シネマの細道 『宮廷画家ゴヤは見た』
※FMとやま『シネマの細道』 2008/10/1放送分紹介作品(4)『宮廷画家ゴヤは見た』(10/4~:高岡TOHOプレックス)公式サイト:http://goya-mita.com/18世紀末から19世紀初めのスペインが舞台。あ~、いつもながら思うのは、もう少し世界史の勉強をしていれば、こういった映画もより楽しめるはずなのに…ということゴヤは実在した人物で、宮廷画家としての地位にありながら、当時の権力者を批判するような絵も描いていました彼は自分が社会や人に対しての素直な思いを、絵画で表現していたのです。エンドロールは圧巻です。是非、劇場が明るくなるまでご覧下さい。天使のような少女イネスを演じていたのはナタリー・ポートマン。『容疑者Xの献身』の松雪泰子さんと同じで、ここでもまた、女優の素晴らしさと恐ろしさを感じました。一作品の中で、そこまで変貌していくものなのか…彼女を不幸のどん底におとしめていく神父ロレンソはハビエル・バルデム。『ノー・カントリー』の怖い怖い殺し屋の彼です。今回も怖い役でした。ロレンソは無茶苦茶な男です。稚拙な表現ですが、酷いやつです。ゴヤへの批判に使った言葉は、実は彼そのものを言い表しているものでした僕が基本的に「正義」とか「常識」という言葉を好まないのは、正義や常識は時代や権力によって180度転換するものだからです。「自由」の素晴らしさというのも、おかしくなっているような気がするし…。一方で「道徳観」という言葉は心のより所にしています。当時のスペインの教会は他宗派を認めず、不確かな手がかりを元に神父たちは異端狩りに精を出していました。そんなことで、彼らは愛を説き、人々を幸せになど出来るんですかね。でも、そういう時代だったということです。いや、今でもそれが引き金に起きる戦争があることを考えると…とまぁ、諸々そんなことを考えながら、この映画を観ていました。