃ正当化もそこまで行けばかなりのものだ。そこまで事実をぐねぐねに曲げて自分を正当化した嫁さんに、思わず口が滑って言ってしまった。「アンタ、ニッポンのユリ・ゲラーかいな、まったく」言ってしまってから、まずい！と思ったが、後の祭りだ。身を固くしながら、嫁さんの反応（怒号か？）を待っていたら、嫁さんはげらげら笑い出して言った。「それ、おもろい！座布団3枚や。日記に書いとき。」かくして、今夜の私の日記はまたしても嫁さんにそそのかされたネタになってしまったのであった。

  2004年02月03日

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• あれはなんだったんだろう？

  漸くという感じで、我々夫婦はロンドンの我が家に帰宅した。思えば、朝5:35に迎えのタクシーに乗り込み、伊丹空港を8:00発の便で成田空港に到着。そこから11時35分発のロンドン行きに乗り、約12時間後にヒースロー空港に到着。ヒースロー空港からローカルのバスに揺られて1時間40分、自宅最寄の停留所に着いてからさらに重い荷物を引き摺りながら歩いたのだが、あいにくの突風に見舞われ、荷物の重さと私の体重を加えても（これは自分で言うのもなんだが、かなり重い）何度か押し戻されながら、約7分の距離を歩いて自宅に着いた。飛行機が着陸の際にかなりゆれたのは、この突風のせいだということがバスを降りて歩いている時にわかった。正味20時間掛かりの帰宅であった。2週間前の昼過ぎに家を出た我々夫婦は、やはり、日本へのお土産でいっぱいに詰まった荷物を引き摺りながらバス停まで歩いた。これはもう季節労働者の域である。地元の停留所でヒースロー空港行きのバスを待っている間、バス停の所に不思議な荷物が置いてあったのに気づいた。持ち主らしき人はそのへんにいない…。3-4袋のスーパーのビニール袋が破けんばかりに膨れていた代物で、近頃テロの騒ぎが巷で騒がれていることもあり、近づいて中を確かめてみると、すべての袋の中身はまだ熟していない青いバナナだった。その後、バス停に集まってきた人たちも不気味そうに中を覗いたりして、先にバス停に来ていた我々に「これはあんた達のか？」と聞いていたのだが、一向に持ち主は現れない。そんな間に他のバスが来たりして、バス停は乗る人降りる人でごった返してきた。ほんの2-3分の間だと思ったが、バスが停留所を出発した後、ふっと袋の置いてあった所を見ると、あれだけあった荷物がきれいに無くなっていた。あれはいったい何だったんだろう？ロンドンに住んでいるとこんな不思議なことが稀にある。前に住んでいた所でもバスを待っている時に、長さ1.5ｍ程のポスターのような包みを持って降りてきたおじさんが、いきなりその包みをバス停の横の垣根越しに放り投げると、乗ってきたバスに再び乗り込んで行ってしまった。あれはなんだったんだろう？皆さんもこんなにわけが解らない不思議なことを目撃した経験はありませんか？今回は日本への一時帰国のことを書くつもりが、とんでもない横道にそれてしまいました。ごめんなさい。次回は日本での体験を書きたいと思います。

  2004年02月02日

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• 飴は買ったぜ！

  今日はあの生意気なテスコが24時間開いているので、仕事が終わってから車を飛ばして、この間、購入制限された飴と残りのもろもろのお土産を買いに行った。またあそこへ行くのはどう考えても腹が立つので、もう一つのスーパーのセインズベリーに行こうかと考え、会社で残業中だった嫁さんに電話で聞くと、セインズベリーは8時で閉まるらしいが、嫁さんの会社のシステムに問題があり、彼女は9時近くまで会社に残らなければいけないらしい。すると、結局テスコしか選択肢がない。仕方なく、嫁さんから仕事完了の電話がかかってから、彼女を会社へ迎えに行き、そのまま一緒に買い物に行く。いつもこんな時間にテスコに来たことがなく、この時間になると買い物客は怪しい奴ばかりではないかと少々心配だったが、全然そのようなことはなく、普通の人が多かった。（イギリスの怪しい奴は本当にとんでもなく怪しい。）昼間と比べるとやはり見るからに怠惰風な人種が多いが、これといって危なそうな人間はいなかった。私もどちらかというと怠惰な方なのだが、いずれにしてもこれは新しい発見であり、週末に買い出しに来るよりもあまり混雑していなくて便利である。我々の買うものは決まっていたので、それ程時間も掛からずに買い物が出来た。さて、これで大体のものが揃ったので後はパッキングをして週末を待つのみである。このところ、クリスマス以外は大晦日も働き、新年は1日だけが休みで、2日からずっと平常通りだったので余計に疲れた気がする。里帰りが本当に楽しみになってきた。lalameansさんや執事さん、そしてジョージさんから、ここしばらくの間に紹介してもらったアルバムをCDレンタルで借り、嫁さんと約束のMAC G4を買い、そしてカラオケだ！考えてみると余りにもやりたいことが多く、ゆっくりと休む時間はなさそうだが、ただ仕事から離れられるだけでも精神的にはゆったりできる。そしてこちらに戻ったら、本格的なJAMと音楽作りが待っている。MACは、多分私の作曲の幅を色々な意味で広げてくれるはずなのでこれからが凄く楽しみである。勝手なことをつらつら書きましたが、しばらく留守にしますのでよろしくお願いします。m(__)m

  2004年01月15日

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• スーパーでブチ切れ！

  今日は日本に一時帰国する前の最後の週末なので、日本に持って帰るお土産を買いに、こちらで大きなスーパーマーケットであるテスコに行った。え？日本へのお土産をスーパーで？という疑問もあるかも知れないが、こちらのスーパーで買う品物は、なかなかどうして人気があるのだ。平日は夜10時頃まで開いているスーパーも日曜は午後4時に閉まってしまう。最初、もう一つの大きなスーパーであるセインズベリーに行ったところ、欲しかった品物の数が揃わず、閉店時間も近くなっていることから慌てて近くのテスコに移動する。一応、時間内になんとか買い物も済んだ頃、店内放送で閉店時間が来たことをアナウンスし、16時半にはレジを閉める！等と言っていた。その言い方には16時までにお店に入った客に対し、さっさと買い物をして店を出ろよ！という少々生意気なイメージを受けたのだが、そこはイギリスなのでいつまでもだらだらと買い物をしている迷惑な客もいるんだろうなと思い、聞き流す。レジに行くと、案の定、駆け込みで買い物を済ませた客でごった返していた。我々も一番空いていそうなレジの列に並んで順番を待っていたのだが、実際この並んでいる時間の無駄がイギリスを物語っている。もし、素速く客を店の外に出したいのなら、この時間だけでもレジの数を増やして迅速なチェックアウトをすればいいものを、閉店時間が近くてたて込むにつれ、どんどんレジも閉鎖してしまうので各レジに並ぶ客の人数は一向に減らない。これもひとえに、客を客とも思わない社会主義の香りを残したイギリス独特の姿勢がうかがわれる。やっと我々の番がきて、レジのおばさんが品物のバーコードで「ピッ」し始まったのだが、我々の買った品物を一目見て、おばさんの顔が一瞬曇ったのを私は見逃さなかった。レジのおばさんは、近くを通りがかったスーパーバイザーに何かを聞いていたのだが、二言三言話した後、我々に向かってすまなそうに「この品物は特別価格なので、一人につき10個までしか買うことが出来ないのよ。」と言う。これはフルーツのエキスを使って作られたソフトな飴で、嫁さんと私の双方の両親にとても受けが良く、いつも帰国の際に買っているもので、一袋の単価は180円ぐらいだ。とにかく数を買わなければと思い、売り場にあった20数個をがさっとカートに入れたのだが「一つ買うともう一つは半額」のセール品だったことに我々は気づかなかった。私はおばさんに「これはお土産でできるだけたくさん買いたいんだ。最初の10個以外は安くなくてもいいから、普通の値段ででも売ってよ！」というと、規定で決められているので出来ないと言う。テスコの勝手な理由は、キャンペーンの品物を出来るだけ多くの人が買えるように、一回に買える限度数を決めていると言うが、その商品の値札にはそのような但し書きも何も書いていないじゃないか！「それなら、嫁さんと私の別々のカードを使って清算すれば問題ないだろう？」と聞くとそれも出来ないと言う。どちらかというと、レジのおばさんは「別に売ってあげたって構わないんだけどね」という風情なのだが、彼女はいちいち私が聞くことをスーパー･バイザーに聞かなければいけない。しかし、このスーパーバイザーが一目見てもアホ顔なのである。私は正規の値段で買うことも許されない上に、商品自体、決してみんながこぞって買いたいわけでも無いものなのに、かたくなな姿勢をとっているテスコの態度が許せなかった。めったに切れない私が切れた。さらに追い討ちをかけるようにレジのおばさんに対して質問を浴びせると、彼女は困ったように「明日また買いに来てよ、ね。」と小さな声で言う。それならば違うカードで支払うのなら、違う人間が払うんだから問題はないだろうと詰め寄った所で、今まで横で私たちのやり取りを黙って見ていた嫁さんに止められた。いつもなら真っ先に怒り出す嫁さんなのだが、この時はなぜか静かにしていたので変だなと思っていたのだが、嫁さんは「もういいよ、10個で」と私を止めた。精算して駐車場に向かう間も私はテスコに腹が立ってぷんぷんしていたのだが、嫁さんはこんな飴ぐらいのことで議論をしている私を見ていて、とても恥ずかしかったと言った。私は嫁さんに、問題は飴のことではなくて、正当な理屈でもない理由を作っているテスコに問題があるんだとぶつぶつ言い続けた。くそっ、あいつらのおかげで、私はまた今週のいつかの段階に、この飴だけを求めてテスコに行かなければならないじゃないかと思うと、経営者の首を絞めたくなってきた。

  2004年01月12日

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• 義父母のこと

  もうすぐ日本に休みで帰るのだが、嫁さんは仕事のミーティングも兼ねての帰国なので、なかなか家に帰る日が決まらずに今まで来てしまった。ようやく日程が確定したので、嫁さんは家に帰る日にちを首を長くして待っているはずの両親に知らせるために、今朝、実家に電話をかけた後、憤慨した顔で私のところに来た。どうしたのか聞くと、両親は嫁さんが実家に着く土曜日と日曜日は、旅行に行っていて家にはいないそうなのである。「なんちゅうこっちゃ」と嫁さんは関西弁で嘆く。私はその話がいかにも嫁さんの両親らしくて、憤慨している嫁さんの前で笑ってしまった。この義理の父と母は、二人とも自分の人生の楽しみ方を良く知っていて、端から見ていて頼もしく感じるほどである。私が最初に義父母にあったのは、５年程前のことである。それまでやっていた仕事の体力の限界を感じ（どこかのスポーツ選手の言葉みたいだが本当にそうだったのだ）新しい職場に入ってまもなく、日本から派遣されて同じ会社で働くことになった嫁さんに職場のキッチンであった時に、二言三言話しただけでなんかこの人と結婚するような気がしていた。適齢期もずっと過ぎていた私にとって結婚という考えはとうに忘れていたものだったのだが、いきなりチャンスがやってきた。その年の10月に、日本に帰国する同僚のお別れ会が土曜にあり、その時に嫁さんにしつこく遊びに来るように迫った。翌日、家に遊びに来た彼女をそのまま拉致してしまう。しかし、彼女はその後も、それまでメル友であったボーイフレンドにニューヨークに会いに行くなどして私をはらはらさせたが、幸いにも何事もなかったようだった。そのすぐ後、日本に帰国する予定だった私は（これは本当に偶然だったのだが）彼女も日本に一時帰国することになったと同僚に聞き込み、それまで私は成田便を押さえていたのを急きょ変更して彼女の予約していた関西空港行きに変更し、その機内で彼女を口説きにかかったのだ。作戦は見事に成功して飛行機が関空につく頃には、彼女の気持ちが私に向いたのは良かったのだが、日本に着いた翌日、ホテルで待機していた私に彼女から連絡があり、急きょ彼女の両親と会うことになった。この時、嫁さんは私に義父のことを「とても気が荒い人で、やくざとも対等に渡り合う気性だから、結婚したいなんて言ったら殴られるかもよ」と一言忠告していたこともあり、その相手に会うのに一生でかつてこれほど緊張したことはないほど緊張した。我々は待ち合わせをした約束の料亭で嫁さんの両親が来るのを待っていたのだが、二人が到着したと聞いた時は心臓が口から飛び出るほど緊張した。両親が座敷に入ってきてからも、とても気さくで話好きな義父を目の前にしても、嫁さんの忠告が頭から離れなかった私は、何を話したのか今でも殆ど覚えていない。後にわかったことなのだが、義父は本格的に謡曲を50余年学んで能の舞台も踏んだことのある強者であり、その後、挨拶に来た私の母と姉の前で「高砂」を歌ってくれたのだが、詩吟を初めて何十年も経つ母も姉も、義父の声の余りの素晴らしさに帰りの電車の中でその話で持ちきりだった。義父は今、謡曲をボランティアで教えている傍ら、社交ダンスと演歌のカラオケに凝っていて忙しく駆け回っている。後日聞いたところでは、義父は、若い頃、キャンプ場で本当にやくざと渡り合ったこともあったらしく、翌日からはそのやくざは義父に挨拶していたそうである。義母は最初に会った時からとてもおっとりしていて優しかったので、私の緊張を解いてくれるのにとても助けになってくれた。義母は映画のビデオ、特に黒人の歌や踊りが大好きのエンターティン趣向であり、昼間はプールでウォーキングエクササイズをし、夜はビデオ三昧の日々を送っている。この二人は結婚42周年を迎えるが、未だにお互い仲が良く見ていて気持ちがいい程である。我々夫婦も見習うところが多々あると思うが、これも毎日の積み重ねでこうなったのであろう。

  2004年01月11日

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• 子守りとギックリ腰

  去る日曜日に嫁さんの友達夫婦に会いに行った。まりさん（仮名）はこちらで知的で物静かなグレッグさん（仮名）と結婚して7年になるが、いまだに仲の良い夫婦である。この夫婦が4年前にケンという男子を授かってからも、しばらく2ベッドのフラットで家族3人仲良く過ごしていた。しかしケンも大きくなり、だんだん個人の部屋も必要になってきて、やむをえずに家を探したところ、運良く我々のフラットの近くに家が見つかり、去年の夏に引っ越してきたのだ。前回ケンに会ったのが1年半ぐらい前であの時は2歳半、当時もかなりのパワーで我々も家に帰ってからぐったりしたのを覚えている。この子はかなりのやんちゃで、前回私の嫁さんは、ケンに両乳をむんずと捕まれて友達夫婦を慌てさせ、同時に私の敵意をもろにあおった。（笑）しかし子供は得である。かわいいというだけで何もかも許されてしまう。普通の男が同じ事をしたら、公然わいせつ罪ですぐ警察にしょっ引かれて事情聴取だ！今回、我々夫婦がケンに再会するにあたってあのことが話題になったが、あの時、ケンは小さすぎて何も解らずにやったと思いたかった。しかし、あの時の嬉しそうな顔は今でも脳裏に焼き付いている。悔しいがこの子の顔は天使のようにかわいいのだ。このかわいい顔でニコッと微笑まれると大概の女性はいちころである。たった2歳半でこうなのだから、これから先が本当に思いやられる。日曜日の午後2時半頃、彼らの家に着き、まりさんとグレッグが玄関に出迎えてくれて久しぶりの再会に話が盛り上がる。ケンの姿が見えないので、遊びに行ったのかと聞くと居間のソファーの後ろに隠れているらしい。居間に入るとソファーの後ろでケンが隠れているのが見える。私と嫁さんで「あれー？ケンは居ないのー？どこにいったのかなぁ？」といってやるとソファーの後ろから出てくる。前にも増してかわいくなっているケンは、恥ずかしそうに笑いながら「こんにちは！」となかなか流暢な日本語で挨拶した。まりさんがコーヒーの用意をしてくれている間、ケンは、我々夫婦相手にしゃべりまくる。前回は殆ど話が出来なかったのに今回はしゃべるしゃべる。その部屋狭しと動き回り、置いてあるおもちゃをことごとく持ってきては我々に説明するのだがその日本語力はなかなかすごい！ケンは久しぶりの再会に大喜びで嫁さんと私を相手にとてもハイになり、時々まりさんとグレッグに落ち着くように言われるのだが、数分も立たないうちにまたハイになる繰り返しであった。そのうちにケンは「おしっこしたいから一緒に来て！」と言って私の腕を引っ張った。一瞬「どうやってさせたら良いんだろう？」と言う疑問が走り、ケンのまだ発展途上のものを摘まむのか？それとも後ろから両足を持ってさせてあげるのか？と悩んでいると、その様子を察してまりさんが「もうケンは自分で全部できるから心配ないですよ。ただ入り口の所に立っているだけでいいから、お願いできます？」と言う。ケンは私を従えて２階にあるトイレに入った。まりさんの言う通り、彼は便座を開けズボンを下ろしてトイレに向かった。やはり若いせいか、別に一物に手を添えることなく、勢いよく用を足すケン･･･小さいながらに頼もしさを感じさせた。この後、なにげなく私はトイレットペーパーを一枚ちぎって彼に渡してしまってから、あれ、そういえば男は小の時は紙を使わないんだっけなどと考え（笑）、これがケンの将来に大きな支障にならないことを祈った。彼は私が渡した紙を何の疑問もなく使い、洗面所の下においてある台に乗って手を洗った後、「僕の部屋で遊ぼう！」と言った。しばらく２階の部屋にある全てのおもちゃやゲームで遊ぶと、食事の用意が出来たので階下に降りていく。食事のテーブルにつく時、ケンは「ねえ！僕の隣に座って！」といい、私と嫁さんを両隣に座らせるだけでは足りなくて、私の座っている椅子を自分の椅子に出来るだけ引き寄せた。食事も終わり、ケンはまた僕の部屋に行こうと言って私の腕を引っ張る･･･私はまたケンに導かれて部屋に行くと、今度はゲームの載っている本を見つけた。その本に簡単な２＋２の計算が載っていたので「これいくつだ？」とケンに聞いたのだが、彼は今までぺちゃくちゃとしゃべっていたのを急にしばらく止め、ぷいとまた別のゲームに移ってしまった。後で考えてみたら４歳で足し算が出来る筈がないのに気がつき、またもや彼を余計なことで悩ませたなと反省した。またしばらく彼の部屋で遊んでいると今度は「うんちがしたい！」と言い出した。この突然の要望に「えっ！うんち？そ･･･そうだね･･･ち、ちょっと待って！」ととまどう私。これは困った。どうしたら良いのか解らない。やはりここはママであるまりさんに登場してもらわなくては････と思っている間にケンは「一緒に来て！」と言ってとことことトイレの方に歩いていった。慌ててついていったが便器の前で私を見上げるケン･･･事態は急を要するようだ！「とにかくズボンを脱いで！」といってズボンを脱がせにかかった。ズボンを脱いだケンはまだ便器に座るには背が足りない。彼の顔からも急を要するのが解り、まりさんを呼んでくる時間はもうないと判断した私はケンを両手で持ち上げるようにして便器に座らせようとしたとたん、私の腰がギクッ！となった。「いたっ！」痛いがケンを落とすわけにはいかない。無理矢理こらえてケンを便座に座らせた後、私はトイレを出て階下に状況を知らせた後、手すりにもたれて腰の矯正に努めた。ケンは無事にコトが済んだようで、楽しそうに便座の上で「ねえ！ぼくのうんち見て！」と私に要望して便器の中を覗いていた。私はケンのうんちに興味を抱いている場合ではなかった。このところ、ぎっくり腰の癖がついていたのと、うっかりケンを持ち上げた角度が悪かった。彼を便座に座らせるのに焦り、前かがみのままで彼を持ち上げようとしたのが間違いだった。幸いにもダメージは思ったより少なく、今でも少々角度を間違えるとちょっと痛いが、何とか会社にいくのにもそれほど問題はなかった。今回は４歳の男の子がいかにパワーがあり、そのエネルギーは尽きるところ無しと思い知らされた。最初は思い切り運動させて速く眠くなるようにしようとしたのだが、彼のエンジンはかかる一方で、我々夫婦が２人掛かりで遊んだのに、ケンは疲れるどころかますます元気になっていく。最後はまりさんからタオルが投げられ、ケンは風呂に入って寝床につかされた後も２－３回は階下に降りてきていた。思えば私も幼き頃は遊んでくれる大人が我が家に来ると興奮して眠れない時があったな。その日の帰り道、私は嫁さんに「今日は胸を触られなかったなあ！」というと「なにいってんのよ！今日は胸だけじゃなくお尻も撫でられたわよ！」と答えた。ケンのやつー！！！

  2004年01月07日

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• 日本で仕事　4（最終回）

  翌日の撮影は、多分目白の辺りだったと思うが、実在の喫茶店を撮影用に改造した場所だ。この日も前日のようにプロダクションに行き、ヘアー・メイクと着付けを済ませた後で撮影場所に行ったのだが、この辺は近くに女子大があるらしく、学生の行き来が多かった。撮影に支障をきたすのではないかと心配になり、近くにいたスタッフの人に聞いたところ、実際の撮影が始まったら通行人を止めるので心配ないと言われた。鹿賀丈史さんが現場に到着し、監督が撮影のアクションを説明した後、実際にリハーサルをやってみると、鹿賀さんとステファンが顔を見合わせるタイミングが巧く合わないので、私が頃合を見計らったタイミングでキューを出すことになる。今回も遠くから望遠レンズで狙うのだが、かなりのアップなので、私は彼らのすぐ横にある茂みに身を隠してキューを出す。本番が始まり、アクションの声の後に鹿賀さんとステファンがゆっくりと歩き始めたのだが、彼らの後ろに突然、女学生が2人現れた。2人ともカメラを見て撮影とわかり、一瞬足を止めたために、私のコーディネーター意識が先走りしてしまった。（注．いつもはロンドンでコーディネーター･･･つまりなんでも屋として動く私は、日本ではただステファンの通訳と世話をするだけなので、コーディネーターとしての仕事は期待されていないのだ）2人の女学生が立ち止まることで不自然な動き・映像になることだけは止めなければいけないと思い、この2人に止まらずに歩いてくれという指示をしてしまい、なんと肝心のキューを出すタイミングを逃してしまった！近くにいたプロダクションマネージャーの大江さんから「とっち！キューを出せよ！」という大声が飛び、カメラの方から監督が怒りの顔でこちらにやって来る。怒られるのを覚悟して監督が私の前まで来るのを待っていたのだが、カメラが遠くにあったため、彼が私のところに来るまでにかなり時間がかかったように感じた。近くに来ると、監督の顔は怒りで真っ赤になっており、恐かった私は彼の顔を直視できずに下を向いた。「いいかげんにしないか！撮影が始まっているのはわかってるんだろう？ちゃんと通行人を止めなさい！」と、私の後ろで声がした。声がした方を振り向くと、監督は私のいるところを通り過ぎて、私の後ろで通行止めをしているプロダクションのアシスタントの人たちを怒鳴りつけていた。監督は、その後また私を通り過ぎてカメラのところに戻り、「本番行くぞ！」とトランシーバーでみんなに伝えた。その後は、何事もなく全てがスムーズに行き、ステファンも今回の撮影に慣れてきたせいもあり、自分の役を問題なくこなした。次の日は明治神宮の公園の一部を使っての撮影だったが、この日は特段に何の問題もなく終わる。私の関心は日本のコーディネーターの人たちの動きであった。普段は通訳やモデルの世話人として限られた役割をするのではなく、あれもこれも「やる人がいない仕事は全部」自分に回ってくる、同じコーディネーターの立場である私は、職業柄、一部始終を興味津々の目で見ていたのだが、彼らの動きは素晴らしかった。朝、ミニバスで撮影場所に行く時も帰る時も道を良く知っているし、お昼の時も弁当を出すタイミングなども絶妙なものがあった（撮影の忙しい合間を縫って、手の空いている人から順番に弁当を食べさせるというこのタイミングを計るのはとても難しい）。勿論、場所が日本で地元ということもあると思うが、彼らの動きには全然無駄がなく、見ていてとても頼もしかった。この日の明治神宮の撮影も滞りなく終わり、今回の日本での撮影もほぼ半分以上が終了したこともあって、撮影のスタッフにもようやく余裕が見えてきた。思えばこの明治神宮がある原宿は、私が高校生の時に最初に東京に来た時に下宿をした思い出の場所である。もちろん原宿の街自体は、私が住んでいた頃とは随分変っていたのだが明治神宮と原宿の駅はなんとなくその頃の香りがまだ残っていてとても懐かしかった。翌日は横浜の公園での撮影だった。場所が遠いせいもあり、今回はミニバスではなく観光バスのような大型のバスを出してくれた。私はこの時まで、ロンドンで仲良くなったこの撮影グループのアシスタントカメラマンである江藤さん（仮名）とあまり話す時間がなかったので、バスの中ではお互い隣同士に座りたっぷりと話す機会が持てた。撮影現場に着くとみんな撮影の準備に取り掛かり、ステファンもヘアーとメイクを始めたので、その場は順子さんに任せて現場を確かめる為に外に出た。最初の撮影場所を確認した後、公園の周辺を歩いているうちに公園の駐車場に出てしまいそこに止めてある車の運転席に鹿賀さんが座っていた。私は「おはようございます！」と声をかけて鹿賀さんの方に近づいて行くと彼も車から出てきて「おはよう！」と挨拶をした。考えてみれば鹿賀さんは忙しい身の上で、いつも撮影の直前に仕事場に来て、撮影をした後はすぐ次の仕事場に行ってしまうので、撮影では一緒だったのだが話をするのは始めてだった。鹿賀さんは前にロンドンに仕事で行ったことがあるらしく、しばしロンドンの話に花が咲いているところにプロダクションの人が撮影の準備が出来たと知らせに来た。撮影の準備が出来ると、監督が撮影の内容を説明する。ここでは鹿賀さんやステファンがウイスキーのボトルに変身するシーンを撮るらしい。彼らにボトルの形に近くなるように、長いコートを着たまま両腕を45度に開き腰を落としてボトルの形を作るという撮影だった。今回の撮影は場所が日本だった事もあり、いろんな意味で学んだことは多かった。このコマーシャルのビデオを後で見たのだが、ホンワカとした暖かいぬくもりのあるコマーシャルに仕上がっていた。

  2004年01月05日

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• 日本で仕事　3

  翌朝プロダクションに集合し、ヘアー・メイクを済ませた後、コマーシャル用の長い淡い水色のコートに身を包んだステファンをミニバスで赤坂の大通りに連れて行き、撮影の時間に備えて待機していた。この撮影は、夕方の5時頃、暗くなりかける一瞬をねらっての撮影であった。時間まではステファンを使い、カメラのフォーカスや実際のアクションを使ってテスト撮影をしていたのだが、鹿賀さんが来る頃には全てのテストを終了していた。本番になると監督は鹿賀さんとステファンと私を呼び、もう一度本番のアクションをチェックする。その後、私はアクションのキューを出す準備の為に道路の脇に隠れた。カメラは鹿賀さんたちが立っている所からかなり遠い位置に設置され、望遠レンズでねらう。私はカメラから見えない所にアシスタントプロデューサーの大江さんと一緒に隠れて、監督からの指示がトランシーバーに入ってくるのを待つ。ずいぶん時間が経った頃、監督の声が「よーい！」と入ってくる。私はステファンに聞こえるように「READY！」と叫ぶ。そして、監督の「アクション！」の声が聞こえると私も「ACTION! CAMERA IS ROLLING！（アクション！カメラがまわっているぞ！）」と伝えたが、緊張したステファンはあれほどリハーサルしたにもかかわらず、全然違う動きをしてしまった。監督は恐ろしい声で何か怒鳴りながら、こちらに向かって走ってくる。それにおののいたステファンがそばにいた私を指差して「HE MADE ME DO IT！（とっちがそう言ったんだよ）」とのたまった。近くにいた順子さんもそれを聞いてステファンに「WHAT ARE YOU TALKING ABOUT？（あんた何を言っているのよ？）YOU MADE THE MISTAKE BY YOURSELF！（自分で勝手にミスしたんでしょう！）」とかばってくれたのだが、とにかく余り時間がないので監督も必死である。私はステファンに、もう一度監督の前でその動作をやってみるように伝えると間違えずに出来たので「YOU ARE DOING GREAT！YOU JUST TAKE IT EASY AND DO AS YOU HAVE JUST DONE！（いいよ！リラックスして、今やったようにすればいいんだ！）」と言うとステファンも少し落ち着いたみたいだったので、監督も何も言わずにカメラの方に「本番だ！」といいながら走っていった。私はまだ少し心配だったが、次のテイクからはステファンは問題なく動作をこなしたのでホッと一安心であった。その後、監督が動作にバリエーションを付けたものも難無くこなし、その日の撮影は無事終了した。ステファンをホテルまで送ってその日の小遣いを渡し、次の日の集合時間を打ち合わせしてから我々はホテルを後にした。

  2004年01月04日

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• 日本で仕事　2

  夏の暑い日差しがようやく過ぎ去る10月初旬に、ステファンは成田にやってきた。空港に出迎えた私と東京オフィスの社長である順子さんは、彼を連れて銀座にある日航ホテルに向かう。途中、今回の撮影の内容が彼に伝わっていることを確かめた上で、今晩のミーティング前に打ち合わせをした。この撮影は某ウイスキー会社のコマーシャルで、撮影に参加するのは俳優の鹿賀丈史さんとステファン、そして前回ロンドンのパディントン駅に撮影に来たチームである。場所は赤坂の近くの大通りと、場所はもう忘れたが都内のある喫茶店をこの撮影の為に少々改造したところ、明治神宮の公園、そして最後に名前は知らないが横浜にある大きな公園であった。元来ロンドンでコーディネーターをしていた私にとって、日本での撮影がどういうものなのかというのは非常に興味があった。ロンドンでの撮影は、撮影の場所探しから機材の借り出し、ロケバスの運転から撮影時の弁当の用意、そして撮影時の監督とモデルやテクニシャン達の通訳等、全ての面で動かなくてはならないので撮影自体をじっくりと見ることはない。まして、撮影場所が日本というのも非常に興味があった。日航ホテルにステファンをチェックインさせた後、我々は銀座にあるプロダクションのオフィスに向かう。プロダクションのオフィスについた私たちは、ミーティングの部屋に通されたが、ここで私は驚いた。ロンドンでの撮影の時のミーティングは多くてせいぜい15名ほどなのに、この時のミーティングに集まったのは30人は越えていたと思う。これは、ロンドンでは考えられないほどの大人数なのであった。我々が部屋に入った時、一番先に私の目に入ったのは、嬉しそうに迎えてくれた監督の大沢さんだった。私は正直ほっとしながら大沢さんに「お久しぶりです！」と挨拶をすると、旧友でも迎えるような笑顔で「ロンドンではお世話になりました！おかげさまであのコマーシャルは賞を取りました」と教えてくれた。大沢さんに改めてステファンを紹介した後、今度は大沢さんの通訳でステファンにその場にいた関係者の方々を紹介する。まず、某ウイスキー会社の関係者数名、某広告会社のプロデューサーと関係者、鹿賀丈史さんのマネージメント会社の人達、プロダクション会社のプロデューサー等などを紹介した後、大沢さんからこのコマーシャル撮影の内容を説明してもらった。この時、ステファンは周りの状況をあまり飲み込めておらずに、自分がいかに知的な人間かを売り込もうと必死のようで、わざと難しい言葉を使って話すため、私は訳すのに大変苦労した。同時にこのステファンという人間は、その割にはあまり頭が良くないやつだということに気づき、先行きが少々心配になったことは否めなかった。ミーティングは思ったよりもスムーズに進み、滞りなく終了したので、これからみんなで食事に行くことになった。食事と聞くと、私はパブロフの犬的に「どんな種類のレストランにしましょうか？中華、インド、イタリアンなどがありますが･････」と職業柄聞きそうになったが、ここは日本なんだから私がしなくていいんだと自分に言い聞かせてこらえる。すると、もう段取りは全て出来ているようで、プロダクションの入り口の前に呼んであったタクシーにそれぞれ分乗して乗り込み、レストランに向かった。レストランに到着すると、社長の順子さん、ステファンと私は支配人に案内され、今回の撮影のチーフでもある広告代理店の藤原プロデューサー（仮名）のテーブルについた。藤原さんは恰幅の良いやさしそうな人物で、前にロンドンに行った時のことを我々に面白おかしく話してくれた後、今回の撮影に関しての我々の質問にも快く答えてくれた。楽しい時間が過ぎ、次の日から撮影ということでもあり、我々三人は用意されていたタクシーに乗り込み、ステファンを日航ホテルに送った。

  2004年01月03日

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