シネマの細道 『60歳のラブレター』
※FMとやま『シネマの細道』 2009/5/13放送分紹介作品(2)『60歳のラブレター』(5/16~:ファボーレ東宝)公式サイト:http://www.roku-love.com/60歳前後は「アラカン」と言うのか。僕は「アラシク」かと思ってた…といっても、「アラフォー」や「アラサー」ほど世間に浸透してなさそうだけど。長年連れ添った夫婦に感謝の言葉をハガキで応募してもらうという「60歳のラブレター」企画をもとにした映画です。この映画の中の物語が実話なのかどうかは分かりませんが、応募企画自体には86,441通のハガキが寄せられたんだそうです。映画では60歳前後の男女3組の恋模様が描かれています。[孝平とちひろ]仕事一筋で家庭をかえりみない夫と、専業主婦の妻。夫には愛人がいて、定年を期に2人は離婚することになるが…。[静夫と麗子]妻に先立たれ娘と暮らす医師と、人気女流翻訳家でずっと独身の麗子。互いに惹かれつつも、新しい恋に臆病な2人は…。[正彦と光江]魚屋さん夫婦。ケンカしていても仲の良い、いつまでも友だちのような夫婦。しかし、妻は難しい手術が必要な病であることが分かり…。完全なオムニバスではなく、3組の男女が上手く1つの物語に絡まっています。本職じゃない人もいますが、6人とも大人の俳優・女優さんなので、上手下手という言葉は当てはまらない、味わい深い演技で魅せてくれますヨーロッパ映画には結構ある「大人の映画」ですが、日本映画では、やっと徐々に増えてきたかな…ってところですね。この中で僕が一番感動したのが、魚屋さん夫婦の物語。どこが良かったかはあまりにネタバレなので書けませんが、結婚っていいな!って素直に思いました。結婚したくなっちゃいました。昔は「そんな考え方はどうなのよ」と思ったりもしていましたが、このまま一人じゃ寂しいから…という理由で結婚するもの悪くないのかもそれでも、誰とでもOKという訳じゃないんですけどね。麗子が「本当は○○しちゃいたいけど、○○が精一杯で…」と言う台詞。共感しました。60歳もそうでしょうが、アラフォーでも同じですよ。『黄昏流星群』のように簡単にはいきません。(あれにも憧れますが)映画の中の3組が結局どうなったかについては、全てが幸せな結果だと言えるかどうかは分からない部分もあります。特に孝平に関しては、それはアカンのじゃないかと思うところが…。でも、それでも、結婚っていいな…と思いました。映画に少し背中を押してもらえたような気がしました。まぁ、僕はすぐ映画に影響を受けちゃうんですけどね結婚率低下や少子化は「問題」ではなく「現象」であると僕は捉えていますし、結婚が必ずしも出生率の上昇に繋がるものではないと考えていますが、それらを「問題」と捉えて対策を考えている自治体があるとするなら、こういう映画を未婚者に観てもらう行政施策もアリではないかと…そういう意味では、若い方にもご覧頂きたい1本です。番組内で田島さんに上手くフォローしてもらえて助かりましたもちろん、60歳やそれ以外の世代のご夫婦にもご覧いただいて、ますます愛を深めていただくのもよろしいのではないかと思います