カテゴリ:映画
『汚れた心』
(上映中~12/7:シアター大都会) 公式サイト:http://www.kegaretakokoro.com/pc/ 第二次世界大戦後のブラジルは、当時、日本と国交が断たれており、 正確な情報がない中、そこに住む日系移民の大半は、日本が戦争に勝ったと信じきっていた。 写真館の店主タカハシもその一人。彼は常に大和魂を誇りに生きてきた。 が、隠れて外国のラジオを聴き、日本敗戦の真実を手に入れる者も出てきて・・・。 *********************************************************************** やがて、日系人コミュニティの精神的リーダーである元日本帝国陸軍の大佐ワタナベが、 日本が降伏したという事実を受け入れた同胞たちの静粛に乗り出し、 その刺客にタカハシが指名され、苦悩しながらも実行していくことになります。 この物語はフィクションですが、実際にこういうことはあったんだそうです。 やはり戦争は悲しいです。 でも、そんな当たり前のことを、はっきりと口に出来るのは、 今の自分が平和で自由な世の中に暮らしているからであって、 ひとたび戦争状態に突入してしまうと、何が正しいのかさえ分からなくなってしまいます。 僕は普段から「正義」という概念には疑問を持っているのですが、 特に戦時中の「正義」なんて、主観的なものでしか存在しないと思うんですよ。 で、ワタナベも今は軍人ではなく移民であったはずで・・・ということに関しては、 僕は理解できてないんですが、とにかく、彼の行動は狂気としか言いようがないです。 「国賊」といってののしったり、嫌がらせをするまではともかく、 何で同じ日本人を殺してしまうという判断になるのか・・・。 タカハシはワタナベ派の中にあって、日本の勝利を信じ続けている一人でしたが、 刺客として静粛を行うことには葛藤し続けています。 頑なに守り続けたい天皇陛下万歳の大和魂的「日本人アイデンティティー」と、 物事を殺人で解決しようとしない「日本人アイデンティティー」の両方を持っていた。 ということなんじゃないでしょうか。でも、戦争は良心を駆逐するんです。 「汚(けが)れた心」は本当はどこから生まれてくるんでしょうか・・・。 この映画の質が悪いと言う意味ではなく、 こういう歴史の一面が見られる映画は、質を問わずに存在する意義があると思います。 ブラジル映画です。日本映画ではないことにも意義があると思います。 このタカハシの妻を演じているのは常盤貴子さん。 いつまでも綺麗で可愛いですね。喜怒哀楽のどんな表情の時も可愛いです。 本当はそこを楽しむ映画じゃないんでしょうけど、これはもう仕方がない。 ワタナベを演じているのは奥田瑛二さん。 本作の前に観た別の映画(感想は後日)にも出演されていて、そこでも感じたのですが、 全く別の役なのに、なんというか、どっちの役にも例の「色気」ってやつがあるんですよ。 僕の落語には無いと言われたばかりだったので、余計に強く感じました。 もう一人、印象的だったのは菅田俊さん。 ていうか、僕、菅田さん好きなんで、いつも印象に残っちゃうんです。 悪役の時もそうでない時(今回は勇気ある男の役です)も、何だかいつも魅力的。 『北のカナリアたち』での敵役なんか、菅田さんしかいないでしょ!って感じです。 (といっても、仮面ライダーの菅田さんは知らないんですけどね・・・汗) 本作も『星の旅人たち』『HAPPY!メディアな人々。』と同じ、 今年の夏に開催された「第1回氷見絆国際映画祭」の上映作品です。 最優秀洋画作品賞を受賞しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年12月01日 02時00分30秒
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|