チケットの半券が役に立ちます
最近はいろんな映画館で「チケットの半券をお持ちいただくと…」というサービスをやっていますが、富山シアター大都会の場合は、上映前のCMで案内されていて分かりやすいですね。ただ、僕はそれを詳しく宣伝する立場にはない(というか出来ない)ので、気になる方は実際に劇場でお確かめ下さい。シアター大都会のみで上映されている作品も結構あります。『キンキーブーツ』(11/18~12/8:シアター大都会)イギリスの田舎町にある伝統的な紳士靴工場が、経営打開策としてドラッグクイーン(簡単に言うと女装している男性)用のキンキーブーツ製作に着手するという物語です。実話でした。ただ、会社がどうなっていくのかということだけを描いているのではなく、中途半端な状態の主人公たちが、「自分らしい生き方とは何か」ということを見つめていく物語でした。自分の居場所にしっくり来ないなぁと言う人や、自分が望む生き方に勇気を持って進めない人は世界中にたくさんいるはず。といっても、この映画を観て「俺(私)も…」と思う人もいれば、「羨ましいけど…」と思う人もいるんでしょうね。こういう映画を観て改めて思うのは、少数派は決して間違いではないということ。そこから成功の道が開けることもあるのですよ。それと、新しいことを始めるときは、失うものもあるという覚悟が必要なことも。それは、人間関係であったり、かたくなに守り続けてきた価値観だったり…。僕はこれまで靴にお金をかけるようなことはしてきませんでしたが、伝統的な紳士靴の製造過程を見ると、こういうのも一足ぐらい(一生履けるらしい)は持っていた方がいいかな…と。主人公の若社長が普段は汚いスニーカーを履いていたことと、彼が社長就任の際に「職人はいつの時代も必ず必要とされる」と語っていたのが印象的でした。『サンキュー・スモーキング』(11/18~12/8:シアター大都会)実はこの映画は以前に東京で観ておりまして、富山でも上映があればいいのに…と思っていました。アーロン・エーカット、キャメロン・ブライト、ロバート・デュバル、ケイト・ホームズ、ウィリアム・H・メイシーなど、派手さはないけど豪華キャスト。キャメロン・ブライト君は『X-MEN ファイナル・デシジョン』や『記憶の棘』でも話題の子役スターです。主人公ネイラーはタバコ業界のロビイスト。嫌煙家だけでなく、一般社会からも地獄の死者扱いされつつあるアメリカのタバコ業界において、タバコは癌の直接的要因ではない…などと、イメージ戦略に勤めるのが仕事です。とはいっても、タバコが身体に悪いのは明白で、口八丁手八丁に議論を展開し、情報も操作して対応していくのですがね。この映画はタバコ業界でも銃の世界でも食品添加物の世界でも、舞台は何でも良かったのです。ネイラーは息子の学校で自分の仕事について話すことになります。ある子供から「ママがタバコは身体に悪いと言った」と聞かされたネイラーは、「ママは専門家か?」「大人から一方的に理屈を言われたら、“誰が言ったの?”と聞き返そう」と返します。素晴らしい論点のすり替え(笑)。加えて、「チョコが身体に悪いと言われたら」と質問しました。子供たちは「それは認めない」という意味でのブーイング。つまり、情報なんてその程度のものなんですよ。出すほうも受ける方も、自分の都合で解釈するのです。世の中の情報は操作されています。僕は操作する側にもいます。中には情報操作を悪事だと決め付ける人がいますが、僕は全ては受けて側にゆだねられているものだと昔から思っていました。操作された情報は嘘ではありません。僕らの立場から言えば、事実を少し提供者側に都合よく表現しているだけなのです。ただ、ついでに余計なことを言ってしまえば、大衆はちょっとしたイメージ戦略で信念までもが操作されかねない時代になっているなぁと感じています。素晴らしいと思ったのは、子供が父親の仕事を理解して尊敬していたこと。世の中には一方的に悪の業者だと決め付けられているものもありますが、森林伐採だって、消費者金融だって、銃製造販売だって、それなりに存在意義はあるのですよ(と言いながら、僕には説明できないものもありますが…)。上院議員から「君の息子にも…(後は秘密)」と追求されたときのネイラーの答が、この映画の全てではないかと思います。