カテゴリ:映画
『愛、アムール』
(上映中~6/14:フォルツァ総曲輪) 公式サイト:http://www.ai-movie.jp/ 夫ジョルジュと妻アンヌは、パリの風格あるマンションに暮らす音楽家の老夫婦。 ある日、アンヌは病に冒され、手術も失敗して不自由な身体になってしまう。 医者嫌いの彼女が発した「二度と病院に戻さないで」との切なる願いを聞き入れ、 車椅子生活となった妻と、夫は自宅でともに暮らすことを決意するが・・・。 *********************************************************************** 戸惑いや悲しさはあるにしても、最初は「これはこれで」的な穏やかな介護生活なんです。 ですが、アンヌの障害は進み、徐々にいろんな事が難しくなっていきます。 介護される側だけでなく、する側も老人ですし・・・。 結末はともかく、老人の自宅介護の実態でいえば、こういうことって世界中でありそうです。 なので、会話も実に日常的というか、私が理解できていないだけかもしれませんが、 演劇的必然性にとらわれていない内容ものが結構あったように思います。 だからこそ、テーマ性のある台詞が際立っていたのではないかと・・・。 だから社会はこうあるべきだ!とか、あなたならどうするか? みたいな問いかけは、映画自体がしていたようには感じませんでした。 感じなかったのですが、観ながら考えないわけにはいかないという・・・。 そこがこの映画の凄いところかもしれません。 娘がやって来て、現状を見て偉そうに言ってはいるけど、彼女は何をするでもなく、 遠くの親戚より近くの他人よろしく、老夫婦の買い物を手伝う近所の夫婦が、 「ジョルジュとアンヌのあり方を尊敬している」って言うんですが、 現実はそんな簡単なことじゃないので・・・。 アンヌ役のエマニュエル・リヴァは1927年生まれの85歳。 綺麗な歳の取り方をなさっています。なので中盤以降は余計に・・・ということになります。 ミヒャエル・ハネケ監督は前作『白いリボン』に続き、 2作品連続のカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞になります。 確かにカンヌ的といえばカンヌ的・・・という感じはします。 昔のフランス映画らしい、いい意味での“だらんとした”長さがありました。 若い頃の僕なら退屈に感じたかもしれませんが、 ある時期から、こういうのも、いや、こういう雰囲気こそ楽しめるようになってきました。 映画が始まった瞬間にフィルム作品だと分かったのも嬉しかったし。 にしても、『くちづけ』の次にこれを観ることになるとは、 映画というのは観るタイミングに必然的なつながりを感じることが多いものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年06月04日 04時57分29秒
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