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牧内直哉≧仁楽斎の「フリートークは人生の切り売り」

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2013年02月20日
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カテゴリ:映画
『草原の椅子』
(2/23~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡)
公式サイト:http://www.sougennoisu.jp/

バツイチで、年頃の娘と二人暮らしの遠間憲太郎は50歳を過ぎたところ。
取引先の社長・富樫に懇願され、いい年になってから親友として付き合い始めた。
ふと目に留まった独り身の女性・貴志子と出会い、淡い想いを寄せるようになった。
そして、親に見離された幼子、圭輔の面倒をみるようになった。
憲太郎、富樫、貴志子の3人は、いつしか同じ時間を過ごすようになり・・・。

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見どころが多く、約2時間20分、最後まで集中して観ていられました。
パキスタンのフンザでロケを行ったとはいえ、全体的には地味な作りといえるかも。
ですが、映画らしいスケールがあって、僕の好きなタイプの作品です。

遠間憲太郎はカメラメーカーの営業局次長さんで、金はあるみたい。
タクシーに乗っていて、「お、綺麗な女がいるぞ。陶器店に入って行ったぞ・・・」
というだけで、その陶器屋に入って美女と会話をして、思いがけず10万円の皿を買い、
次に行ったときには18万円もする何だか僕には分からないものを買っていました。

このお店、最後まで他の客はおらず、やはり女を射止めるのは金が必要なのか・・・。
また、美しいということは、何だかんだで、女性にとって貴重な要素の一つですね。
まぁ、この女主人は吉瀬美智子さんですから、説得力のあるキャスティングです。

もちろん、遠間役の佐藤浩市さん、富樫役の西村雅彦さんも素晴らしいです。
佐藤浩市さんは、ご本人はとても格好いい方なのですが、演じる役はいろいろで、
人間の弱い部分とか、中年の悲哀とかをさらけ出しちゃう演技にも味がありますねぇ。

また、西村さん演じる富樫はとても重要な役どころで、
実はこの映画のテーマみたいなものは、彼の台詞の中に感じることが多かったです。
「理は通っていても、◎◎がなければ・・・」っていうのは、
おぉ~!っていうより、ふぅ~って納得させてもらいました。

序盤にも難しい問題はあるものの、結構コミカルに物語は展開していきます。
が、圭輔の出現で空気が少し変わってきます。
彼は両親の愛情を知らずに育ち、4歳になっても話せず、人に心も開けずにいます。
もすごく難しい役なのですが、貞光奏風君は演技初挑戦とは思えない達者ぶりです。

さて、遠間は富樫の「理が通っていても・・・」という台詞に素晴らしいと感嘆しますが、
一方でサラリーマンには無理だとも言い切りました。
ある事故で会社を訴えようとする部下に「大人になれ」と言ったけれど、
本当に「大人になる」というのはどういうことなのか実は分かりません(僕も分からない・・・)。

でも、だんだんと、少しづつ見えてくるものがありました。
遠間も富樫も貴志子も、それなりに年齢を重ねた男と女ですが、
人生は生きている限り、学ばされたり考えさせられたりすることばかりで、
「ここからまたスタートだ!」って、何度言ってもいいんじゃないか・・・と感じました。

パキスタンのフンザは世界最後の桃源郷と言われているそうです。
『風の谷のナウシカ』の舞台のヒントになった場所という節もあります。
山と谷、砂漠には生き物が見られず、でも、ちゃんと街はあるんです。

確かに日本の方が物質には溢れてますが、
なんだか僕たちの国は小っちゃいなぁと感じてしまいます。
文化や文明の水準の高さと幸せは、必ずしもイコールじゃないんですよね。

その他、いろいろなことが感じられる映画でした。
派手な映画も良いですが、こういう作品ももっと出てきて欲しいと思いました。
でも、キリがないので、もうやめます。いつも長い感想ですいません。





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最終更新日  2013年02月20日 18時12分38秒
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